べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

【前半】2000~2021年僕らの邦楽アルバムベスト20のお話。

前回の2006~2015年の名曲ミーティング(2006~2015年と自分たちの名曲ベスト30のお話。 - べっかん)の興奮冷め止まぬ5月某日。さらに新たなメンバーを迎えて2000年以降のアルバムを苦しみに苦しみぬいて20枚にしぼったものを持ち寄り、7時間半にも及ぶミーティング(またの名を楽しいzoom飲み会)が行われた。

今回もまたその様子を書き起こしたものである。

 

☆以下レギュレーション☆

・2000年以降に発売された邦楽オリジナルアルバムに限定。

・ベストアルバム、トリビュートアルバム、カバーアルバム、サントラなどは除外。

・同一アーティストは1枚まで。

・後世に残したいアルバム。

・メンバーはこばやんヤマグチジロウにっしーきょろこばやん(妻)さとるんキッズのすけぴろ(当日欠席)、がちゃぴん(当日欠席)の9人(発表順)。

ウェーバー制の廃止

・今回は欠席組にもコメントをいただいています。

・新メンバーもいることなので改めて各々の好きなアーティストを載せておきます。参考にしてみてください。

こばやん フジファブリック、ハンバート ハンバート、スピッツ

ジロウ POLYSICSスピッツ、ビレッジマンズストア

にっしー Mr.ChildrenSMAPサカナクション

きょろ BUMP OF CHICKENASIAN KUNG-FU GENERATION星野源

こば妻 BaseBallBearフジファブリックスピッツ

さとるん 80KIDZceroフジファブリック

のすけ ACIDMANストレイテナーTHE BACK HORN

ぴろ スピッツ星野源ASIAN KUNG-FU GENERATION

がちゃぴん SMAP細美武士、AAA

☆以上レギュレーション☆

 

 

さっそく書き起こしをはじめたいところなのですが、録音ミスで20~16位がまるまる録れていなかったのでコメントにて代用させていただきます。多分、アレを2回押したのがまずかったのかなとは思っています。日々勉強です。

 

こばやん20位~16位

20位 EXIT/トクマルシューゴ

"おもちゃ箱をひっくり返したような"という表現はよく使うけれど、"おもちゃの世界に入り込んだような"と感じるのは彼の音楽性でしか表現できない。実際に楽器だけでなく、玩具を音として使用しているというのもポイント。  

 

19位 fam fam/never young beach

『明るい未来』は"絶対に結婚式で使ってくれよな!"って言われてるようだったから仰せの通り使いましたよ!一枚通しての聴きやすさが圧倒的だし、夏の晴れた休日に聴きたい一枚。  

 

18位 ハイファイ新書/相対性理論

本当は『シフォン主義』を入れたかったが…(ミニアルバムを外すというコンセプトを課した自分を後悔)。でも、こっちも名盤であることに変わりはない。大事なファーストフルアルバムの大事な大事な一曲目のタイトルが『テレ東』って…!違和感アンテナをくすぐりすぎィ!

 

17位 ファンファーレと熱狂/andymori

この時代にジャパニーズロックを聴いていた人は避けて通れなかったであろう一枚。順位が少し低めなのは『1984』と『CITY LIGHTS』が曲として強すぎるから。裏を返せば他が弱く聴こえてしまうほど、この2曲は名曲。もちろん『16』『SAWASDEECLAP YOUR HANDS』など、他の曲も大好き。  

 

16位 ネオ/KIRINJI

バンド体制のKIRINJIはちゃんと評価されていない気がして選出。一曲目の『The Great Journey』はRHYMSTERとのコラボで最強に格好良いし、『絶対に晴れてほしい日』のトロピカルでコミカルな楽曲など、デュオ時代には表れなかった振れ幅が魅力の一枚。

 

ジロウ 20位~16位

20位 Nice Beat/キンモクセイ

昨今のシティポップ隆盛、山下達郎大瀧詠一の再評価に乗してもっと名前が挙がってほしいバンド。『メロディ』が一番好きというのもあるが、『兄ちゃんの唐揚げ』や『太郎のおかたずけ』などのキンモクセイ特有の不可解で意味深なアルバム曲もあり、ボーナスディスクでは『夢で逢えたら』、『踊ろよ、フィッシュ』のカバーもあり、最新から不思議曲からルーツに至るまでがギュッと詰まった一枚。

 

19位 We/SOPHIA

SOPHIAは青が似合う。前々作も青いジャケットだったので余計にそれを感じる。このアルバムはSOPHIAのアルバムの中でもアップテンポな曲が多く、当時の僕の心を刺激したのを覚えている。特に『エンドロール』は同じくアップテンポなポップロック好きの友人に「絶対気に入るから聴いて!」と学校の昇降口の自販機前のベンチで聴かせたのを鮮明に覚えている。思い出枠。

 

18位 Tommy february6Tommy february6

今回のベスト20を組むにあたっていろいろと振り返ったら、もしかしたらエレクトロ好きの入り口はここからだったのかもと気づかされた。当時お小遣いを握り締めてアルバムを買って帰って聴いていたら父親も同じのを買っていて「先に言ってよぉ」というエピソードも印象に残っている要因のひとつ。

 

17位 風味堂風味堂

『眠れぬ夜のひとりごと』をCDTVのオープニングで聴いて以来、1ヶ月ほどずっと1曲リピートで聴き続けていたほどドハマりしたバンド。続く『ナキムシのうた』、『楽園をめざして』の幅広いシングル3部作はもちろん、ギターレスでこんなに激しい曲もできるんだとさらに衝撃を受けた底知れなさは今でも色あせない。

 

16位 THE MILLENNIUM PARADE/the millennium parade

常田大希に「参りました」の一枚。King Gnuの”もはやオペラ”な『三文小説』の時点でかなりクラクラきていたが、さらにこんなものを出されては降伏せざるを得ない。もはやオペラのあちらとは違ってこちらはレトロな映画音楽っぽい音色で構成されていて一貫して「劇場感」みたいなものを感じる(そういえばあちらの最新アルバムもセレモニーだったね)。劇場的に言えば幕間のような1分前後の曲も挿入されていて2021年にアルバムを通して聴いてもらう前提の造りなのはこだわりを感じる。

 

にっしー 20位~16位

20位 Obscure Ride/cero

あの世への入り口のBGMのように神秘的で、何度聴いても没入感が圧倒的。歌詞の隅々に漂う不穏さとブラック・ミュージックとの相性が高く、祝祭のような次作の『POLY LIFE MULTI SOUL』とあわせてオススメ。  

 

