べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

雑感とドラフト会議2019のお話。

 

年に一度のビッグイベントだし、数少ない趣味としてドラフト候補を調べて集めてこの日に備えている身としては、やっぱりなんか書き残しておきたいと思っていたのだが、2016年*1や2018年*2のように特出すべきことは起こらず、割と可も無く不可も無く、「この選手はこのくらいの順位かな~」という選手がだいたいそんな順位で指名されるつつがない感じで進行していったのでどうしたものかと思ってね、そういう時は全体的に眺めるに限るとうことを毎年の賞レースで学んでいるので僕目線から見た雑感といったスタイルで進めていくことにしましょう。どうぞよろしくお願いします。

 

というわけで、指名選手を全員書きまとめるのもめんどくさいので各自Wikipediaと交互に見るなりしてなんとなく見ていってください。

 

東京ヤクルトスワローズ

いきなりですがここがピークです。

とにかく投手に苦しんだシーズン。当初は即戦力候補の森下を指名すると思われていたものの、ドラフト数日前に1位指名を公言した特Aクラスの奥川をくじで引き当てただけでも万々歳ですよね。多くの解説者が「1年目から一軍でやれる逸材」と評していることからよりいっそうの伸びしろを求めての公言→指名ということだったのでしょう。

その後2~4位までを大学生の即戦力候補、名前を見ただけでも大学レベルでは実力者揃いで一貫性のある指名になっています。奥川を含めてこの辺をガンガン一軍で使っていって無理やり血の巡りを上げていくのが目に浮かぶ。

あとは内野の高校生二人。廣岡なのか奥村なのか西浦なのか、期待されている若手がイマイチ固定にまでは至っていないショート事情からなんですかね。

ともあれくじ引きの結果から見てもネームバリューから見ても12球団イチのドラフトだというのは間違いないでしょう。

 

オリックス・バファローズ

最下位なのにくじを2回も外してかわいそう。

オリックスなんかはもうどこを獲っても補強になるような穴ぼこ球団だと思ってる不勉強で失礼な奴なのですが、その割に育成を含めて高校生投手が多めですよね。山本由伸の二匹目のドジョウを狙ってるような気がしないでもない。とはいえ、1位の宮城は外れ1位候補にもそこそこ名の挙がる選手だったので外れ外れにしてはいい選手を確保できたんじゃないでしょうか。

個人的に外れ1位で指名してくじを外した河野のほうが「オリックスの1位指名っぽい」と思っていたので少し残念ですね。

 

中日ドラゴンズ

僕はドラゴンズ贔屓なのでここはたっぷり使います。

まずは1位、地元・愛知東邦高校センバツ優勝に投打で貢献した石川昂弥。

多くの予想では奥川狙いかと言われていたが、ドラフト2日前に1位指名を公言して他球団への牽制。……にも関わらず3球団競合になってしまうという、リアルタイムでは気が気でない状況に陥るも与田監督が2年連続で引き当てるというミラクルでまたもや運命力を感じざるを得なかった。サンキュー肩幅。

当初の見方では「奥川を外したら石川」という言われており、それも外れたらパニックになるぞとさえ言われていた。その最悪の状況を避けるため、安全策として確実に石川を獲得する算段だったのだろうが、それさえもヒヤヒヤする結果になってしまったのはU18世界大会で石川の評価が高まったからだろう。結果として、堂上直倫、高橋周平と同じく3球団競合高卒野手という箔がついたので良しとしましょう。

その後は頭数は揃えど層の薄い投手陣を補う投手を上位で確保しておきたい思惑で、2位3位は左右の即戦力投手。2位の橋本は「順位高くない?」とは思ったものの、2位までの順位縛りがあったとのことで、それでも指名に至ったのはそういう誠意なんでしょう。3位は東芝の岡野。大学時代からドラフト候補として名前が挙がっていながら社会人としてのドラフト解禁から1年待っての指名。

ここに地元の立野が残っていたら獲っていたのかは気になるところですが、ともあれここの2人が結果を残すかどうかで今年のドラフトの厚みが変わってくるのでこれからに期待。

4位は大学生捕手の郡司。捕手は今年合計で3人もチームを去っているので誰かしらは獲る予定だったのでしょうが、上記の順位縛りの2位までに同じ大学生捕手で評価の高い佐藤と海野が他球団に獲られてどうなるかと思ったものの、同等とは言わずとも注目度の高かった郡司がこの順位まで残っていたのはラッキーだったのでは。

5位は地元枠の岡林。野手としての評価もあるらしいのですがその辺は同じく地元枠5位指名だった藤嶋よろしく話し合いでしょうかね。

6位の竹内は寡聞にして知らなかったのですが、なんでも八木スカウトの肝いりで調査書1チーム(つまり中日のみ)だったという隠し玉ですね。この選手が大成すれば八木を戦力外から拾ってからのエピソードが増えて「八木は来て良かったなぁ~」ポイントが貯まりますね。

 

