べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

【後半】2000~2021年僕らの邦楽アルバムベスト20のお話。

※この記事は僕らの「僕らの邦楽アルバムベスト20」の後半になります。前半はこちら。

colapoly.hatenablog.jp

レギュレーション等については前半をどうぞ。それでは後半と言う名のトップ10の始まりです。

 

 

 

こばやん 10~6位

10位 見っけ/スピッツ

こばやんスピッツは本当に迷って、彼らは最新アルバムがベストなんだよ。このアルバムに関していうと、まず50代の人が作ったと思えない。悲壮感もあれば初期衝動みたいなものも感じるんだけど、ここで取り上げたいのは『ありがとさん』で。

これは死者への弔いの曲なのかなと個人的には解釈してるんだけど。死ぬっていうことってスピッツの中では結構テーマのひとつになってるんだけど、表現力がすごいなと思ったのが「いつか常識的な形を失ったら」っていう喩えで=死っていうことを表現してるっていうのが、この人は天才だなって。死をそんな風に表現できるってすごいなという風に思うし。この曲聴いてて、基本的には夫婦なのか長年連れ添った人なのか彼女なのか分からないけど、そういう人が亡くなった時の曲なのかなと取ることもできるし、聞き手によっては例えば親を亡くした人の曲にも聞こえるし、子供を亡くしてしまった親の曲にも聞こえるし。っていう聴く人を限定しないっていうところにスピッツのすごさ、草野マサムネの作詞家としてのすごさが表れてるのかなという。この『ありがとさん』だけはどうしても語りたかった。

あとアルバム通してで言うと一曲目ってすごく大事だと思ってるんだけど、スピッツの『見っけ』って曲はまるでエレクトリカルパレードが始まったのかみたいなイントロから始まって『優しいあの子』っていう、その入り口っていうアルバムの世界観を表してる一曲目っていうのがすごくいいのかなって。スピッツはいろいろ迷ったけど『見っけ』でしたと。

 

9位 星の出来事/メレンゲ

こばやん:これに関してはのすけに託されてるのかなと思うけど、このアルバムはもう初恋というか、アルバムを通して人が恋を覚えてからの成長していく過程っていう世界観が出ているのかなと。

この中で取り上げたい曲だと『すみか』。この前(名曲ベスト30)では『君に春を思う』を入れて『すみか』と迷ったって話をしたと思うんだけど。この『すみか』って曲は今付き合ってる彼女とドライブに出かけて海辺で穴を掘って砂の城を建てたっていう、砂場とかで子供の頃みんなやったんじゃないかと思うんだけど。サビ前で「向こう側とつながる手に触れて僕はいま気づく」っていう詞があるんだけど、この穴が繋がって手が触れたことで愛が生まれたよっていう表現のしかたがグッとくる。「あなたの事が好きで そう言える僕が好きで」っていうのは恋から愛に変わったっていう瞬間をこの『すみか』って曲はうまく表現できているっていう風に思っていて、これはトップ10以内には入れたいなと思いました。

『8月、落雷のストーリー』なんかもビビッときたのを落雷に喩えてたりね。

 

8位 スポーツ/東京事変

こばやん:これもすべては一曲目。アルバムって僕ら2010年くらいはまだまだ配信じゃなくてCDで聴いてたと思うんだけど、それって失敗できないからタワレコとか行って視聴するじゃない。視聴して、一曲目が良ければ買うのよ絶対に。

で、『生きる』は一曲目の大正解じゃないかなと思っていて、解散ライブの「Bon Voyage」のツアーの一曲目が『生きる』だったんだけど、ずっとこれでいいと思ってたもんね。一曲目は。もう東京事変のライブじゃなくても『生きる』が一曲目だったらいいじゃんっていう。それくらい一曲目の正解を出したんじゃないかなと思って『スポーツ』はやっぱり順位も高くしちゃったかな。あと『閃光少女』で締めないっていうのもいいよね。

きょろ:わかる。

にっしー:あれだけ走りきったのにっていうね。

 

7位 女優姉妹/吉澤嘉代子

こばやん:これは夫婦で見せ合ってなくて、被った。吉澤嘉代子って、ずっとすごい不思議なシンガー、歌声で演技ができる人だなって思っていて。この『女優姉妹』っていうタイトルが出てきた時にこれは吉澤嘉代子を表してるなと思ってこれを選びました。俺は男だから分からないところもあるだろうけど、女性が何かしら経験したことのあるだろうなと。それを一曲一曲歌声で演じてるような感じがしてひとつのコンセプトとしてアルバムのまとまりが良いなと思って順位を高くした。

にっしー:『月曜日戦争』が「架空OL日記」の主題歌やったっけ。

きょろ:そうそうそう。

 

6位 風景描写/音速ライン

こばやん:これは俺が選ばなきゃ誰も選ばないだろうなと。『our song』の疾走感から始まって、『街風』あたりからの郷愁感。俺、ロックで郷愁感って出せないものだと思っていたけどこのアルバム聴いてガラッと意識が変わったというか。すごく懐かしい風景が聴いていて目に浮かんだっていうのがあって。この1曲目の『39』と12曲目の『×2×2』っていうのはほぼインストみたいな曲だから、まあ10曲くらいなんだけど何回でもリピートできちゃうなと。あと個人的な思い出を語るとすれば受験中ずっと勉強しながらこのアルバムを聴いてたんで、数式を覚えるよりもこのアルバムが身に沁みちゃってるくらい。