19位 MODERN TIMES/PUNPEE

2057年、年老いたPUNPEEが過去を振り返り、タイタニックのように物語は始まる。ヒップホップの多面性と奥深さを教えてくれた、>SF娯楽ムービー的な大傑作。自分の音楽が古くなることをどこか楽しむような『Oldies』のリリックが彼らしい。

 

18位 ハイファイ新書/相対性理論

“歪ませないロック”に衝撃を受けた、語り継ぎたいロックの名盤。永井聖一の極上のクリーントーンが光る『さわやか会社員』のギターソロと、やくしまるえつこの「脱力感あるハ行」の魅力が詰まった『ふしぎデカルト』『学級崩壊』に注目。

 

17位 初恋/宇多田ヒカル

名盤『First Love』を超えようという苦悩やプレッシャーを感じさせないほど、歌声も視点も悠然としていてふわっと軽やか。『Play A Love Song』の「友達の心配や生い立ちのトラウマは まだ続く僕たちの歴史のほんの注釈」はタトゥーにしたい名文。

 

16位 ナマで踊ろう/坂本慎太郎

廃れたテーマパークのような暗さと明るさに包まれた、ギリ合法な“飛ぶ”ための危険アルバム。彼のやり場のない怒りと毒と諦観が、生々しさと虚しさを増してコロナ禍の現在に響く。『ナマで踊ろう』の「ろう(Raw?)」の声の艶かしさが好き。  

 

きょろ 20~16位

20位 Message/モンゴル800

当時インディーズバンドという文化を世に知らしめ、無名ながらも驚異的な売り上げを叩き出し、自分たちの世代において無視することのできない一枚。『あなたに』『小さな恋のうた』はモンパチファンでなくても誰もが歌える名曲。とてもハッピーな一枚。

 

19位 野口久津川で爆死/モーモールルギャバン

ゲイリービッチェの叩くドラムはもはやパフォーマンス、ダンスのようなドラミングで、この曲たちを叩きながら歌うのは単純にすごいと思える。 テンションだけで突っ走っていく曲も多い中、最後のサイケな恋人では最初ちゃんと聴かせながらもラストに向かって爆発していく構成がたまらない。

 

18位 Behind The Scene/ストレイテナー

ライブMCで「自他共に認める良いアルバムです」と公言しており、その言葉通りのアルバム。 ライブ映えする曲が多く、ギターの大山純が輝いてるなぁと思えるアルバム。

 

17位 Japana-rhythm/BENNIE K

このアルバムは四季というコンセプトで曲順が並んでいる。先行リリースされたシングルもうまくそれぞれの季節に当てはまっていて、最後の『4 Seasons』できちんと着地する綺麗な流れも面白い。後にも先にもシンガーとラッパーの女性デュオというメンバー構成は珍しいのではないかなと思う。  

 

16位 the pillows/MY FOOT

同世代のバンドに比べ知名度は低いと思う。でも、このアルバムはロックバンドとして聞き応えがあり、影響を受けたバンドも多いはず。どうしてもこのランキングには入れたかった一枚。

 

こばやん(妻) 20~16位

 

20位 VISION/ねごと

見た目はかわいくてほわ~んとしているけれど、ライブではかっこいい彼女たち! 『VISION』は宇宙旅行のようなアルバム。いろんな星に着陸して、いろんな生物と遭遇するような感覚です。

 

19位 ニューレコード/D.W.ニコルズ

毎日いろいろあるけれど、生きててえらい! と思わせてくれるのがニコルズだと思っています(笑)『あの街この街』はきっと誰もが感じたことのある気持ちが詰まっているはずです!

 

18位 ジャスタジイ/DJみそしるとMCごはん

ライジングで子供たちに囲まれたおみそはんを目撃! これが最初の出会いでした。食にまつわるあれこれを、楽しく歌ってくれるお料理ラッパーです。聴いたらお料理が楽しくなること間違いなし(?)です!

 

17位 魚磔/GO!GO!7188

学生の時に聴きこんでいたアルバムのひとつ! 1曲目から止まらぬスピード感が刺激的で大好きでした。今はその体力は残っておりませんが……。できることなら解散前にライブに行ってみたかった……。

 

16位 LSC/ラブリーサマーちゃん

「なんだこのかわいい声の女の子は!」と思ったのがラブサマちゃん。『魚の目シンパシー』は魚の目をきっかけに恋心を抱く……という曲で、今までにない目のつけどころの曲が盛りだくさんで面白いです~。

 

さとるん 20~16位

20位 CHAMBERS/Steady & Co.

2000年代、リップ、キック、ケツメを聞いていた人なら聞いていたであろうSteady & Co.。メンツも良し、曲(『春夏秋冬』、『Only Holy Story』等)も良し。

 

19位 Beatbox Only "SPROUT"/SHOW-GO

最近気になってるヒューマンビートボクサーSNSで動画を見て、ビートボックスでこんな音出るの?とどハマり。Somehowは聞いて欲しい曲。
ヒカキンきっかけで独学に技術を身につけて2017年に日本1位、アジア大会3位、2018年に世界ベスト8になったすごい人でした。

 

18位 BUFFALO SOULa flood of circle

僕の中でギターロックバンドはこのバンド。1〜4曲の怒濤ギターロックバンドサウンドに痺れた。


17位 paviliontemudy on the 昨晩

te'に始まりいろいろインストを聞いてきたが、結局はmudyに戻ってしまうそんなバンド。『pavilion』は耳コピしたり、譜面見て練習したことのある曲が入っているアルバムでランクイン。

 

16位 Juice/iri

神奈川県逗子市在住のシンガーiriさんの2枚目。低音域も出せているシンガーでCMのタイアップにもなるよなぁってつくづく思う。

 

のすけ 20~16位

20位 メジャー/SANABAGUN

バンド編成でヒップホップジャズを奏でるという、長らくシーンに現れてこなかった音楽の形態を平成生まれが路上から繋いだことが素晴らしい。個人的には高岩遼という偉大な才能がこのまま埋もれていってしまう事は避けたい。いい作品に巡り合えればなぁ、というのを強く願う。

 

19位 密/柴咲コウ

”若手女優がCDを出してみました”のクオリティーを逸脱してしまった作品。アルバムとしては次作『ひとりあそび』の方が名作だと思う。作詞家・柴咲コウの底力が爆発している。ただ1stも今のシーンで戦える普遍的な曲ばかり。シングルも多く、最初の一枚として入るにはぴったり。後世に残すべき一枚としてはこちらで。 中でも『深愛』はアーティストとしての方向性を決定付けた名曲。

 

