べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

磐石すぎるとドラフト会議2018のお話。

 

落ち込んだこともあったけれど、僕は中日ドラゴンズが好きです。

そんなここ数年落ち込むことも多かったドラゴンズファンの心を癒し、湧き上がらせたイベント。そうドラフト会議から早1週間が経とうとしている。

 

何があったのか言うのも野暮なことですが、今年の甲子園で春夏連覇を達成した大阪桐蔭の主軸を張り、地元のスターでもある根尾昂を4球団競合の末に交渉権を獲得したのですよ。

それだけでも盛り上がるというのにその後の指名も球団ファンのみならず他球団ファン、専門家からも絶賛されるほどの当たりドラフトだったので、もうここのところ野球のニュース記事を見るのが楽しくて楽しくて。未だに録画したくじ引きのとこ繰り返し観てるくらいだし。

 

そんな稀に見る当たりドラフトだったので、以前も書いた通り*1数少ない趣味のひとつとしてドラフト注目選手を調べて集めてるのでその感動もひとしおなわけですよ。

なのでようやく興奮が僅かながら収まってきたことだし、その感動を忘れないうちに書き記しつつ、どんな思惑が渦巻いていたかみたいなものを解説していこうと思います。こういう周りを取り巻く空気感ってデータだけだとけっこう忘れちゃいがちなのでね。

 

それではまず指名選手をおさらいしておきましょう。

1位 根尾 昂  内野手 大阪桐蔭
2位 梅津 晃大 投手 東洋大学
3位 勝野 昌慶 投手 三菱重工名古屋
4位 石橋 康太 捕手 関東第一
5位 垣越 建伸 投手 山梨学院
6位 滝野 要  外野手 大阪商業大学

 

まず1位指名の根尾昂。先にも書いた通り大阪桐蔭甲子園春夏連覇の立役者であり、投げては春のセンバツで2年連続の優勝投手。打っては今夏の甲子園でホームラン3発。守ってはフットワークと強肩で好守を連発という、超高校級の好素材。

実力もさることながら小学生時代にはドラゴンズジュニアにも所属経験があり、名古屋ローカルでは中学の頃からテレビ番組などで取り上げられていたという浅からぬ縁の持ち主という全ての面において獲っておきたい選手だったので、もはや運という一言では表せない何かが働いたのではと言いたくなるような抽選でした。根尾くんが獲れただけでほぼ100点のようなものだったんですよ。今年のドラゴンズのドラフトは。

 

続いて2位指名の梅津晃大。甲斐野(ソフトバンク1位指名)、上茶谷(横浜DeNA1位指名)と並ぶ東洋大トリオの一角であり、他の二人に比べると成績の面で一枚落ちる程度で、各媒体では1位指名候補の一人に数えられていたほどの選手です。

一時は広島が一本釣りを狙っているという情報もあったのですが、その広島が小園を引き当てたのが功を奏して運よくここまで残っていたのではないかと。ドラゴンズの動向としても元々は根尾を外した場合の外れ1位、もしくは根尾→辰巳(楽天1位指名)と外した場合の外れ外れ1位として考えられていたので、ラッキーが重なったという結果です。

もしこの結果をドラフト前の人たちに見せたら、「夢を見すぎだ」と笑われるレベルで夢のような1位2位なんですよ。

 

そして3位指名の勝野昌慶。がっしりとした体格のMAX150km/hオーバーの本格派右腕。こちらも根尾と同じく岐阜県の出身で所属が三菱重工名古屋というバリバリの地元枠。

とはいえその実力は確かなもので、もし2位指名の時点で梅津が残っていなければ勝野が指名されていても何らおかしくないといったレベルの選手でした。

そして噂程度の話なのですが、愛知の社会人選手が何人か順位縛り(ある程度の順位以上の指名じゃないと入団を断る)をしていたらしく、恐らくその中のひとつが「勝野が3位以内で」という話だったのではないかと言われています。それを仮定として、ここが次の指名にも関わってくるんです。

 

その4位指名、石橋康太。高校通算57本の強打と強肩を併せ持つ、世代ナンバーワンとも言われるキャッチャーです。

谷繁が引退してからというもの、正捕手問題が解決していない且つ25歳より下の若い世代のキャッチャーがいないドラゴンズとしてはどうしても欲しい選手でした。

そこで問題だったのが前述の勝野の順位縛り(仮定)。というのも、もちろん扇の要であるキャッチャーというのはどこの球団も欲しいもので、この石橋をリストアップしている球団はいくつもあるわけです。中でも阪神とロッテの2球団が熱心にチェックしているという情報がありました。

そうなると球団の指名順が鍵になってきます。ドラゴンズが3位の指名をして次の4位の指名の順番がくるまでに阪神とロッテの指名順が2回ずつ回ってくるんです*2。つまり勝野を諦めて確実に石橋を獲りにいくか、リスクを承知で両獲りを狙うか。

3位指名の前にドラゴンズはけっこうな間があったのですが、大体こんなことの話し合いがされていたのではないでしょうか。結果としてまたもやラッキーが転がり込んできたわけです。

もうひとつの説として同じく地元枠の名城大学・栗林が順位縛りをしていて3位指名は勝野か栗林かの天秤に迷っていたというのもありますね。結局、結構な実力にも関わらず栗林は指名漏れとなっているのでこっちのほうが信憑性が高い感じもしますね。どちらにせよ、1位根尾・2位梅津という夢のような指名ができてしまったことによる嬉しい悲鳴ということになりますね。

 

5位指名の垣越建伸はまたもや岐阜出身の投手。根尾とは同じボーイズチームに所属していたという話題性もある素材型左腕。6位指名の滝野要は俊足の外野手。という補強ポイントを押さえた指名で選択を終了。

欲を言えばレギュラー、バックアップ共に30代の選手と外国人選手が務める外野にもう一人くらい若手の選手をと言いたいところだったのですが、リストアップしていた外野手である万波(横浜高校日本ハム4位指名)や山口(明桜高校・ロッテ4位指名)が5位指名が回ってくるまでに残っていなかったので断念。といった感じなのでしょうか。

 

そんな感じで磐石すぎるが余りに「欲を言えば」の部分の経緯まで読み取れてしまうほどのドラフトだったわけですが、例え根尾を外していたとしても順位をこのまま一つ繰り上げて4位に中神(市立岐阜商・広島4位指名)を入れれば上々のドラフトと言えたり、梅津が取れなかったとしても2位勝野・3位栗林と置き換えることができたり、4位指名の賭けに負けていても石橋の代わりに益子(青藍泰斗・横浜DeNA5位指名)や宮下(浜松開成館)が入っていただろうという代替案もポンポンと出てくるあたりの隙の無さも素晴らしい何年に一度というドラフトだったなと改めて思いました。

 

このドラフトの選手たちを中心に、またAクラス常連になっていけたらなあ。

 

それでは。

 

*1:2年前じゃん

colapoly.hatenablog.jp

*2:3位は逆ウェーバー、4位は純ウェーバーなので中日3位→ロッテ3位→阪神3位→楽天3位→楽天4位→阪神4位→ロッテ4位→中日4位の順番。