 

ジロウ 10~6位

10位 GANG AGE/PEOPLE 1

ジロウ:去年今年で一番聴いてたってのは間違いないバンドで。特にこのセカンドは『常夜燈』と『フロップニク』っていう2曲がYouTubeでも1、2番で回ってるっていうハネたアルバムだし。僕は『フロップニク』がおちゃらけてて好きなんだけど『常夜燈』のほうも途中、拍が意識的に足りなかったり、音がセオリーと違くない?っていうところがあったり、さっきのじゃないけど意識的に違和感を作り出せてる音楽的なバランス感覚が優れてるバンドなんだろうなと思って、これから成長にも、どんなことやってくるんだろうっていうのもものすごく期待できるバンドなので今のうちにチェックしといてください。

にっしー:面白い人たちよね。ほんと。

 

9位 シフクノオト/Mr.Children

ジロウミスチルで選ぶとしたらこれかな。この時期の『IT'S A WONDERFUL WORLD』、『I ♥ U』あたりを一番聴いてたっていうのもあるけど、でも『シフクノオト』が一番際立っているし、聴いてもいるし、印象にも残ってるし、『PADDLE』が一番好きだしで。

やっぱり最後の『タガタメ』『HERO』。あの2曲は最後にとんでもないものを残してくれたなって感じで、言ってみれば理想と現実みたいなメッセージ。それでいえばこの『シフクノオト』っていうタイトル自体も「至福」と「私服」、「の音」と「ノート」でかけてあって、「どっちを選んでもいいよ」っていうメッセージにも見えてくる。アルバム全体で君のやりたいようにっていうメッセージが詰め込められてるのを感じるアルバムです。

にっしー:軽さと重さのバランスがすごいというか、どっちもできるよね~。

 

8位 愛にのぼせろ/ミドリカワ書房

ジロウミドリカワ書房は『みんなのうた』っていうアルバムのシリーズがあったんだけど、それから脱却してここからコミックさを薄めてストーリーテリングみたいな曲をガンガン作っていく1枚目のアルバムで。この中では『銭湯の思い出』っていう曲がめちゃめちゃ好きで、「子供の頃行った銭湯で背中に刺青の入ったおじさんに絡まれて~」っていう展開の曲なんだけど、それが今までのコミカルなミドシンには無かった新たな境地なのかなというのを感じて、どれを一個一個聴いても面白いしどこかほんわかする。っていうのを感じる一枚です。

のすけ:うわ~、明日ミドシン聴こう。

 

7位 とげまる/スピッツ

ジロウ:やっぱり前回の『恋する凡人』がナンバーワンっていうのもあるんだけど。スピッツっていうバンド名自体が「小さいくせによく吠える」っていう意味がある。ってことは『とげまる』っていうのはほとんどセルフタイトルだなって思って。内容もその通りで『幻のドラゴン』『えにし』みたいなとげもいっぱいあるし、『若葉』みたいなまるもいっぱいあるし。これぞスピッツというか、とげとまるの差がある攻められたアルバムだなっていうのを感じた7位です。

にっしー:『えにし』ええよなぁ。

こばやん:とげまるもいいアルバムなんだよな~。LP買っちゃったもんね。

 

6位 ねむらない/髭(HiGE)

ジロウ:2015年のアルバムで、やっぱり髭っていうとさっきのこばやんも言ってたけどガレージのイメージが強いと思うんだけど、これを出す前の2014年にピロウズのトリビュートで『ストレンジカメレオン』をカバーしてて、「『ストレンジカメレオン』をやります」ってピロウズのメンバーに伝えた時ピロウズ側は「髭が歌モノやるの?」って思ったらしいんだけど、それで実際に聴いてみたら「これはすごいぞ」ってインタビューで言ってて。ドリーミーというか、浮遊感のある音でものすごく『ストレンジカメレオン』に合ってるアレンジをしてきた。その次の年にこの『ねむらない』を出したんだけど、それがここでも出ていて。

僕が一番好きなのは『闇をひとつまみ』っていう曲なんだけど、エコーとかコーラスの効いたふわふわしたケミカルな音作りがされていて、ガレージとかグランジとかの時代しか聴いてなかったら「今髭ちゃんこんなことやってるんだ」っていうのを恐らく感じるであろう、僕の今回のセレクトの縦軸である攻められたアルバムでいったらこの位置だなと。

こばやん:髭はめっちゃ迷ってた時期があったじゃん。バンドの表記をコロコロ変えたり。そのくらいからちょっと聴かなくちゃったんだよね~。

ジロウ:僕も正直離れてた時期はあったんだけど、アルバムくらいはさらっておこうかな~って聴いてみたらこういうのが出てきて。面白いことやってんじゃんっていう。結局今この感じには定着してないんだけど、こういうこともできるんだぜっていう幅の広さは感じたよね。

にっしー:『サンシャイン』とかも幅広かったけどそこからはあんまり掘れてなかったね。

ジロウ:改めて聴いてあげてください。

 

 

にっしー 10~6位

10位 FAB BOX/フジファブリック

にっしー:2004年からドラムを始めまして、やっぱりドラムの主張が強いアルバムが好きだなっていうのが20位からずっとだけど、ございます。『FAB FOX』は全体的な足立くんの活躍をもっと、彼は頑張ってたよということを言いたいというのと。