18位 THE BOOK/YOASOBI

J-POPのアルバムとしては強すぎる。賛否両論ある気はするけど、この一枚を選ばないのは嘘だなと思った。全体は30分と短い構成の中で、1曲1曲に情景が浮かび良質なオムニバスドラマを見ている感覚に陥る。これでもかと言うくらいのポップネスを注ぎ込んだある意味暴力的な一枚。

 

17位 amp-reflection/School Food Punishment

何度でも言う。10年早かった。サウンドは今のシーンにこそ刺さると思うし、フォロワーが現れるような存在になれたと思う。これだけの音を再現できるような実力を持っていた奇跡のようなバンド。前作までのミニアルバムも後世に残せる作品だが、ポップの観点から見ればバンドとして一気に進化した今作を選択。何杯でも白飯が食べられる一枚。

 

16位 ソルファ/ASIAN KUNF-FU GENERATION

”はいはい、みんな好きでしょ?”って感じ。自分も大好き。今日、唯一説明を全部割愛できる一枚。きっと世間的には『リライト』がアンセムなんだろうけど、個人的なアンセムは『海岸通り』です。

 

ぴろ 20~16位

20位 桜の木の下/aiko

私の中ではaikoと言えばこのアルバムですね!『花火』『桜の時』『カブトムシ』たくさん聴いたなぁ♪

 

19位 musiQORANGE RANGE

『NATURAL』とほぼ1位タイなんですが、アルバム全体の雰囲気でわずかに上回りました。『ロコローション』『以心伝心』『ミチシルベ ~a road home~』『花』。『NATURAL』の『キズナ』『ラヴ・パレード』も大好きだなぁ!懐かしいなぁ!


18位 ACTION!/ROCK'A'TRENCH

ロッカは活動期間が短かったのですが、このアルバムはよく聴きました。『My SunShine』『JUMP STAR』はもちろん、老化が早く進行する難病を患いながらも明るく生きるアシュリーのことを歌った『Every Sunday Afternoon』いいです♡


17位 ロマンチスト・エゴイスト/ポルノグラフィティ

ポルノは1stにしました!『ヒトリノ夜』『マシンガントーク』『アポロ』など、中学生の頃を思い出すなぁ~

 

16位 Fantome/宇多田ヒカル

ひっきーは名曲たくさんありますが、アルバムで言うとこれがいちばん好きです♪ 活動再開して、大人になった雰囲気が大好き。『道』『花束を君に』『二時間だけのバカンス』『ともだち』『桜流し』良いです。

 

がちゃぴん 20~16位

20位 (WHAT IS THE) LOVE & POP?/Base Ball Bear

ベボベが刺さる人間ほど「レモンスカッシュ感覚」を感じられなかった青春ゾンビ(諸説あります)。夢を駆け抜けるみたいに始まってラブ&ポップの〆で現実と向き合う感覚が好き。

 

19位 パレード/Galileo Galilei

本編全てを通して、ずーっと透明感のあるアルバム。さわやかな訳でもなく、むしろ捻くれてて、だけど毎日の背伸びに疲れた脚を素直に投げ出して良い気持ちになるような、繊細で軽やかで透明感のあるアルバム。

 

18位 Butterflies/BUMP OF CHICKEN

俺らの知ってるBUMPは俺らの知ってるBUMPのままだし、だけどBUMPは知らない間にもっと煌めいてたし、だけど俺らの知ってるBUMPだからお前らの中にも煌めきがあるの見えてっから生きてみようぜって言ってくれるんだよな......。

 

17位 musiQORANGE RANGE

全員聴いてた。中坊の目が届く世界ではひとり残らず聴いてた。ゆずや19やBUMP OF CHICKENにのめり込んでいた青春に、「歌詞に意味を求めなくても良い」のパンチで花火
を打ち上げてくれた1枚。

 

16位  幸せが溢れたら/indigo la End

気持ちいいコーラスと、良い意味でぞわっとするベースで、どこかの知らないふたりたちの幸せがあふれてこぼれるまでをずっとぼうっと見つめてるようなアルバム。

 

 

