べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

令和と伝説の企画のお話。

 

水曜日のダウンタウン』の「新元号を当てるまで脱出できない生活」。予告の時点で面白そうだったけど、それをさらに超えてくる面白さでしたね。ずいぶん前から予告されていたり、番組初の1時間を1企画ぶち抜きであったり、相当自信があったからのことでしょう。

冒頭の番組のヘビーウォッチャーをニヤリとさせた優しい拉致から始まり、絶妙なルールのもとにゲーム性ドラマ性ともに優れ、最後には感動さえ覚える神回でした。演出の藤井健太郎氏も「おそらく二度とできない企画」とツイートするほどの後世まで語り継がれる伝説の企画となったのではないでしょうか。

 

そんな伝説を目の当たりにした熱が冷めやまないので、個人的に伝説の番組、伝説の企画だと思ったバラエティ番組をいくつかピックアップしてみようというのが今回の趣旨というわけです。どうぞよろしくお願いします。

伝説の番組といえば世代的に『内村プロデュース』や『爆笑オンエアバトル』などがありますが、ここでいう伝説というのは前述にもあるとおり「二度とできない」というところに重きをおいたものです。

 

まずは同じく藤井健太郎氏が演出・プロデューサーを務めた『有吉弘行のドッ喜利王』。

2015年に特別番組として放送された番組。大喜利ブロックとドッキリブロックに分かれ、大喜利ブロックで自分の出した回答が後日ドッキリとして自分の身に降りかかるという構造になっており、ドッキリにかけられた庄司智春が発した「テレビって進化してるな!」という言葉はこの番組の評価そのものだったように思える。

しかしこの構造がバレてしまった以上、再び同じ内容でやるのは困難であろうという観点から伝説とさせていただきます。

しかし『クイズ正解は一年後』でもそうだけど、藤井さんは時間差を使った演出が素晴らしいですよね。

 

2つ目は『とんぱちオードリー』内の企画「あがき場」。

若林をMCに、春日を交えた様々な「芸能界であがいている」人たちを集めてトークをする企画。

キャラがコロコロ変わるアイドルや、探偵の仕事ばかりで役者の仕事をほぼしていない俳優、歌手→芸人→アイドル評論家というあがき続ける経歴を持つ男、地底人バンドという香ばしい人たちが集まるトークバラエティと思いきや、トークやVTRを見ていくうちにアイドルの部屋にあったはずのぬいぐるみがアイドル評論家の家にあった疑惑が浮かんだり、そのぬいぐるみが盗聴器の仕掛けてあるものだと(盗聴器に詳しい)探偵が指摘したりと、どんどん雲行きのあやしい方向に進んでいき、最後は地底人バンドの曲に乗せてそれまでのVTRに出てきたアイドル評論家が歌手時代に書いた手書きの歌詞が昔アイドルに届いたストーカーの手紙の筆跡と一致したり、アイドルが自宅を紹介している後ろのクローゼットにアイドル評論家が忍び込んでいたりと全ての伏線が回収されていき最後に「脚本 オードリー」という文面で締められるというもの。

夜中にたまたま見ていたんですが、後半の怒涛の展開と情報量の多さに口をあんぐりさせることしかできなかった素晴らしいフェイクドキュメンタリーでした。

二度とできないとまでは言わないまでも、これほど情報量の多いネタを一番組の一企画として使うという贅沢さはなかなか見られないものだと思います。

 

3つ目は『くりぃむナントカ』内の企画「第二回長渕剛ファン王決定戦」。

くりぃむナントカ』がまだ深い深夜時代の名企画で、くりぃむ上田をはじめとする長渕剛のファンである芸能人が、有田の指示のもと長渕剛のモノマネ芸人・英二の仕掛ける罠(わざと同じ曲を何度も繰り返したり)や、まったく似ていない人の歌う長渕剛などの仕掛けにどれだけ耐えられるかを競う企画です。

第一回の好評につき、55分枠に移動する前の最後の企画として放送されたもので、最初は第一回と同じく有田の執拗な仕掛けに耐えるメンバーで前半の週が終わり。その一週間後の放送、憔悴しきったメンバーのもとに現れたのがなんと第一回をたまたま見て番組に逆オファーをかけてきた長渕剛だった。

当然驚きと興奮でざわつくメンバーだったが、本人のミニライブを目の前に本来のファンの姿を取り戻していくというジーンとくる内容だった。

モニターで見ていた有田も「この企画はもうお蔵入りだね」と呟いたほどこれ以上ない多幸感にあふれた30分だった。

後にファンメンバーだったワッキーが『アメトーーク』の長渕剛芸人でこの時もらったブルースハープを宝物として持ってきていたのでファン王たちにとっては忘れられないものだったに違いない。

 

こんなとこですかね。ななまがりの二人が見事当てた「令和」でも、このような伝説に出会いたいものですね。

 

それでは。