『モノノケハカランダ』を初めて聴いたのが髭とフジファブリックの対バンで、一曲目が『モノノケハカランダ』で。やっぱりつんざく山内総一郎ギターはかっこいいというのと、『地平線をこえて』とかのギャップかな。「どっちもできるな~」っていうのと。

前にバンプの『プラネタリウム』の時に「四畳半と宇宙を繋げる」みたいなのが好きって言ったけど、この中では『唇のソレ』でほくろについて歌って『虹』についても歌うこのレンジの広さが、やっぱり志村正彦は天才的で変態的だなっていうのが今でも聴いてて感動するなぁ。本当好きだなぁというところですね。

『環状七号線』の頃のおどろおどろしさというか、何をしでかすか分からん感じをセカンドでもキープし続けるっていう。怪しいバンドやなっていうのがずっとある。その怪しさが多分『CHRONICLE』までは引っ張れなかったんやろうなってのがあるんやけど、あの怪しさが今のフジファブリックにも欲しいなぁってところかな。何をしでかすか分からない正体不明なバンドって感じが好きですねぇ。

こばやんプログレを2000年代にこれだけやってそれなりにフィーチャーされるのはすごいことよね。

 

9位 ユグドラシルBUMP OF CHICKEN

にっしー:それで、ごめんなさい。アラサー殺し(笑)。このアラサー殺しはですねえ、最初に言った没入感、違う世界に連れて行ってくれる感じっていうのがアタマと締めでアコギのテーマがあって、そして3曲目に『乗車権』があって、やっぱあの曲で連れてかれるんすわ。バンプの世界に乗車してしまうんですよ。あのリズムが4/4拍子と2/4拍子を冒頭で繰り返して変則的なリズムで来るんやけど、あれがもう完全に電車の揺れに近いというか。それで完全に乗っからせるっていうテクニックがかっこいい。「異世界へのいざない」としては素晴らしい3曲目だなと。

 

8位 サンボマスターは君に語りかける/サンボマスター

にっしーサンボマスターもそれでいうと木内泰史もっと評価されろという。ドラマー木内泰史が実はサンボマスターの心臓なんじゃないかという説をここのみんなにも言いたくて。荒れてるバンドみたいなイメージがサンボマスターにはあるし。初期衝動、初期暴動ぐらいのイメージだと思うんやけど、実はその根っこにあるのは木内さんの正確無比な、どんだけ客が暴れようとも崩れない強固なリズムがあるからこそ山口さんが暴れられるというところにもっと注目して欲しい。

それで、サンボマスターのベストの話になっちゃうんだけど、その時に『そのぬくもりに用がある』をいろんな各地で10年分集めたらテンポがぴったり揃っちゃいますっていうのがあって、同期なしであれができるって異常者(笑)。フェスだろうがクアトロだろうがフジロックROOKIE A GO-GOだろうが、あれができちゃうって木内さんは実はとんでもないテクニシャンなんだっていうことがもっともっと伝わればいいなぁってとこですね。

のすけ:生のドラムでBPMがズレないってえげつないっすね。

 

7位 ファンファーレと熱狂/andymori

にっしー:これはもう、後藤大樹天才!ってところですね。セカンドで燃え尽きてしまったなというとこもあるんやけど、やっぱサードが聴けない(笑)。後藤大樹すげぇなということですね。

きょろ:それな!(「後藤大樹天才!」あたりからずっと「それな!」を連発していた人)その観点はまったく一緒。

にっしー:『Transit in Thailand』とか『SAWASDEECLAP YOUR HANDS』とかのあのドラムは他の人がやったら冷めちゃうんよね。で、木内さんにも近いんやけど、ものすごい正確なことを全身全霊を込めて叩いてるからこそフェスだライブだで盛り上がる。逆に『FOLLOW ME』とかはあえてBPMを上げで崩すということもできるのはちょっともったいないなっていう。

こばやん:『革命』もいいアルバムよ!

にっしー:いいんやけど!分かるんですよ!もうちょっと聴きたかったなっていうね。

きょろ:わかる(「わかる」を連発してた人)

 

6位 スポーツ/東京事変

にっしー:今度は刃田綴色です。

こばやん:好きなドラマートップ10だっけ?

にっしー:それでもいいと思う(笑)。この中で僕が語れるといったらドラムなのかなって。

で、やっぱ『電波通信』を生で聴いちゃうとね、エグい。バンドの五角形っていうのがあるとするとこの5人は上手いんやけど上手さよりもかっこいいが勝つ。プロのミュージシャン、プレイヤーの最たるものが『電波通信』なのかなと。「お前がキーボード弾くんかい」「ギター弾くんかい」みたいな、ライブでの魅せ方。

あとこばやんが言ってないとこで言うと、最後の『極まる』っていう曲が去年のオンラインライブでも最後の曲になってて、あのアウトロでスモークを焚いて、焚いてるうちに彼らがフェードアウトしていくっていうのを「ウルトラC」っていうアルバムツアーでもやってたんやけど、あの去り方ができて様になるのは東京事変しかいないのかなって。

こばやん:『スポーツ』が被ったのは嬉しい。

 

