べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

マシーンとジャルジャルのお話。

 

そりゃあ、時間は経つものですよ。同じ話題だとしても、経った時間の分だけ書くことがあるってことですよ。そもそも毎年ガキ使のエンディングやらCMの話してるしね。

そんな感じの我がブログですが、以前書いたジャルジャルのアレ(

修正とジャルジャルのお話。 - べっかん

)から既に3年とちょっと経ってるってことだし、ジャルジャルとしてもM-1の出場規約である15年目を過ぎてしまったという節目でもあるので。前回のお話からの追加という感じでやっていこうと思うよ。

 

というわけで軽くおさらいをしておくと、デビューから2010年あたりまでトントン拍子に進んでいたものの、『しくじり先生』で言っていたように「尖がってると思われている」からかそこからの5年くらいはあまりパッとせず、世界ツアーや12ヶ月連続DVDリリースなどの活動も「まったく話題にならなかった」。そこから2015年のM-1での3位という結果にこれから目が離せないよねっていうのが前回(2015年末)の大まかな内容ですかね。

 

それからのジャルジャルはというと、その年のM-1の成績からか徐々にテレビ出演も増えており、後藤に関しては「アメトーーク」の踊りたくない芸人では固く小さい動きで欠かせないメンバーになってます。

M-1グランプリでの成績も好調で2016年こそ準決勝敗退だったものの、2017~18年は連続で決勝進出し2018年は再び3位という結果でラストイヤーを終えたといった3年間でした。

 

そのM-1での内容はといえば、2017年のピンポンパンゲーム(個人的にジャルジャル史上での最高傑作だと思っている)のネタでは思うように点数が伸びずに6位。しかし、審査員の松本人志からは95点というその日の松本個人での最高点をつけられ、初めて決勝進出した2010年の審査コメントで「これを漫才と言っていいのかどうか……」という評価からここまで駆け上がったかと勝手にグッときてしまいましたね。

このピンポンパンゲームのネタは本人たちにとってもかなりの自信作だったようで、このネタが出来上がった瞬間に「これは優勝できる」「優勝するネタってあるんやな」と盛り上がったらしく、それだけにいざ決勝で点数が出た時点で最終ラウンドに進出できないと分かった瞬間には福徳がコメントもままならないほどに落胆し、大会終了後生配信での反省会では人目をはばからず号泣するほどのものでした。

 

次ぐ2018年ではまた前年と系統の似た(ZAZEN BOYSのようなという言い方が僕は好き)ネタ「国名分けっこ」で挑み霜降り明星、和牛に次ぐ3位で最終ラウンドに進出。2本目は前年の予選やTHE MANZAIなどでやっていた「どうもージャルジャルでーす!」のネタで挑むも上位2組を打ち崩すことができずに3位で終了。しかし前年とは違い舞台上でも終了後の生配信でもやりきったという気持ちが強いといった表情・コメントだった。

この国名分けっこのネタはこの年のキングオブコントの準決勝で敗退した時に「よし、じゃあ今年はM-1や」と切り替えて作ったネタらしく、キングオブコントの決勝進出者が内々で発表されたのが9月のはじめだったはずなので3ヶ月足らず、予選を考えるともっと少ない時間で作りあげたネタだということになりますね。そうなると、2本目のネタが前の年からやっているネタだっただけに、最初からM-1に向けて取り組んでいたら……と無粋ながら考えてしまいますよね。

 

 

あと審査員のサンドウィッチマン富澤のコメントで「(もっと二人の人間味を感じるといい)マシーンのようだ」というのがあったんですけど、僕はこれを聞いた時にかえって二人への褒め言葉だなと思ったんですよね。事実としてはお客さんのウケ具合を伺いながらツッコミのタイミングとかを変えているらしいのですが、それを抜きにしても特にこれといったキャラクターを持たない彼らにとって、今のスタイルはキャラクターに頼らずに笑いを取らなければならなかった彼らならではの笑いの取り方だったんじゃないかと。だからこそ、マシーンというのは言いえて妙だなと思ったわけです。まあ、サンドウィッチマンのように見た目もキャラクターも個性の塊のような二人のネタを作る富沢がそのへんを重視するっていうのも分かりますけどね。

そしてもうひとつグッときたのが同じく審査員だった中川家礼二のコメント。2015年には「もっと大きい枠の中で(その時のネタのような)細かいのを入れていけば漫才っぽくなったかな」というなかなか手厳しいものだったが、2018年には(ラストイヤーということもあってだろうか)「ずっと形を変えなかった頑固さがすごい」というお褒めのコメントだったのです。

2010年に初めて決勝進出した時には「人気者を出すなら他にいるだろ」などといった内外からの声や前述の松本のコメントなど、風当たりの厳しいものが多かったなかを己の信じる面白さのみを信じて打ち破っていったというこのストーリーがジャルジャルの強さだなと思うわけです。

とはいえ、その「漫才っぽさ」というところは本人たちも気にかかる部分ではあったらしく、2018年の国名分けっこのネタの冒頭では「子供の頃やった遊びとか懐かしいなと思って」という漫才の入りとしてはベッタベタなものをあえて使って漫才っぽさを演出したというエピソードもあり、その頑張るとこがなんかズレてるところもジャルジャルらしいところですかね。

 

そんなジャルジャルのネタ作成方法はかなり独特で、二人きりで膝を突き合わせつついろんな場所から着想を得てそれをお題にその場の即興で作り上げ形になりそうなものをピックアップしていくというもの。ひっかかりさえあれば無限にネタを量産できるというわけです。まさにマシーンのように。

さらに「練習をしすぎると面白くなくなる」らしく、ほとんど舞台上の流れで遊びながら作り上げていくというスタイルで練り上げていく。そんな中でピンポンパンゲームや国名分けっこのようなひとつズレるとなりたたなくなりそうなネタをやってのけるのだから、センスやお互いへの信頼感や舞台での勘のようなものがズバ抜けていることが分かる。

そしてそういったネタ作りから生まれたのが現在公式YouTubeチャンネルから毎日アップされているネタのタネ。

www.youtube.com8000本を超えるネタのタネをアップしていって2023年に完成予定だそう。とんでもない。

 

このように日々ストイックに活動しているジャルジャルM-1グランプリへの参加資格は失われてしまったが、これから更なる活躍に期待したい。

 

それでは。