 

~~~ここから録音開始です~~~

 

こばやん 15~11位

15位 (WHAT IS THE)LOVE & POP?/BaseBallBear

こばやん:これは青春だね。青春と言えばこのアルバムでしょ。この前(名曲ベスト30)は『PERFECT BLUE』なんだけど、アルバム単体で聴くんだったらやっぱりこっちがBaseBallBear感が出てるし、ベストアルバムと言ってもおかしくないよねっていう。初期のベボベ感が出てるのはこのアルバムかなと思ってこれにしました。思い出補正もあるかも知れないけど、自分が一番青春をしてた時代にこのアルバムを出されたらやっぱり脳裏にこびりついちゃうよねってところかな。

個人的には結婚式の新郎新婦入場で『BREEEEZE GIRL』を使ったのは良かったんじゃないかなと。

こば妻:「テンション高いですね」って言われて。

こばやん:そう、そのことを(こば妻)がベボベのミート&グリードみたいなとこで話したら「テンション高いですね!」って言われたっていう思いでもある。

のすけ:「ありがとう」とかじゃなくて「テンション高いですね」だったんですね(笑)

 

14位 音タイム/ハナレグミ

こばやん:これは名盤だよと。いろいろ見てて思うのが9曲10曲くらいのアルバムが聴きやすいのかもしれないなと自分の中で思っていて。これも何回もリピできちゃうから。

『家族の風景』が一番ハナレグミの中では代表作かなと思うんだけど、この世界観ってこの曲だけじゃなくて、全体的に聞いていて家族感が出てるというかホッとするっていうかね。家に帰ってきた瞬間みたいなのが詰まってる。家に帰って玄関を開けた瞬間が一日の中で一番ホッとすると思うんだけど、これを聴いてるとその「ホッとする」っていうのがずっと続いてるみたいな。それが体言できてる。

にっしー:『あいのわ』とかとは迷わず?

こばやん:いや、完全にハナレグミは『音タイム』だなって。名盤って言ったらこっちだよねって。

のすけ:こばやんさんのハナレグミはもうちょい上だと思ってました。

こばやん:『音タイム』はもっと上、5位くらいにいたのよ。でもいろいろ挿し込んでいった結果ここまで落ちちゃった。

 

13位 Delayed/Syrup16g

こばやん:意外って言われてたけど俺シロップすげー好きなのよ。鬱ロックみたいなくくりで当時めっちゃ言われてて、Twitterが我々の中で浸透したのが2010年くらいだと思うんだけど、○○16gっていうのをIDに入れてる人めっちゃ多かったと思うんだよね。っていうくらい狂信的なファンが多かったのかなと思っていて。このアルバムはシロップの中でもキャッチーなほうかな、有名なのだと『センチメンタル』とか、Bank Bandがカバーした『Reborn』とか。あと『水色の風』にバンプの藤くんがコーラスで参加してたりっていうのもあったりして。鬱だなんだとか揶揄されがちだけど、精神安定剤になるっていうか落ち込んでるときに聴くと「まぁいいじゃんそれで」っていう気持ちになるから。僕らが直撃したのはリーマンショックで就活がいきなり買い手市場になったりした時に聴いて元気もらってた記憶があるね。

 

12位 初恋に捧ぐ/初恋の嵐

こばやん初恋の嵐はみんな知ってるのかな?

ジロウスピッツのカバーで知ったくらい。

にっしー:アルバム通しでは聴いてないかな。

こばやん初恋の嵐はデビュー前、このファーストアルバムを出す前にボーカルの西山達郎が亡くなってしまってっていうバンドで。『初恋に捧ぐ』がスピッツにカバーされて世間的には一番有名な曲なのかなと思うんだけど、この会でみんなに絶対聴いてほしいなと思ってピックアップしたかったのが2曲目の『真夏の夜の事』っていう曲で。

ミュージックビデオに山本太郎緒川たまきが出てて、すごくいいビデオで。この『真夏の夜の事』っていう曲ってストリングスが最後のほうに入ってきたりしてめっちゃ壮大な曲に仕上がってるんだけど、ほんとに一歩も動いてないのよね。自分の中でいろいろ思いを巡らせて「あんなことがあったよね」「こんなことがあったよね」っていう風に悶々としてるっていう曲なんだけど、その悶々とした感じって誰もが経験したことある、そういう夜って絶対にあると思うんだよね。恋で悩んだり、人間関係で悩んだり。そういう夜があったよねっていうのを思い出す曲になっていて、ずっと歌い継がれていったらいいなと思っている。

あと、初恋って実らないじゃん。それと同じで西山さんが亡くなってしまって残された音源を残されたメンバーでなんとか作り上げたアルバムだから、未完成っていう部分もすごくドラマチックなのかなと。

ジロウ:(スピッツの)マサムネさんが「本当は『真夏の夜の事』がよかったけど恐れ多かった」ってラジオで言っててこの曲をかけてたから印象には残ってる。

こばやん:いい曲なんだよ。スピッツの『初恋に捧ぐ』もほぼ原曲に忠実だからすごくリスペクトを感じるなって思ったね。

 

11位 Chaos in Apple髭(HiGE)

こばやん:髭はこのアルバムが一番好きで。前回も曲では選ばなかったんだけど「髭ってアルバムきいてナンボのバンドでしょ」っていうのがあって、このアルバムはずっと強い、ずっとロック。ガレージを2000年代にずっとやってたっていうのがすごいと思うし、これより前の『PEANUTS FOREVER』はちょっとポップ寄りになっちゃうから、これくらいガレージガレージしてるほうが「髭我が道を行く」みたいなところで『Chaos in Apple』は外せなかったかな。これは後々のバンドマンにも影響を与えてるような気がしていて。

あと髭に関してだと、今はもう編成違うけど、ライブを見たときのパッと見の印象が「なんだこれ?」って思ったんだよね。ツインドラムで下手に変なグラサンをかけたボーカルがいてっていうこの編成はなんだ、違和感しかないよねっていうのがね。

 

ジロウ 15~11位

15位 Apollon/1000say

ジロウ:1000sayは、これがフルとしてはファーストアルバムなんだけどこれまでにミニアルバムを3枚出してて。その頃はもっとエレクトロ強めで、でも「もうちょっと物足りないな」っていう印象だったんだけど、ここでいきなり覚醒というか、ジャケットにも出てる宇宙っぽいコスモみたいなのがすごく似合ってて「一皮向けたな」っていうのをすごく感じてて、2011年当時はかなり聴いてた思い出がある一枚ですね。

のすけ:バンドなんすね初めて知った。

さとるん:最近復活してね。

ジロウ:そう、ちょっと長くやってなくてね。

 

14位 META/METAFIVE

ジロウ:これはもう「神々の集い」みたいな感じで(笑)。高橋幸宏小山田圭吾砂原良徳、テイトウワ、ゴンドウトモヒコ、LEO今井。これだけの人がぶつかってこんなにまとまりがあるのかっていうのがさらに衝撃的で。全部いい曲だし、渋いのよね。エレクトロなのに渋いっていうのを出せるのはこれくらい集まってやっとできることなのかなと感じるアルバム。

にっしー:なんか誰っていうわけでもないのよね。メンバーそれぞれの良さもありつつ。

 

13位 Hi-Fi POPS/ORESAMA