きょろ 10~6位

10位 ぶっ生き返す/マキシマムザホルモン

きょろ:このアルバムの何がすごいって、皆さんマキシマムザホルモンって何歌ってるか分からん、歌詞が分からないなどの感想をお持ちだと思いますが。まさかそんな訳の分からないバンドのこのアルバムにタイアップ曲が3曲も入ってるというのが世間的に面白いということ。『恋のメガラバ』からマキシマムザホルモンは転換期というか、マキシマムザ亮君のメロディ力というか作曲力、構成のすごさが世間に知れ渡った一枚。

 

9位 Lives By The Sea/Gotch

きょろ:今年の3月発売なんですこのアルバム。ゴッチは常々「バンドはラップには敵わない」というようなことを公言してるんですけど、このアルバムの中ではラッパーの方とコラボをしているというとこだったり。今の世の中にもっと希望持っていいんだよということを言っていたり。

そしてこの中に、これを広げだしてしまうと朝になってしまうからやめとくんやけど、相関図というのが入ってて。その中にアジカンからの矢印の先にくるりがいてて、その矢印に例えばドラマの相関図とかだと「恋仲」とか「親子」とか書いてるけど、このくるりへの矢印には「同期の誇り」って書いてある。ゴッチにとってはくるりってそれだけでかい存在なんやなって。

他にもELLEGARDENとかストレイテナーとかが「こことここがコラボしてる」みたいなのがあって、もう一日中見てられる相関図が入っててっていうのも楽しめる一枚。

こばやん:買いたくなってきた(笑)

 

8位 I ♥ U/Mr.Children

きょろ:これは高校生の俺には刺さりすぎるMr.Childrenだったと思う。さっきのこばやんの『生きる』じゃないけど、オープニングがただただオープニング過ぎる。それしか言われへん。『Worlds end』、endとつきながらオープニングに持ってきつつあの曲の壮大な始まり。そこから始まってどう展開していくんだろうってところで、Mr.Childrenのアルバムの中に1曲はあるエグい曲がすぐに来たりとか。面白みがすごく詰まってるアルバム。中でも『ランニングハイ』を音博の会場で聴けたのがすごく、すっごぉく嬉しかったですね。

にっしー:音博で『僕らの音』が聴けたのは僕も良かった。

 

7位 初恋/宇多田ヒカル

きょろ:暗いとこもありつつ。着目したのが『あなた』で、その年一番すごい曲だなって。歌詞を読んでて共感する部分ももちろんあり「ようでけたぁるこの歌詞」って。

こばやん:新しい薬の名前?

きょろ:ヨウデケタールが配合されているので(笑)。

こばやん:俺もこれその年の1位に選んだんだよな(こばやんはTwitterで毎年その年のランキングを年末に発表してくれます)

きょろ:そう、こばやんのそれを見て同じこと思ってる人、やっぱりいると思って。やっぱり間違いないなこの曲はと。すごく刺さる曲でした。

 

6位 POP VIRUS/星野源

きょろ:これはねー、星野源最強って。

ギャラリー:はいはいはいはい。

きょろ:意外とこの『Pop Virus』っていう曲が短い。っていう部分と、一回聴いただけではピンと来んかったけど二回三回と繰り返すと、ぐっとくるものが多い。曲の流れが素敵。で、最後の曲やのに『Hello Song』を「こんにちは!」っていうのを持ってくる。それがこのアルバム全編通して潔い曲が多いなっていうのを感じた。潔いアルバムというか。今星野源という人間ができることを全部惜しげもなく出してて。このアルバムだけがすごいんじゃなくて、この次に続いていくシングル曲たちがこことはまったく違う次元にあって、それを踏まえて現段階、今日までの星野源の一番はこれにせざるを得ない。

こばやん星野源は2人選んでるけど、黎明期より最近のやつって感じなんだね。

きょろ:ベスト30決めた時も言ったけど、面白いをどんどん更新していく人。他のバンドもだけど面白いをどんどん更新してる人を今もずっと変わらず聴いてることが多くて、星野源はその中でも筆頭。いつも思いもせんかった角度から殴られるというかね。

 

こばやん(妻) 10~6位

10位 卒業アルバム/ガガガSP

こば妻:めっちゃ聴いてました(笑)。

きょろ:どういうこと?ってなってる。

にっしー:今日出ないと思ってた名前やから。

こば妻サンボマスターとか意外と暑苦しいのが大好きなんで。

 

9位 5人のエンターテイナー/東京カランコロン

こばやん:このアルバムは俺も好き。

こば妻:けっこうラジオとかでも流れてたから。

 

8位 君によく似た人がいる/関取花

こば妻関取花ちゃんもすっごいもう、泣けます。

こばやん:『もしも僕に』はいい歌だよね。アラサーとかに刺さるよね。

 

7位 醒めない/スピッツ

こば妻:初めてスピッツのライブに行った時のアルバムで。

こばやん:まだ付き合う前でね。結婚式でも思い出のCD3選みたいなのに選んでて。

 

6位 光/andymori

こば妻:私は『光』を選びました。すごく印象的なツアーだったので。

 

さとるんキッズ 10~6位

10位 REAL/L'Arc~en~Ciel

さとるん:僕、実は兄弟の影響で小学校6年生までL'Arc~en~Cielしか聴いてませんでした。初めて買ったアルバムも『ark』『ray』でL'Arc~en~Ciel一本漬けみたいな感じで。

