べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

人生とかってに改蔵のお話。

 

人生を川に喩えよう。上流から止め処なく流れる水が、時間の流れとともに紆余曲折を経つつもしっかりと下流へと進んでいく。

今回は、そんな僕の人生という川にどっかりと現れ、あまりの大きさにその進路を変えざるを得なかった巨大な岩のような作品のお話である。

 

その作品とは『かってに改蔵』。『行け!!南国アイスホッケー部』や、後に『さよなら絶望先生』を手がける久米田康治が1998年から2004年まで少年サンデーで連載していたコメディ漫画である。

あらすじとしては、かつては神童と呼ばれていた主人公の勝改蔵が、とある事故がきっかけで思い込みの激しい変人になってしまう。そして現在、とらうま高校に通う改蔵はひょんなことから自分が改造人間だと思い込んでしまい、悪と戦う決意をする。時を同じくして、かつて改蔵も通っていた各界のエリートを育成する「天才塾」の残党(変人になって間もない改蔵が変な薬品を調合して爆発・壊滅により閉校となったため、中途半端な才能が街に放たれてしまった)が学校に押し寄せるようになり、混沌とした日常が巻き起こるといったお話。

その内容は初期と後期で大きく異なり、初期は『行け!!南国アイスホッケー部』のような下ネタメインのナンセンスなギャグ漫画で、後期になるにつれ『さよなら絶望先生』に繋がるマニアックな題材や時事ネタを交えた路線に変わっていく、久米田康治の芸風の過渡を感じさせる作品で、この作品によって知った事柄は山ほどあります。役にたったかどうかは別として。

 

僕が『かってに改蔵』に出会ったのは小学生の時で、それまでの漫画遍歴で言えば従兄弟に貸してもらっていた『名探偵コナン』や当時全盛期のコロコロコミックなんかを友達の家で読んでいたり、ある日突然「そろそろ僕も漫画なんぞを買わなきゃならん」と思い立ち、「なんかいっぱい平積みされていたから」というアホみたいな理由で買ってきた『ONE PIECE』くらいのもので、むしろこれだけならまっすぐ流れていきそうだったところに突然現れたわけです。『かってに改蔵』という巨石が。

(初めて読んだ漫画が叔父の家にあった『ゴリラーマン』と『ストッパー毒島』だったっていうのは内緒だ。遅かれ早かれとか思われちゃうだろ)

 

それまで割と周りの友達も全員知ってるような人気作品を多く好んでいたのになぜいきなり『かってに改蔵』というキワモノ漫画を手に取ったのか(僕が目をつけるくらいだからみんな知ってるだとうと思って友達に話したらなんとも綺麗な「はあ?」という返答が聞けたもんな……)。

ONE PIECE』を平積みされていたからというアホみたいな理由で手に取った僕ですからサンデーを読んで面白かったから、なんていう理由ではなく、やっぱりいわゆるジャケ買いなわけなんですがこの『かってに改蔵』、表紙がやたらとオシャレなんですよ。

 

この1巻の表紙。素晴らしい。この構図いつかマネしたい。結構印象的なのに後に発売された画集には載ってないんですよね。でっかいサイズで見られないのは惜しい。この他にもやたらとオシャレな表紙*1がバンバンあったので目を奪われたって仕方がないってわけですよ。もちろん、それだけではなくその内容にも心を奪われていたらしく、始めにおためしにと2~3巻を買って帰って読むやいなやいてもたってもいられずに残りの巻を買いに向かったほどです。

そういう「その日に分割一気買い」をしたのは他にも『ササメケ』や『それでも町は廻っている』、『正義警官モンジュ』、『名探偵マーニー』など、どれも巨石揃いで僕の中での基準のひとつでもあります。その一番初めとなる作品だったといういうわけですね。

 

オシャレなのは表紙だけではなく、作中の女の子の着ている服なんかもオシャレで「次に流行るぞと議題になったアイテムを2、3週続けて羽美ちゃんが着けていた」とファッション誌の編集長が絶賛(かってに研究しやがれBOOKより)するほどのオシャレっぷりで、そんなところもリスペクトの嵐ですよね。

それほどのオシャレ要素を詰め込んでいながらもナンセンスギャグなんかをやっているからなんともイカしてると思わないかい?

 

とまあ、語るに尽きない話題なわけですが、確実に言えることは僕は何をやったってこの作品に影響を受けまくっているってことですかね。名言集みたいなの*2もやっぱりいつかまとめたいものです。

 

それでは。

 

*1:このあたりがお気に入り。



*2:こちらに詳しく

colapoly.hatenablog.jp