ジロウ:これがね、どこまで伝えられるか分からないけど、ものすごいポップユニットで。さっきのTommy february6はbrilliant greenのアンニュイ感のあるメロディだからそれがいいというのもあるんだけど、このORESAMAはどポップを貫いたっていう感じのあるユニットで。80年代のアゲアゲのダンスミュージック、だけど音は最新っていうのに度肝を抜かれたアルバムになってます。

アニメのタイアップにもなってて、それにも良く合っててね。

 

12位 シフォン主義/相対性理論

ジロウ:僕は『シフォン主義』でいかせていただきました。やっぱりファーストインパクトがすごかったっていうのでここまできてて。まずこれをCDショップで手にとってまずどんなバンドか分からない、裏返して曲名を見てもどんな曲か分からない、それでCDを入れて聴いてみたら最初は『スマトラ警備隊』のダダダダッダッダ♪っていうギターで「激しめなのかな」って思ってたらやくしまるえつこのアンニュイなボーカルが入ってきて「思ってたんと違う」っていう感じが5曲ずっと続いて「もう一回聴きたいな」ってなってしまった。

何かの番組で誰が言ったかは覚えてないんだけど「いい曲は誰にでも作れるけど、心に残る名曲は違和感を入れなきゃいけない」みたいな話を聞いたことがあって、それで考えると違和感しかないアルバムだなというのでこの位置にきました。

こばやん:誰がサビで「コントレックス箱買い」なんて歌詞を書くんだよ、だよな。

ジロウ:今でも分からんよな。

きょろ:オカンが箱買いしとったわ。

一同:(笑)

 

11位 up to you/19

こばやん:19入るんだ。90年代のイメージだったわ。

ジロウ:そう、ギリ入る。で、このアルバムは最後のアルバムなんだけど「もう解散することは決まってたんだろうな」って感じで、曲によって健治とケイゴのどっちが作った曲っていうのが丸分かりで、ボーカルもほぼメインでBメロにちょっと相方が入ってるみたいな曲ばかりのほぼ別撮りみたいな感じ。もうバラバラになるんだなっていうのが予感されていたアルバムで、それが逆に清々しいというか、ブルーハーツの『PAN』みたいな感じで。19という儚いユニットの最後がこれって聴くと「やっぱりそうなのかなぁ」って思うアルバム。

こばやん:『水・陸・そら無限大』がシドニーオリンピックだからそうか。2000年だ。これはイメージがある。

ジロウ:そういうのをやった次の年にはもう解散だからね。19は当時バンドでコピーしたり、今でもそれぞれのソロを聴いたり思い出深いね。

 

にっしー 15~11位

15位 三日月ロック/スピッツ

にっしー:これは王道のような邪道のような。スピッツに関しては、入り口が『三日月ロック』なんですよ。『夜を駆ける』のイントロでスピッツの門を叩いてしまったからには「スピッツはポップじゃないよね、ロックバンドだよね」っていう印象がここで一気に入ってしまった。『けもの道』のラストの高揚感というか「いつまで若手バンドやねん」という気持ちが今もずっと続いてる。っていうのと『ババロア』の今に近いというか、ダンサブルな曲にも挑戦してるっていう「勝手なことしてるバンドやなぁ」っていう、今聴いても一番遊んでるっていうのが『三日月ロック』の印象でした。

こばやんスピッツ入れてる人はアルバム絶対迷ってると思うんだけど、それは一番最初に聴いたからっていうのもあるのかな。

にっしー:最後は『スーベニア』と迷ったところはある。誰か選んでたらなぁ。

スピッツファンたち:『スーベニア』ねぇ~。

こばやん:アルバムとしての纏まりはすごくいいからね。

 

14位 ether/レミオロメン

にっしー:ポップじゃなくてロックバンド然としてるっていう点ではレミオロメンも。実はちゃんとロックバンドなんだよっていうことをアルバム全体を通して主張しているのが好きなのかなと。結果として売れたし、ポップなんやけど、やってることはめちゃくちゃ捻くれてて。『春景色』とかはもっともっと『粉雪』とかじゃないこういう部分がレミオロメンにはあるんですよってっていうのを。ファーストの『朝顔』と迷ったんですけど、『粉雪』『3月9日』だけじゃないっていうのをフィーチャーしたかったのと、藤巻さんのギターボーカルとしての上手さ。あれだけ複雑な指の動きをまったく顔に出さずに弾ききる歌いきる力ってあんまりフィーチャーされてないよなってずっと思ってて。

こばやん:俺レミオロメンをほとんど通ってなくて、『ether』も全然聴いたことなくて、ある日Twitterで「レミオロメンってあんまり聴いたこと無い」みたいなこと言ったらにっしーに「『ether』は聴いたほうがいいよ」みたいなリプライが来て、それからずーっと聴いてるわ。

なんか山梨に行ったときに、フジファブリックレミオロメンって山梨じゃない。甲府のほうに行くとすごく荒々してるのよ。盆地だからずーっと山が見えてて、その風景で育ってるとこういう曲ができるんだなってめっちゃ思った。

にっしー:『南風』とかもそうやけど、曲の中に温度感というか湿度があって。それはフジファブリックもそうなんやけど。1曲目の『春夏秋冬』っていうところから、これ発売が2005年の3月9日なんだけど、春過ぎの暑いんだか寒いんだかよく分からん空気がイントロからずーっと漂わせるっていうのは上手いなと。それは小林武史の力もあるんやろうけど。

ジロウ:僕もこれは「誰か入れててくれー」って思って外したアルバム。ありがてぇ。

きょろ:俺も正味、にっしーとジロウさんに託した。

 

13位 アンテナ/くるり

にっしー:季節感で言うと『アンテナ』は、さっきも言ったけど温度感、湿り気をちゃんとちゃんと帯びた。京都の暑苦しさというのかな。っていうところと、くるりといえばドラムの入れかわり立ちかわり問題もあるけど、クリストファー・マグワイアのドラムだけを音源にして聴きたいくらい相性が良すぎた。もっくんのドラムも湿り気あるんやけど、そこに渇きがあるというか。ホンマに難しいんやけど(笑)。

のすけ:ドラマーとして強いですよね、クリストファー・マグワイアは。

にっしー:強い。だからこそ『ロックンロール』が”ロックンロール”として生気を帯びたものになってるというか。

こばやん:『アンテナ』に関してはにっしーに託してたから。

ジロウ:めっちゃ託されてる(笑)

にっしー:アルバム再現ツアーに行くくらいちゃんと聴かないといけないとなと思ってたし、夜行バスで新宿向かうときは『グッドモーニング』聴くし、『How To Go』でちゃんと「Here we go Rock'n'roll」って言うし。ってとこかな。

 

12位 生命力/チャットモンチー

にっしー:これは全員聴いてるでしょうと。名盤ってこういうことなんですよ、チャットモンチーで言うと。前も高橋久美子作詞の良さを言ったけど、この人は生活感があるなと。ちゃんと生活してる。ミュージシャンとしてじゃなく人間として、旅して、歩いて。じゃないと『親知らず』をテーマに歌詞は書けないでしょう。それがロックとして成立してる。

こばやん:フロントマンが作詞してないっていうのが大きいんかね。