それまでの『ark』とか『ray』では浮世離れじゃないですけど、そんな曲が多くて。『REAL』になると現実味を帯びた曲っちゅうか、そんな曲が増えてきたかなっていうターニングポイントで。『STAY AWAY』とか『NEO UNIVERSE』とかありますけど、その他の曲でも現実味を帯びたいい曲も多かったんで影響大きかったと思います。

 

9位 NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDNITRO MICROPHONE UNDERGROUND

さとるん:これは僕がズブズブのヒップホップというか、アンダーグラウンドのラップ漬けになる影響を受けた一枚です。今のR-指定とか般若とかありますけど、その中でも影響が大きかったのはNITROですねぇ。

8人組MCなんて今まで聴いたことなくて、さらにアンダーグラウンドのコアのコアで。これ以上ねえなっていうくらい。ナイキとコラボしてたりもあったけど、やっぱり最初のアルバムが影響大きくて。今1人抜けちゃったんで、やっぱ今後残すとなるとこのアルバムは残したいかなということで。

 

8位 分離派の夏/小袋成彬

さとるん80KIDZの絡みで小袋さんと知り合って、面識はちょっとあるんですけど。フューチャリング宇多田ヒカルの曲があって。ファーストアルバムで1曲目と途中の曲が小袋さんの知り合いのインタビューが入ってるんです。それを売り物にするってすげえなーって思ってて。その途中のインタビューの曲が多分みんなに刺さるんですよ。社員証SUICA代わりピッとかざすとお茶とかの飲み物が出てくるみたいな。それって「自分を浪費してお茶を飲んでるんじゃないか」って。それが刺さるんですよ。それを曲というか、曲の間に挟むっちゅうのはすげえなって。

フジロックの配信で小袋さんのライブ観て、やっぱボーカリストとしてもすげえなと思ってこの順位に入れました。

 

7位 AINOU/中村佳穂

さとるん:まあ、歌上手いよねーって。

にっしー:入れたくなるよねーこれは。

さとるん:グルーヴっていうんですかね、悲しい曲とか重たい曲でもノれちゃうっていうのは上手いよねっていうのと。最後のほうに「生きとし命ゴーゴー」みたいな「みんないけいけ!」みたいな曲があったり、AppleのCM曲にもなった『アイアム主人公』もあったりしてアルバム通して聴くと元気出たり、いろいろ思ったりする曲も多いので7位。

 

6位 POP VIRUS/星野源

さとるん:ジャケットが心臓の形してるっていうのも含めて、さっきにっしーの言ったように前作で完結しててこれからどうなるんだろうってところでNHKの朝ドラの主題歌になったりとか、紅白の曲でもいろんなアーティストとかスタッフとかをいろいろひっくるめて出したり。『アイデア』はPV含めて、この人の頭の中に入ってんだろうなっていうのがあって。

こばやんも言ったけど病気を通して怖いもの無しちゅうか、バンドも解散して一人になって、病気もやって、それでもやっていくっていうすごい強い意志っちゅうのを感じる。日本のポップスはいろいろあるけど、結局トップを走ってるのは星野源なのかなと思っちゃう。

みんなも観てると思うけど「サケノサカナ」で源さんと山口さんの配信を観てて、この二人すげえなーって思ってた一人なので、このアルバムはすごいですよね。『YELLOW DANCER』もすごいけど、その上を行くんだなあと。ウィルスって言っちゃってるんだよね、蔓延るっていうかねえ。

にっしー:感染力は高いよねえ。日本中に行き渡ったなっていうのはこのアルバム。

 

のすけ 10~6位

10位 イキルサイノウ/THE BACK HORN

のすけ:これはアルバムとして聴かなきゃいけないですね。こんなネクラなゴミみたいな中高生は聴かなきゃいけなくて、ほんとに9曲目までボロクソ言うてて「世界の代弁者なんかな」っていうとこまでいってるんですけど、10曲目ラストの曲『未来』で全部ひっくり返すんですよね。全部光で包み込んじゃうっていう。僕このアルバムで「カタルシス」っていう言葉を覚えたんですよね。

きょろ:そういうのあるよな(笑)

のすけ:これはほんとにどうか、どうか世界中の僕みたいな暗いドブみたいな生活をしてる中高生に、最初から最後までちゃんと聴いてほしい。Wikipediaのあらすじを見て漫画とか映画を観た気になるんじゃなくて最初から最後まで全部聴いてほしい。もっと上に挙げたかったんですけどこの順位になりました。全部最後に持っていくっていう意味では強いアルバムだと思ってます。

 

9位 sakanaction/サカナクション

のすけサカナクションはここで自分たちがやりたいことと、自分たちがシーンの代表として、日本の音楽の頂上としてやらなきゃいけないっていうことを両方高次元で納めたっていうすごいアルバムだなと思ってます。

前回僕は1位『ミュージック』を挙げたんですけど、そういう曲しかり『Aoi』とか『夜の踊り子』とか。そういうのをゴリゴリのテクノミュージックで世に送り出すっていう。やっぱりそういうところがサカナクションらしいし、ほんとに高次元なことをやってるなっていう、やっぱりセルフタイトルを付けてるだけあるなって。力入ってる素晴らしいアルバムだなと思ってます。

 

