べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

アンテナとネタ見せ番組のお話。

 

やあ、ヤマグチジロウだよ。

例によってまたお笑いのお話なんだけど、最近はネタ見せ番組が少ないなんてことを友人がよく口にしており、そのせいで次の世代が上がってこないやらなんやら言っていてへぇーほぉーと聞き流していたりしたのですが、そんなに少ないですかね。
一時期のエンタの神様、お笑いレッドカーペット、笑いの金メダルなどの毎週ゴールデンで、という番組は確かに全滅したけれど、深夜帯でのレギュラーや特番で上記の番組が復活するというケースがあるのを見ればそこそこちょうどいいんじゃないかなあと思ったりもします。エンタや笑金の末期はもう大変だったもんな……。
先日、M-1グランプリのチャンピオンが集結した座談会形式の番組で、第一回優勝者の中川家、第二回優勝者のますだおかだが口を揃えて「当時はゴールデンで漫才ができるなんてことはなかった」と言っていたように、そのブームが起こる以前は本当に不毛な時期だったんだ。あるだけマシとしようじゃないか。

さてそういう前置きをしたのは現在テレビ東京で放送されているこそこそチャップリンについてちょっこし喋りたかったからだよ。
こそこそチャップリンという番組は、毎週4組がネタ見せをして観客30人のうち20人が札を上げたら1週勝ち残り。3週勝ち残りで特番への出演権が送られ、札を上げた観客が20人に満たなければ敗退となり、十数組もの芸人が出番を待ち構えている「たまり」から抽選によって補充され翌週また新たな4組でネタ見せを行う。という形式なのだが、割とアンダーグラウンド気味の芸人も出てくるので毎週見ています。
勝ち上がりというスター誕生やイカ天から続く伝統的な方式が取られており、面白ければ週をまたいで同じ芸人のネタが見られる近年ではなかなか珍しい番組なのですが、その採点方式故にちょっとでも観客の肌に合わなければバンバンと落とされていく、M-1THE MANZAI共に決勝に進出経験のある馬鹿よ貴方はや、キングオブコント決勝に出場経験のあるうしろシティジグザグジギーなど、実力者であれどバンバンと落とされていくのでなかなかにシビアです。

 


シビア+観客による採点という点で思い出すのが「史上最もシビアなお笑い番組」を自称していた爆笑オンエアバトルである。
爆笑オンエアバトルは前述のいわゆる不毛な時代に現れた番組であり、ますだおかだNON STYLE東京03キングオブコメディなどM-1キングオブコントなどの賞レースで優勝する芸人や、品川庄司タカアンドトシおぎやはぎなどのその後に起こるお笑いブームで活躍する芸人達を何人も輩出した、近代のお笑いを語る上でも欠かせない番組なのだが、その史上最もシビアだと自称する所以はその番組スタイルにある。
10組の芸人が観客100人の前でネタ見せをし、そのネタに応じて手元にあるボールを転がす。転がされたボールはバケツに集められ、全員のネタ終了後に計量をする。その重さによって順位が決められる。
ここからがこの番組の肝というか面白いところで、その順位のうち下位5組のネタは番組で放送されないのだ。多くの観客の前でネタをして映像にも残しているにも関わらず、ある意味なかったことにされてしまうのだ。
必死に顔を売ろうとしている芸人にこの仕打ちは余りにも残酷ではあるが、それが実力なのだと思い知るといったようなすごくヒリヒリする番組だった。

こそこそチャップリンの「ネタは放送されるが観客の2/3の支持を得なければ勝ち上がれない(特番にも出られない)」というシビアさと、爆笑オンエアバトルの「観客からある程度の支持が無いとネタが放送されない」というシビアさ。採点方式は酷似しているが相対評価絶対評価の両方の難しいところで独自のシビアさを出している。

ここ最近でのネタ見せ番組で勝ち上がり形式を取っていたものといえばオサレもんがありますね。
これは芸人2組が対戦する形でネタを披露し、おぎやはぎ小木とゲスト2人の投票によって勝ち残り、次週の出演を決めるという番組だった。

この手のお笑い番組が立ち上がったり話題に上がると「お笑いは審査するようなものではない」「面白いかどうかは客が決めるものだ」「ネタだけを流しとけよ」とかなんとか言いだす、書き込みだす人がいるけども、まあそれも一理あるとは思うけども、ひとつの番組である以上「面白い」番組にしなければならない。それに出演する芸人たちもオーディションという審査を勝ち抜いている。しかしその勝ち上がった芸人たちのネタを流すだけの番組だと「つまんねーやつ出すなよ」とか言い出すやん? 若手主体だとなおさら。だから対戦形式や審査方式にするしかないんじゃないでしょうか。みんな炎上は怖いもんな。

だいぶ散らかってしまいましたが、つまり何が言いたいのかというと「それなりにアンテナ張ってればネタ見せ番組なんていっぱいあるぞ」ってことですよ。見てるか、友人。

それでは。