にっしー:うーん。で、その歌詞をもらってえっちゃんがいいメロディを書けるっていうのもあるし。

で、『真夜中遊園地』からB面、第2章が始まるみたいなアルバム全体の構成も緩急があってすごい好きで。今でも聴いてるなってところですかね。

 

11位 YELLOW DANCER/星野源

にっしー:源さんは迷いに迷って『YELLOW DANCER』。『ばかのうた』と最後まで迷って。ずっと高揚感があるんだけど落とすとこは落としてっていう緩急と。『Week End』が、これ『恋』の出る前の年、2015年のアルバムなんやけど『Week End』の時点で「今を生きるすべての人に捧ぐ」って歌っちゃってるんですよこの人は。ってことはこの時点で国民的になろうとしてるんですよ。ニッチな存在にだけでもいいけど、ドームツアーとか見据えて虎視眈々と準備してたんじゃないかなっていうのが見えてきてて。それが『POP VIRUS』のツアーで完成したのを見てると『YELLOW DANCER』の時点で5万人のドームを見据えてたんじゃないかなと。あとは『Friend Ship』って曲が単純に大好きですね。今もラジオのエンディングテーマになってますけど。

こばやん:その後にも『Hello Song』で「何処の誰か知らないが出会う前の君に捧ぐ」って全国民だけじゃなくて後世の人にも歌っちゃってるもんね。あれはメッセージ性というか物語を感じるわ。

にっしー:「電波を世間を未来を踊ろう」っていう『Week End』があってそこからその『Hello Song』。なんか「かっこいいことするな」っていうね。

こばやん:2回病気してるから怖いものなしなんだろうなって思うわ。

にっしー:『Stranger』あたりのもがき苦しんでる感じも好きといえば好きだけど、そこから開き直って『地獄でなぜ悪い』とかハッピーオーラに振り切った感じが『YELLOW DANCER』にはあるね。

きょろ:ビックリ箱がパァンと開いたみたいなね。わかります。

 

きょろ 15~11位

15位 K.AND HIS BIKE/the band apart

きょろ:bad apartというバンドですね、個人的にはもっと世に評価されてもいいんじゃないかなっていうバンドのひとるなんです。すごく全員の演奏力が高くて、これをコピーできる人はすごいと思うことが多くて。で、このアルバムに初めて出会った時にオシャレなロックバンドというか。ちょっとキラキラしてる雰囲気もあるし、でもガツッと落とすとこも持ってるし。

で、このバンドの変なとこはライブの編成がスリーピースの立ち位置でやっるけどセンターがマイクも使わんリードギターが頭ブンブン振りながら自分たちの出してる音に酔いながらギターを着実に確実に弾くっていうあの姿がすごくかっこいいバンドで。ドラムも「立ってドラム叩いてんのか」ってくらいイスが高いというところでお馴染みのということをやりながらすごい細やかな演奏力が高く、ベースに至っては指弾きできませんっていいながら「ピックでそんなことようやるわ」みたいな。またこのベースが極悪な音をしてるというか、人相がそのまま音に出てるというか(笑)。ベースラインとかも聴いててすごく心地がいいことをさらっとやっている。ボーカルに至っては常人じゃできない弾きながらこれを歌うのはこの人じゃなきゃ不可能なことをやってる。なんならリードギターよりも難しいことをやってんちゃう?っていう。というところに惚れたバンドですね。

のすけ:原さん2回くらいライブでウンコ漏らしてますもんね。

きょろ:それは言わないお約束(笑)

のすけ:あれ?誰もピンときてない?

きょろ:という、玄人ウケするバンドなのかなと。演者側から見てというか。そんなファーストコンタクトだったのがこのアルバムですね。

 

14位 僕がCDを出したら/KANA-BOON

きょろ:この位置にしたのはやっぱり思い入れがあって、嫁と出会って……

こばやん:お?またのろけですかぁ?

きょろ:(笑)これは半分嫁の力なんやけど、嫁がめちゃくちゃ小さいハコ、キャパ150人とか300人MAXとかのハコにちょこちょこ行くような趣味な人で。「KANA-BOONっていうバンドおんねんけど聴いて」って言われて聴いたら「結構良い曲やねー」、「今度ライブあるけど一緒に行けへん?」って言って。その時大阪の堺にある三国ヶ丘FUZZっていう(KANA-BOONの)ホームタウン、実家みたいなところで違うバンドが企画したやつにKANA-BOONが乗っかってくると。っていう時点から泉大津フェニックスで1万5000人のワンマンやるまでのあの流れを見てしまうと、これは入れないと自分の中で辻褄が合わない。ちゃんと1からバンドのサクセスストーリーを見たっていう。すごい速度で、正攻法で駆け上がって行く人たちを見た、っていうのがすごく痛快で。

その当時KANA-BOONがあみ出した裏打ちに乗せたギターポップな曲の原点なのかなって感じもするし。その発明というかパイオニア感というか。そういう感じが見えて、根っこの部分から底上げしたいいバンドだなと思います。

 

13位 ソングライン/くるり

きょろ:迷ったよ、ああ迷ったさ。でもこれは自分の想いと思い出補正で成り立ってるチョイスです。これは京都音博っていうくるりのフェスが毎年あって、そこでみんなでシートゾーンで夕暮れ、ビール飲みながらビールの歌歌うバンド観て。その年はほぼほぼこのアルバムからのラインナップで。前のバンドも良かったしっていういろんなことが巡ってくる。

で、現段階でわたくし、くるりの中で一番好きな曲が『その線は水平線』なんです。それまでの一番は『ハイウェイ』やったんです。でもそれを軽々ヒュイッと抜いていったのが『その線は水平線』。歌詞、曲の流れ、すべてを取って「くるりくさいな」って「くるり臭がすぎる」って。アルバムを通して聴いてもまとまっているように思えて、くるりの一番好きなアルバムということで選びました。

こばやん:音博に関して言うと2010年からずーっと行ってて、個人的にどんどん人が増えてるのが楽しくて。俺が唯一毎年同じ場所で写真撮ってるのってあの場所だけなのね。だからまた続いてってほしいなって思うし。

にっしー:もはやあれはフェスとは思ってない、同窓会みたいな。

 

12位 超克/BRAHMAN

きょろ:これはあの忌まわしき東日本大震災が無ければこうはなってなかったんだろうと思う。一曲だけカバー曲が入ってるけど、全曲日本語詞で。

このアルバムのちょっと前、みんなが自分のいる場所が震源地だと思ってたあの日からこのバンドのボーカルは変わりまして。ステージの上、客前でもずっと何十年も喋ってこなかった。半泣きになりながらでも服がぼろぼろになりながらでも最後「ありがとう」も言わずにそのままよたよた帰っていくっていうスタイルをずっと貫いてた人が、このアルバムのちょっと前からすごく喋るようになって。この人が言ってることは横暴な部分もあるなとは思うけど、正しいことは多くて、MCの中で「人は死ぬ。地震で、火事で、寿命で、事故で死ぬ。その一分一秒を前のめりで行って死ぬってことを恐れてはならない」みたいなことを毎回言って最後に「本日、晴天の」って言ってこのアルバムの『霹靂』にかけてライブを締めるのが多くて。