8位 GAME/Perfume

のすけ:まだPerfumeがアーティストかつアイドルだった時代のアルバム。その両方が、さっきのサカナクションにも通ずるんですけどアイドルっていう一面とアーティストっていう一面それぞれの良いところを高いレベルでちゃんと交わらせたのがすごいなと思ってます。『ポリリズム』とか『チョコレイト・ディスコ』みたいな後世に残るような曲もありつつ『GAME』とかでアーティステックな一面を残してるんで。最後の『Puppy love』なんかはゴリゴリのアイドルソングなんですよね。これをみんなで「上下上上!」ってできる日を待ち望んでるなって。

こばやん:俺のすけとサマソニPerfume観たとき初めてかっこいいと思った。

 

7位 HELP EVER HURT NEVER/藤井風

のすけ:藤井風って僕らからしたら王道の人って見えるんですけど、多分今のシーンでこれって王道じゃないんですよね。ボカロ系とか歌い手とかが人気ある中で実は特異な存在なのかなって思いつつも、やっぱり地肩が強いというか本当に岡山の奇跡だなって思ってて。

曲聴くまでは色モノかなと思ってたんですけど、曲を聴いたら頭ブン殴られたような感じを受けましたし、全然日本の枠を超えてるなと個人的には思ってて。日本のポップシーンでいうと星野源とかが日本中に伝わる音楽をやってるし、米津玄師も素晴らしいアーティストだと思うんですけど、海外でタイマンでブン殴れるのは藤井風かなと思ってます。

この一枚で飽きられずシングルもクオリティ高いのをガンガン出してますし、2枚目3枚目といいアルバムを出していってほしいなと。日本の音楽界の希望かなと思ってます。

にっしー:メロディがね。美しいメロディ工場長よね。

のすけ:そうですね。それでたまに「そんなコード使う?」みたいなのもありますからね。岡山の田舎からどうしてこんなのが出てくる、同じテレビ観てるはずやのになって思います。

 

6位 HIGHVISION/SUPERCAR

のすけ:みなさん忘れてませんか、スーパーカー。今聴いて「今年出たアルバムです」って言われてもなんの遜色もないサウンドなんですよね。サウンドの面で言ってもかっこいいんですけど、ここに乗っかってくるいしわたり淳治の歌詞が素晴らしい。そういう才能が溢れてるのがこのアルバムなんですよね。

テクノというかエレクトロのサウンドになってきてもそれにすごくマッチするんですよ。『STORYWRITTER』とか本当にそういう曲だし、タイアップ付いてる『YUMEGIWA LAST BOY』とか『STROBOLIGHTS』とか乗っかってくるのが凄まじくて、なんか喋れば喋るほどバカらしくなるみたいな。今聴いても素晴らしいアルバムで、ベスト5には入れられなかったですけどここに入れたと。

こばやんスーパーカーはリアルタイムじゃないっていうのがなぁ。

きょろ:ミッシェルとかと同じパターン。

 

ぴろ 10~6位

10位 ODYSSEY/平原綾香

「Jupiter」が有名ですね。3拍子の原曲を歌謡曲として馴染みやすい4拍子にして、素晴らしい詞をつけられていてあっぱれ!平原さんの包容力のある豊かな歌声がとてもよく合っています。「明日」「Precious Time」「あなたの腕の中で」「Skool for AH」「mama」も好きです。

 

9位 ether [エーテル]/レミオロメン

レミオロメンはやっぱり『ether』ですね!『HORIZON』もいいけど『ether』がよすぎる。w 「3月9日」「南風」はもちろん、どの曲もいいです!

 

8位 醒めない/スピッツ

スピッツは、『ハヤブサ』から『みっけ』までどのアルバムも良くて迷いまくったんですけど、やはり1曲目「醒めない」で衝撃を受けたのと、未来への希望をくれる1枚ということで。「醒めない」からの「みなと」はヤバいですよねw 「みなと」も"もう一度会うための歌"という希望を感じます。

 

7位 ファンファーレと熱狂/andymori

andymoriと言ったらこれ。「1984」を聴いた瞬間、andymoriのファンになってましたw 「16」「グロリアス軽トラ」も好き。

 

6位 RADWIMPS 4 ~おかずのごはん~/RADWIMPS

アルトコロニーの定理』や『人間開花』と迷いましたが、RADと出会ったこの1枚に。高校生の頃、友達に貸してもらいハマりました。RADらしいと言うか、実験をしているような曲がいっぱい。曲のタイトルを見ても面白いものが多いですね。

 

がちゃぴん 10~6位

10位  diorama/米津玄師

ボカロ系音楽が「普通に音楽シーンにいる」いま、かつもう広く一般に「米津玄師っぽさ(㱠ハチっぽさ)」がわりと浸透するなかで、dioramaの醸す米津とハチのカオス感がまるで平成から令和の橋渡しをした遺跡みたいな1枚。

 

9位  DEEP RIVER宇多田ヒカル

1枚のアルバムにSAKURAドロップス・Letters・travelingFINAL DISTANCE・光が入ってるって何事だろうな。宇多田ヒカル10代最後のアルバム、なんだけれど、なんというか天才が歴史に遺した「人類が10代でできる最高のこと」のひとつだと思う。

 