北海道日本ハムファイターズ

今までの高卒中心のイメージからガラッと変わった印象。即戦力左腕の1位指名・河野と愛知出身の2位指名・立野という、中日の2位3位指名にも影響があったように思える上位(河野はオリックスも指名したのでどうしようもないが)ですね。

その後も投手中心に育成を含めてポジションまんべんなく獲得しており、全体的な底上げが目的なんでしょうかね。

 

広島東洋カープ

競合必至と言われていた森下を一本釣り。明治大学の一本釣りというと野村の系譜ですね。順調にいけば来年の新人王候補筆頭でしょう。

やっぱり大きかった丸の抜けた穴に打って走れる大学生の宇草を指名。その後は高校生を中心にバランスよく指名。個人的に3位の鈴木寛人は夏の甲子園で見ていいストレートを投げていたので印象に残ってますね。6位の玉村も素材型として評価の高い投手です。

 

千葉ロッテマリーンズ

今年の目玉である佐々木朗希の当たりくじを引き、ここ5~6年のドラフトを見ると近いうちにとんでもないことになりそうな気がするんですが、どうなってるんでしょう。

2位も大学生ではトップクラスのキャッチャー・佐藤を獲得と、この2人だけで満点クラスの指名。

その5~6年のネームバリューの高い選手がちゃんと育って地味なチームの印象を拭い去ってほしいですね。

 

 

阪神タイガース

1順目で奥川を外しながらも、同じく高校BIG3に数えられる西を獲得。その後も履正社・井上、横浜高・及川というこれまでの路線から180度違うような高卒ミーハー指名に、これまでのお笑い指名を期待していた身としては一貫性のある指名に物足りない気もしますが、これだけ思い切った指名ができるほど近本・木浪のルーキーコンビが通用し現状が好調だからと判断したのだろうし、もちろん物になれば全体的なレベルアップを見込めるわけですしね。

(お笑いを期待してたので淡白な感想)

 

東北楽天イーグルス

1位は佐々木を外して、社会人内野手の小深田。各社の予想でも一番1位指名の読めないチームでしたが、いずれにしても今年競合した選手を軸にそれを外したら桐蔭高校の森という見方が多く、後に出てくる横浜がその森を1位指名したのでその代替ということなのでしょうが、茂木と浅村という二遊間がいる中で即戦力でしかも小兵の内野手はちぐはぐな指名な気がするのが気になるところです。

2位の黒川以降は4人の投手、そのうち3人が大社の選手と、このあたりの厚みを増していくのがポイントなんですかね。

今年の楽天は辰己、太田、渡辺、小郷と4人のルーキー野手を積極的に一軍で使っていたのでその延長で投手にも新しい風を入れて若返りを図っていく、1位の小深田もそのバックアップと考えれば分からないでもないけどそれでも1位ってのはどうなのって感じですかね。

 

横浜DeNAベイスターズ

事前の公言はせず、「インパクトのある指名」とだけ告げた横浜は前述の通り、1位指名が地元桐蔭高の森。

近年、横浜の1位指名のイメージといえば競合レベルの選手は避けて一枚劣るが実力のある即戦力投手を一本釣りというのがあるのですが、今年に限ればそのレベルの投手というのがなかなか難しいということもあったのか一本釣り狙いというのは踏襲しつつ高校生内野手を獲得。去年の小園を外しているのを見ると一応のテーマみたいなものは伺えますね。

2位3位で左右の大学生を獲得しているので、ここでこの2人を確保できると踏んでの強気の指名だったとも考えられます。

 

福岡ソフトバンクホークス

石川指名で中日をヒヤヒヤさせたチームのひとつ。外れ1位で身体能力の高いJR西日本・佐藤、2位で今年の目玉大学生捕手のひとり海野を指名するなど、本指名、育成指名含めて野手中心の指名となっており、ここ数年言われている野手陣の若返りを狙っているのは見るからに明らかといった感じですね。

4位の小林も最速150km/hを投げる投手としてでなく、高校通算30本の内野手としての評価という点でもとにかく野手といった指名でした。

 

読売ジャイアンツ

くじ引きの連敗を12にまで伸ばしてしまった外れ外れ1位は堀田。

とはいえそれで優勝するほどの戦力、FAで補えるほどの資金力とブランドをもつ球団ですから多少くじを外しても問題ないんでしょうね。

指名の傾向としてはとにかく体格のいい選手。育成を含めた8人中5人が180cmオーバー。内4人がさらに185cm以上とかなり大柄の選手を揃えた印象。去年の指名も184cmが2人、190cmオーバーが2人なので体格という才能を重視してるんでしょうか。

 

西武ライオンズ

球界屈指の打線を持ちながら、投手に不安のあるチーム事情なので1位の宮川をはじめ、全体で6人の投手を指名。

また、3人の選手を独立リーグから指名するという独自指名を展開しました。特に3位の松岡と7位の上間は高卒1年目の若手。同じ経歴の伊藤が戦力になっているので、その辺が分かっている球団の強気な指名ってところですかね。

 

ね、全体的に「なるほどね」って感じだったんですよ。でもこういう風に振り返ると来年、再来年と見るとこが変わってきますね。やってよかった。

 

それでは。