このアルバムを出すことによっていろんな活動をして細美武士と仲良くなり、今や兄弟と言えるような交友をするようなバンドになって。前からちょいちょい聴いてたけど、このアルバムで「この人たちは信用できる」というか、心強いお兄さん的な存在だなって。この人たちがいるからしばらくは安心だなって。これは刺さることが多い一枚ですね。

のすけ:日本語詞になって変わったって印象ありますけど、根底の部分では変わってないんですよね。BRAHMANって名前がそもそも仏教用語だし、生命とか輪廻転生みたいなテーマって奥深くにあったから。そういう変わってない中で一歩進んだっていうのが『超克』ですよね。

 

11位 耳鳴り/チャットモンチー

きょろ:こばやんがさっき「ベボベの時に青春が~」って言ってたけど、これが俺の中ではそうかなと。FM802ヘビーローテーションになった時に知った『ハナノユメ』。『一等星になれなかった君へ』がすごく好き。『恋の煙』、『恋愛スピリッツ』……シングル曲がちょっと落ち着き目なのかな。で、『プラズマ』、『メッセージ』、『ひとりだけ』で終わるけど、この『ひとりだけ』の時の歌詞にちょっとやられてるとこが強くて「夕日色のギターを何度もかき鳴らして」ってああ、あのギターのことかって情景が浮かぶ、あのテレキャスのことだろうなって。俺はその歌詞でえっちゃんに憧れてテレキャスを買うくらいチャットモンチーがすごく好きになったし、このアルバムがチャットモンチーの中ですごく好きやし、どうしてもチャットモンチー聴きたくなった時は最初これを聴く。その後流れでさっきのにっしーの『生命力』、その後『告白』に流れていくっていう。

にっしー:3部作的なところあるよね。

きょろ:そう、それなのよね。『ウィークエンドのまぼろし』なんかもすごい曲やし。なんかガールズバンドっていう枠を超えた、今の軸を作った人たちではないかなって思うのがすごくでかいです。

 

こばやん(妻) 15~11位

15位 女優姉妹/吉澤嘉代子

こば妻:忘れてた若いときの女心を(笑)、そんな気持ちもあったな~って。

ジロウ:これは僕も迷った。

 

14位 きみのためにつよくなりたいサンボマスター

こば妻:日本語の歌がめっちゃ好きですね。元気になりますね。今ライブに行って元気をもらいたいナンバーワンのバンドですね。

こばやん:定期的に会いたくなる親戚の兄ちゃんって感じだよね、サンボマスター

 

13位 THE PIER/くるり

こば妻:さっきにっしーさんが悩まれてたから。

こばやん:誰かしら入れるってことだね。

にっしー:すごく挑戦的なことしてますよね『THE PIER』は。『Liberty & Gravity』とか。

こば妻:うん、そのミュージックビデオも好きですねぇ。最後の曲(『There is (always light)』)のも。

 

12位 バラード/ザ・なつやすみバンド

11位 生命力/チャットモンチー

こばやん:ここはチャットモンチーゾーンかな?

のすけ:4人連続チャットモンチーなるか?

 

さとるんキッズ 15~11位

15位 SCIENCE ROCK/avengers in sci-fi

さとるん:もう宇宙ですよね。これを聴いて宇宙しか思い浮かばない。スリーピースでこの音を出すのかっていうくらい、最初に聴いたのが『Homosapiens Experience~』なんで。それの印象が強くてそのままアルバム一枚聴けちゃうような。宇宙がコンセプトのバンドであり、そのままアルバムでも通じるかなってところで15位。

 

14位 理想的なボクの世界/plenty

さとるん:ミニアルバムなんですけど、ベスト30*1にも曲が入ってますけど。plentyの曲はしんみりした時によく聴いてたなって印象強くて、この『理想的なボクの世界』は最初から最後までずっとリピートして聴いてるっていうのは強いですね。

 

13位 DANCE FLOOR MONSTERS/the telephones

さとるん:「the telephonesですよね!」っていう(笑)。『We love telephones』かで言ったらまあこっちでしょうと。

 

12位 リトルメロディ/七尾旅人

さとるん:前作の『billion vices』の『Rollin' Rollin'』から聴いて、「こんないい感じの曲を作るんだろうな~」と思って、このアルバムの『圏内の歌』を聴いたときにやられました。これはもうズルいというか。1曲目30秒くらいの曲が流れて、2曲目『圏内の歌』で3.11のことがあって、アルバムができて、「子供たちをどうにか遠くに行かせなきゃ、でも私たちはここにいますよ」みたいな曲が出てきた瞬間に「これを2曲目にするかね」と。『サーカスナイト』も『アブラカタブラ』もあるけど2曲目の印象が強すぎてどうしてもこれは後世に残したいなという印象も強くてこの順位。

こばやん:『リトルメロディ』を選んでくれる人がいてくれてよかった。『圏内の歌』はね、ホント反則的。

 

11位 Vivid/The Brixton Academy

さとるん:前回のことも踏まえて一番印象強い曲もあるのでこの順位となっております。

にっしーThe Brixton Academyは(さとるんのベスト30で聴いて)曲単体でしか聴いてないけど良かった。アルバムも通して聴くわ。

 

のすけ 15~11位

15位 OZ/100s

こばやん:ありがとう入れてくれて。

のすけ:これを選んでて好みが見えてきたなって。”光”みたいなものを感じる曲っていうのが自分は好きなんだなぁと。言葉遊びとかアルバム全体でストーリー、縦軸一本入ってるみたいな。そういうのが好きなんだろうなというのを今回ひしひしと感じたっていう感じで。

それが『OZ』はドンピシャ。中村一義の言葉遊びも炸裂してるし、いいアルバムだなぁと思います。個人的にこれは聴くたびに暖かい光の温情を感じるみたいなすごい一枚やなぁと思います。

 

14位 eyes/milet

のすけ:縦軸一本入ってるって言いましたけど、miletは違うんですよ。デビューしてからアルバム出すまでが長かったので、ベストアルバムみたいな感じになっちゃってるんでっていう意味でこの順位にしたんですけど。

デビューから追いかけてましたけど、やっぱりmiletはすごいんですよね。サウンド自体は王道なんですけど、よく聴いたら歌声がちょっとクセあるんですよ。そういうところが違和感。さっきの名作は作れるけど違和感を~みたいな。それが彼女の歌声っていうのはそうかなと思ってて。それが僕も心を掴まれたし、リスナーも心掴まれた。その結果が去年一気にブレイクして紅白まで行っちゃったっていうのは本当にすごいなって思いますね。こっから先が楽しみでしょうがないですね。

こばやん:あんまり今までの日本人でこんな歌い方する人いなかったよね。

のすけ:いなかったですね。2018、19年ってめちゃくちゃ女性シンガー出てきたんですよ。そこからやっぱ残ったなぁっていうのはいわゆる唯一無二なのかなと。

にっしーあいみょんにスポットライト当たりすぎてmiletとかiriとかにももっともっと陽が当たればなって気はするよね。

 