8位 Catch The Wave/Def Tech

「でふてっくはMy Wayとめざましテレビのやつしか分かんない...アレは割と好き...」って人にはぜひ聴いてほしい...ルーツ的にハワイアンミュージックがベースのものはもちろんだけれど、その他の曲もとにかく音の流れと言葉の流れが気持ちいい。リード曲(タイトル曲)に応じて夏色強め。

 

7位  教育/東京事変

あの紅い折り鶴を何度見たことか。まず「りんごのうた」で物語が始まる時点で格好良いのに、バンドマン椎名林檎を見せ付けられたうえで「夢のあと」でまるで60~70年代ショーパブのラスト曲を聴かされて圧倒的完全世界に居たことを知らされる。

 

6位  空創クリップ/スキマスイッチ

言わずと知れたスキマスイッチの代表曲「全力少年」が入っているものの、「飲みに来ないか」と「キレイだ」はもっともっともっと大々的に評価されて超超超有名曲になってほしい。キレイだは元々w-inds.への提供曲のセルフカバーだけど、どっちも完成されてて凄い...!

 

 

 

こばやん 5~4位

5位 THE PIER/くるり

こばやん:このアルバムはくるりの最高傑作だと個人的に思っていて。アルバムを通して『THE PIER』は桟橋って意味で、航海みたいなことがテーマになっているのかなと。『日本海』から始まって、ハネムーンに行ってみたりだとか『Liberty & Gravity』でエスニックな楽曲が入っていたりだとか、『遥かなるリスボン』があったりだとか、『Remember me』で郷愁みたいなものを感じさせてみたりだとか、あとはクリスマスっていう世界共通のお祝い事の曲があったりとか。っていうのを経て、最後『There is (always light)』で航海から戻ってきて最後のセレモニーみたいな感じ。ほんとに一枚を通して音楽の航海をさせてくれているっていうのがこのアルバムなのかなと。

くるりの特徴って音楽性がその時期によって変わっていくっていうのがあると思うんだけど、このアルバムがくるりをすべて象徴しているというか表してるんじゃないかと思ってこのアルバムにしました。

 

4位 EXPO EXPO/m-flo

こばやん:こっちが意外性があるかと思ったんだけども。アルバム一枚を通してのコンセプトって考えたら10年後、2001年(発売)だから2011年頃の万博、EXPOをテーマにしてるんだけど。正門とか東門とか南門とかっていう途中途中に「万博へようこそ!」みたいな、異世界へ誘うような楽曲というか間奏のようなものが入っていて、かつ『prism』とかもちろん『come again』とかが有名な曲、『orbit-3』も『How You Like Me Now?』も全部シングルだけどそれがすごく活きているというか一枚のアルバムを通して見世物になっているっていうのが評価の高い4位につけた理由です。

『come again』はiPhoneとかに入ってない人はYouTubeとかで是非聴いてもらいたいんだけど、今聴いても全然新しい。っていうのもツーステップってJ-POPの中で消化しきれてないジャンルなんじゃないかなって思っていて、『come again』とか平井堅の『Kiss of Life』とかCHEMISTRYの『FLOATIN'』とかしか無くて。90年代ってJ-POPとカラオケとの相性が良くて、カラオケで熱唱できる楽曲っていうのが90年代はモロに受けていた。

小室哲也、globeなんかがm-floとは同じ編成なんだけど、そことは一線を画してるというか、VERBALのラップなんか誰も真似できないし、☆Takuの作る楽曲のトラックも今聴いても新しいし、LISAの歌い方が特にこの『come again』はカラオケで歌うとすごく難しいんだよね。あのスタッカート、歌唱法がJ-POP界では違和感があったんだろうけど、タイアップがついたこともあってあれだけ売れ線になった。

っていうのが今聴いても新しいし、ツーステップっていうジャンルに挑んでいたm-floっていうのはすごかったんだなっていうのが今聴いても思うし、これが(今から)10年後の万博っていうテーマになってるって言われても納得するというか。それだけ20年前のアルバムとは思えないなっていうのがこの『EXPO EXPO』なのかなと思って4位に入れました。

のすけ:『come again』は泣きながら踊れる曲のはしりだし、m-floってこういうコンセプトアルバム作らせるとホントすごいんですよね。この後の『ASTROMANTIC』とかもまさにそうだし。

にっしー:最近やっとツーステップ再評価みたいになっててね、Sexy Zoneが挑戦したりとか。

こばやん:J-POPとの相性が悪いんだと思うのよ、サビの文化だから。J-POPってどうしても。これはかっこいいので聴いてもらいたい。

これを選ぶにあたって、みんなもしたと思うんだけど、ベストアルバムランキングとか○○が評価するアルバムランキングとか見たけどあんまり、ほとんど見かけなかったんで意外と評価されてないのかなって。これが出たときは当時中坊だったけど「なにこれ?すごいもんが世の中に降ってきたな」っていう感覚があったから。

のすけ:多分m-floってジャンルとして定義しにくいんですよね。ヒップホップ畑の人たちにはヒップポップだと思われてないし、ポップとしても異質なんですよね。だからそういうジャンルのエキスパートの人には選ばれないんですけど、高次元のポップなんですよね。絶対。

こばやん:これが20年前に起きてたっていうのがすごいよなぁ。

きょろ:『come again』20年前か。それはエグいな。今でも聴くもんな。

さとるん:そう考えるとすごいね。

 

