べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

大人とキテレツ大百科のお話。

 

やあ、ヤマグチジロウだよ。

僕は小さい頃、人並みにアニメをよく見る子供でね。それはもういろいろ見たものさ。
ドラえもん勇者シリーズドクタースランプアラレちゃん、ドラゴンボール……
中でも一番心に残ってて、且つ僕の根っこの部分を占めてると言っても過言ではない作品が、少年アシベキテレツ大百科です。
今回はその内のキテレツ大百科についていろいろと書いていこうかと。

前置きとしまして、キテレツ大百科藤子・F・不二雄原作の児童向け作品で、原作は1974年に始まり、アニメは1988年にスタートしました(へぇ~)。
アニメが300話以上続いたのに対して原作は40話しかないという、所謂「母をたずねて三千里」状態になっておりながらも、生前のF先生が自身のアニメ作品で1番のお気に入りに挙げるなど、なんとまあいろいろとエピソードに事欠かない作品だというわけですね。
内容としては、江戸時代の天才発明家・キテレツ斎の子孫、木手英一(通称キテレツ)がキテレツ斎が残した奇天烈大百科を元に発明を再現し、難題に立ち向かう、大まかにいえばそんなストーリー。

さて、一番心に残ってると言いましたが、全311話のうち、よくて半分くらいしか見てないんですね。ああ、許してください! 物を投げないでください! 仕方ないじゃあありませんか! 物心がつく前からやってる作品なんですよ? 最近までやっていたTOKYO MXの再放送でチビチビと補完していた状態なのですよ! しかもこの作品、ソフトのバリエーションも乏しくて全部揃えるとなるとバカ高いんですよ! 勘弁してくださいよ!
んん、気を取り直して本題に入りましょう。

 

キテレツ大百科はメインキャラクターは前述のキテレツ、キテレツが作ったからくりロボット・コロ助、メインヒロインのみよちゃん、ガキ大将のブタゴリラ、ボンボンのトンガリの5人。他にも数人いますが、基本となるこの5人の構成。そう、ドラえもんをはじめ藤子作品にはよくある構成の5人組なんですね。
しかし、キテレツのアニメ版に関しては、その構成は似通っていても役割が違う。例えばドラえもんの場合、トラブルメイカーはほぼのび太だが、キテレツ大百科の場合はブタゴリラコロ助、時々トンガリ。
なのでブタゴリラはガキ大将成分は薄めで、コミカルでどこか憎めないキャラクターになっており、そのせいか普段トンガリは理不尽に殴られたり散々な目に遭っているにもかかわらず、115話『花の命は短いぞ!ブタゴリラ最後の日』や、242話『ブタゴリラの総決算!お騒がせ大全集!』、273話『消えたブタゴリラ!イモより怖い神隠』などで、ブタゴリラやその家族が危機に陥った時には、誰よりも心配する面を見せたりと、キャラクター同士の信頼関係が垣間見えたり、274話『とんだアップル?みよちゃんの初恋物語』、284話『はやまるな!コロ助駆け落ち成人式!?』のようにたまに見せるセンチメンタルなお話も魅力。

それが際立って見えるのも、キテレツ大百科の真骨頂であるコミカルな演出。(主に)ブタゴリラの勘違いで展開されるお話はバカバカしくもほっこりさせられ、同時に勘違いが重なって、とんでもない方向へ話が進むのを見るのは圧巻なのですよ。
その勘違いによるトラブルを解決するために、キテレツの発明を使うわけなんですが、それだけでは解決できないことも。むしろ頼まれて作った発明は、かえって話をややこしくすることもあったり(航時機や亀甲船、潜地球など、既存の発明品を移動手段として使うのはうまくいったりするのだけど……)。
そんな時に意外と役にたったりするのが、キテレツのパパだったり隣に住む大学生・勉三さんだったり脇を固めるキャラクター。子供たちでは解決できない問題も、大人たちの助力によって解決したりする、というのも、キテレツ大百科の特徴のひとつである(勉三さんは時々トラブルメイカーになったりしますが)。
この辺がドラえもんとは違うところ。あちらではひみつ道具が問題解決の鍵となり、その道具を調子に乗ったのび太や、それを奪ったジャイアンなんかが下手な使い方をして、事態が大きくなる。そして最後にしっぺ返しという、言ってしまえばお決まりのパターンができてるわけですよね。
同じような要素を使った作品でも、それぞれがちゃんと味をだしていて面白い。それもドラえもんが15分のエピソードを2つ、キテレツ大百科が30分のエピソードを1つ。という、後者のほうがお話をひとつふたつ転がせる。といった差もあるのかも知れないね。

話を戻しまして、大人たちが絡むといえば107話『トマトはナステフテフは一体何ナリ』や、140話『むかしの常識!?堂々封切総天然色三本立』や、201話『レトロー!父ちゃんの思い出オート三輪』などの、昔の物や文化などを題材にした話がありますね。
特に『トマトはナス~』では、古い百科事典を受け取ったブタゴリラからトラブルが始まり、最終的に歴史的仮名遣いの存在に気付き、真っ先にパパに聞きに行ってすんなりと事態は解決する。こういう解決が出来るのも、キテレツが学校であったことやちょっとしたことを、ちゃんと食卓で家族に報告してるからこそなんですよね。そういうシーンをたびたび見てはなんていい子なんだキテレツ! と心の中で絶賛したものですよ。
さらにこのお話の最後で、すっかり古い百科事典にハマったブタゴリラが、「けふもやさいのれうりでぜうぶなからだ」と言って話を閉めるわけですが、幼い頃に見た僕には当然ちんぷんかんぷんで、祖母にどういう意味だと尋ねたものです。

ああ、なるほど。だとすればキテレツ大百科は親子で見るともっと面白いアニメだったのかも知れないね。
最近で言えば、妖怪ウォッチのアニメなんかもそうだけど、あれは昔の作品のパロディを織り交ぜながら親の層を楽しませ、「親が笑えば子も笑う」といった形。少し昔だとハッチポッチステーションなんかもそうだったね。
それらと比べると、キテレツ大百科は昔の文化なんかを教えてもらえたり、まるで教育番組のようで、親子のコミニュケーションも取れると。いやあ面白いですなあ。
ただ、今現在の設定でキテレツ大百科をやるとしたら……う~ん、やっぱりあの90年代前半という雰囲気が一番絶妙な時期だったのかなあ、と思ったり。

ふう、言いたいことを全部詰め込もうとすると、しっちゃかめっちゃかになってしまうね。
では最後のシメに2013年9月5日に発言した僕のツイートを引用して終わりとしましょう。



ああ、死ねないね!

それでは。