べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

小市民とM-1グランプリ2022のお話。

 

なかなか変わんねえなあ、人生。

今年もまたこの季節がやってきて、そして過ぎ去っていきましたね。

僕はと言えば決戦の前日にワールドカップの3位決定戦を観ようとテレビをつけようとしたら「あれ……つかない……?」という不穏な空気及び、明くる日の当日にモニターはあるのでなんとか安めのテレビチューナーを買わねばと電器屋を3件ハシゴしてもブルーレイプレイヤー付きのものしかなくて泣き寝入るという、こんな人生に変えてくれとは言っていないぞという事態になっていました。どうでもいいですね。よくないが。

そんなこんなでTVerのリアルタイム配信での視聴だったのですが、これがほんの数年前だとガチで泣き寝入るしかなかったのかと思うとゾッとしますね。いい時代になったものです。

 

さて、結果からいうと「小市民怒涛の叫び」ウエストランドの優勝になりました。

この「小市民怒涛の叫び」というキャッチコピーは前回進出した2020年のものの流用だったわけですが、僕はこの「小市民怒涛の叫び」っていうコピーが大好きだったんですね。ウエストランドの見た目と芸風をしてこのコピーを付ける言葉選びのセンスよね。だから流用されていて嬉しかった〜、この流用でテンション上がってたの僕以外にいたらいい酒を交わしたい。あと同年の東京ホテイソンの「静ボケ剛ツッコミ」もパワーあって好きでしたね。

 

ということなのでこの「小市民」の優勝というものを軸にいろいろ思いを巡らせていたわけなんですけど、本人たちも「発明した」というスタイルのあるなしクイズ形式の漫才。井口の偏見へのトスをコンパクトに続けられるというシステムもあり、あるなしクイズを理解しているのに抑えられない小市民という構図も面白すぎましたね。

終始小声で「違う」「そんなことない」と静止するでもないし、無理矢理クイズに戻すでもない太も面白かった。

本来先輩である爆笑問題田中くらいの勢いで止めなきゃいけないレベルの暴言なのに、半ば諦めてる感じなのも余計にね。

 

そういう面での進化もありつつ運も味方につけたのがウエストランド。一本目のネタが出番順最後になり、3位に滑り込みそのまま舌の根も乾かぬうちに最終決戦のネタ。そりゃあ本人たちにしてみればしんどいでしょうが、流れ的にはちょっと休憩を挟んで同じネタに戻ったんじゃないかというくらいシームレスに。ネタの説明の必要もなかったしね。

そういう出番順の妙もウケに繋がって、審査員の投票にも繋がったような気がします。

やっぱチャンピオンには運がいいというか、必然的な何かを感じますわな。

 

ここ3年だとファーストラウンドで1位になれなかったコンビが優勝してることになるんですね。霜降り明星、ミルクボーイみたいにぶっちぎりに勝ち上がって2本目はウイニングランみたいになり優勝という展開にならないのは、実力が拮抗していてさらに三者三様の3組が上がってきてるってことですよね。決勝進出者のバラエティさも出てる気がします。ここ3年は毎回決勝進出者に驚かされてるもんなぁ。

 

そういう中で票を獲得しているのがかつて怒られて最下位になっても我流を貫き通したマヂカルラブリー、史上最年長でバカを貫いた錦鯉、昨今の人を傷つけないお笑いの風潮の中で牙を研ぎ続けたウエストランドという、言ってみればここ数年のトレンドでもあったのかも知れないね。

特にこの3組は「このコンビが優勝してもいいんだ」と感じた3組なような気がする。特に今回のウエストランドは正直失礼ながら優勝する日がくるとは思っていなかった。爪痕残していくタイプだと思ってたから。

そういう意味では誰が優勝してもいいという素晴らしい夢のある大会じゃないか。M−1グランプリ! そう改めて感じましたね。

 

さて案の定というかなんというか、ウエストランドの優勝にはかなり賛否が分かれてはいますが、芸風から言うと格好のエサなのでかなり厄介なモンスターチャンピオンが誕生したというわけですよ。

一旦ポーズしてコントローラー置いて考えなきゃ倒せない中ボスみたいなね。

 

というわけで、ウエストランドが優勝してもいい時代。前日にテレビが壊れてもなんとかなる時代。そんな新たな時代のM−1グランプリ2022が終わりました。いや、むしろこれからの一週間は芸人ラジオが一番面白いのでまだまだ終わっちゃいませんよ。こうしちゃいられないぜ。

 

それでは。