13位 Pepperoni Quattro/ELLEGARDEN

のすけ:これはもう語らずもがなかなぁと思いますね。普遍性みたいなのすごいなって。多分この『Pepperoni Quattro』が出たときって、こんなモンスターバンドになる一歩手前で。でもこれ聴いたら「まあまあそうなるわな」っていう一枚かなって感じですね。日本を代表するバンドになる必然性みたいなものを感じる。

 

12位 マニフェストRHYMESTER

のすけ:ヒップホップ2010年代聴いた一番はこれだったかな。やっぱり2000年代前半にヒップホップのブームみたいなのが一発ドーンと来て、それがちょっとずつ下火になってまたアングラに戻り始めたところで。どうしてもRHYMESTERの作品ってアングラ臭がしてたかなと個人的には思うんですけど、この作品でシーンを引っ張っていくっていうようなことを明確に表したんだろうなって。一番最初(『ONCE AGAIN』)にDさんが「RHYMESTER is back here」っていう風に高らかに宣言したみたいなところもあるから。

なによりこのアルバムは今でも語られることが多い、某ヒップポップデュオのラジオなんかでも頻繁に出てくるくらい、それだけ後世に影響を残してるアルバムなんだなってこの時代を一緒に生きてきてリアルタイムで聴けたのは本当に嬉しく思うんで。やっぱり日本のヒップホップっていう意味では僕はこれを残すべきなんじゃないかなって思って『マニフェスト』を入れました。

ちなみに世界のジャケットがダサいベスト10みたいなのにも選ばれてましたね。

こばやん:そっちで有名ってのもあるよね。

のすけ:そうなんですよね。でもRHYMESTERでチャートとしても一番売れてるんですよね。『ONCE AGAIN』で始まって『ラストヴァース』で終わるっていう綺麗な一枚だなと思ってます。

にっしー風とロック芋煮会っていうイベントで『ONCE AGAIN』を高らかに歌ってたのがかっこよかった。名曲ですねぇ。

 

11位 Keeper Of The Flame/the HIATUS

のすけ細美武士連続なんですけど、ホントにアルバムごとに違う一面を出していて今回もエレクトロニカをガーンと出してきて「また新しいことやっとるで」とそれがめちゃくちゃかっこいいっていうところもある。作品として素晴らしいっていうのは言わずもがなですね。

この中の一曲『Something Ever After』っていう曲を前回ベスト30にも入れてるんで、ホントに作品として素晴らしいってのもあるんですけど。ここで細美武士がバンドマンというところからアーティスト、ボーカリストになったと思うんですね。この辺からライブでギター置いてマイク1本でするようになったのが衝撃でしたね。多分2000年から2030年くらいまでに区切った時にターニングポイントになると思ってますね。日本の音楽史、ロック史の中で実は語られるくらいのアルバムなんじゃないかなっていう意味でこの順位に置きました。

 

ぴろ 15~11位

15位 そうかな/小田和正

レジェンドの愛すべき1枚!さわやかであたたかい言葉とメロディに包まれます。小田さんの音楽は本当に"風のよう"ですね!「大好きな君に」「Re」「たしかなこと」「明日」「風のようにうたが流れていた」好きだなぁ。

 

14位 言葉にならない、笑顔を見せてくれよ/くるり

くるりは、『NIKKI』『魂のゆくえ』も好きで迷いましたが、『言葉にならない、笑顔を見せてくれよ』の「無題」で始まるところがポイント高くて選びました。一気にくるりの世界に惹き込まれます。「魔法のじゅうたん」からの「シャツを洗えば」は、ありがとう!!って感じです!w

 

13位 ケツノポリス3/ケツメイシ

「涙」が入ってる『4』と迷いましたが、アルバムを通してなら『3』です!(バテバテ)でダラダラと何かやってるなと思ってたら「はじまりの合図」でシャキッとするのがいいです。「夏の思い出」「幸せをありがとう」「花鳥風月」は言わずもがな、「門限やぶり」もよく聴いたなぁ〜

 

12位 夕風ブレンドスキマスイッチ

『夏雲ノイズ』『空創クリップ』と並ぶ三大スキマスイッチの1つであり最高傑作だと思います。「ガラナ」「ボクノート」「アカツキの詩」はもちろんですが、「スフィアの羽根」「惑星タイマー」「月見ヶ丘」の流れも大好きです。

 

11位 瞬間的シックスセンスあいみょん

若い勢いのある『青春のエキサイトメント』と、名曲揃いの『おいしいパスタがあると聞いて』と迷いました。けど「満月の夜なら」「マリーゴールド」「今夜このまま」「GOOD NIGHT BABY」は安定の強さ。あいみょんの作品は今っぽさも懐かしさも感じられ、独特な世界観や攻めた表現もあって、これからもとても楽しみ♪

 

がちゃぴん 15~11位

15位 Creepy Nuts/クリープ・ショー

初っ端から通してショーを観てるような音と言葉の起承転結が気持ち良い、そしてラストにリード曲(のようなポジションの曲)「スポットライト」で「とっくに幕はあがってんぜ」はメタ視点的に気持ち良すぎる。

 

14位 ゆず/トビラ

ゆずだって病む、いやゆずってそもそも捻くれてる、だってフォークってそうだもん、あっけらかんと笑って見せるだけじゃない、ギターが何より哀愁と相性がいい楽器だと思い出せる、そして大人になって聴いて病む。

 

13位 藤井風/HELP EVER HURT NEVER

令和にこの曲調に回帰したうえ、「地方からでも音楽を発信できる」なんてもんじゃない、それをアドバンテージにずぶずぶの地方出身者にしか作れないノスタルジーを生み出す天才ド天才。

 

12位 ズーカラデル/ズーカラデル

アーティストが使える必殺技その1がセルフタイトルだとどこかの壁に書いてありました。一度しか使えないから。なんというか、どんな時代にも、ほんとうになかなかいなくて、だけど必ず居てくれる、全世代にとって「僕ら」の歌になりうる、その「僕ら」の安心感をぎゅっと担ってくれる1枚。

 

11位 RIP SLYME/MASTERPIECE

アーティストが使える必殺技その1がセルフタイトル、その2が「masterpiece」と言い切ることだとどこかの壁に書いてありました。キックかリップかケツメ、の時代を生きたと思うんですけど、リップはやっぱり絶妙な緩さが大人になった今一層気持ちいい。

 

 

……といったところで折り返し。人数増えたしコメントもたんまりいただいたので前回以上の文字数になってしまうこと必至なので前後編に分けることにしました。

しかし、下位といえど被ったのが『ハイファイ新書』のみ。それぞれが信頼し合ってる場面もあったのでこのまま被らずにいくのかそれとも反動でジャンジャン被っていくのか、想いの乗っかり過ぎた後半という名ののトップ10はこちら!

colapoly.hatenablog.jp

 

*1:さとるんにもこの少し前にベスト30を選んでもらっていました。その内容がこちら。

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