ジロウ 5~4位

5位 JUNCTION/Hysteric Blue

ジロウ:これは長くなってしまいそうだけど、まずラストアルバムなんですよ。活動休止をすることがアルバム発表された時から決まっていて、僕らもそういう気持ちで聴いてたんだけど。『春~spring~』とか『なぜ・・・』とかのたくや作詞曲が12曲中11曲占めてるからみんなの思うHysteric Blue感っていうのは一番濃いアルバムなのかな。

そういう中で一番最後の曲が『LOVE』っていう「まだ言葉ができる前から愛はあったんだよ」っていう曲。で締められて終わっていく、これで活動休止に入っていくんだな……って思ってたんだけど、最後のアウトロで「人のことを陥れて自分だけを可愛がって文句ばかりばかりばかり」って言って終わっていったんですよ。聴いてる側からしたら「なんてことを言うんだ」っていう、ファンとしては「こんなんで活動休止しちゃうの?」っていう気持ちになっちゃう。

で、最終的にその活動休止期間中にギターのメンバーが逮捕されてしまって、そのまま解散。CDもすべて回収。っていうことになってほぼ1年くらいしか出回ってないアルバムなんだけど、そういう最後の後味の悪い感じを味あわせて消えていった、印象にはめちゃくちゃ残ってるアルバムなんですよ。

いろんな憶測はあるんだけど、しかもその「人のことを~」っていう歌詞は歌詞カードに書いてない。だから余計勘ぐってしまうというか、その後味の悪い感じを。今後再発されることもないだろうし、後世に残したいって言われたら、これは残して「あげてほしい」という気持ちが強くて5位にしました。

こばやん:そのエピソードはめちゃくちゃ強いわ。ちなみにヒスブルって今聴く手段ってあるの?

ジロウ:ギターを抜いた2人で組んだSabãoっていうバンドで『春~spring~』とかのたくや作曲の代表曲はセルフカバーしてるから曲としては聴けるけどヒスブルとしては無し。

こばやん:じゃあこのアルバムはツタヤでレンタルとか残ってないと聴く術はないってこと?

ジロウ:あとは中古ショップとかにあればって感じかな。今手元にあるんで欲しい人いたらお貸ししますよ。

のすけ:これは聴きたいっすよ(笑)

こばやん:もう今のエピソードだけでめっちゃ聴きたいんだけど。ヒスブルってやっぱりその2曲のイメージが強いからさ。気づいたら逮捕されてたみたいな。

ジロウ:実はこんな終わり方してたっていうね。

のすけ:逮捕されて活動休止かと思ってたけど違うんですね。やばい幻のアルバムだ、残さなきゃこれは。

ジロウ:後世に残したいアルバムっていうのを意識したらどんどん順位が上がっていったよね。

 

4位 シンシロ/サカナクション

ジロウ:僕は前に言った通り、サカナクションは1枚目のアルバムを発売日に買ったことを自慢できるバンドではあるんで、その時からずっと聴いてて。本当は『NIGHT FISHING』の一曲目の『ワード』で結構くらったんですよ。『ワード』のあのイントロの間の使い方を、まだアルバム2枚目のぺーぺーって言ったらアレだけどそういうバンドが、こんな間を使ったかっこいい曲をやるんだなと思ってちょっと気になるバンドっていう位置づけだったのがこの『シンシロ』でもう飛び立って行っちゃったなっていうのを感じたアルバムだなと。

『セントレイ』とか完全にポップを意識した、サカナクションのやりたいことの片鱗が見えてきたなっていう感じがして、ここでサカナクションできあがったなと思っていたらここからどんどんとんでもないとこまで行ってしまった。その先駆けみたいな感じで忘れられないアルバムですね。

こばやん:『セントレイ』『ネイティブダンサー』で十分って言う感じだったもんね。

ジロウ:そうなんだよね。ああすごいバンドだなっていうのは分かったけど、そこからがすごかったからね。

にっしー:この時のツアーで600人規模とかやったけど、全然そんな規模じゃないもんね。表現しようとしていることが。1万人規模を見据えてやってた感じがすごい印象に残ってる。

さとるん:自分たちで自腹を切ってまでレーザーとか借りてやってたってのは聞いた。

きょろサカナクションもやっぱり綺麗に階段を駆け上がった感じがあるよね。

ジロウ:他のアルバムとかに比べてポップ過ぎるっていう見方もあるんだけど、サカナクションにはこれくらいの振れ幅を見せるっていう意味でも必要な一枚だったんじゃないかなと。

こばやん:明らかに2枚目までと違ったよね。

 

にっしー 5~4位

5位 マンパワー/□□□

にっしー:曲構成からいくと、8曲入りなんやけど2曲目と7曲目。最後から2番目の曲が、14分54秒と13分51秒っていう曲構成で。全体が45分くらいかな。そんな長くないアルバムなんやけど、これは東京を舞台にしたひとつのミュージカルなんですよね。『合唱曲 スカイツリー』っていう2曲目の14分54秒の曲が2012年の、震災後の東京の不安感と、なんかどうしようもない空気と、完成する前のスカイツリーがぼーっと立ってる感じ、東京オリンピックを前にした今とちょっと似たような感じというか。空虚な感じがすごい、あの東京っていうのが僕の中で第一印象で。その空気感、不安感をそのまま音楽にしたのがこの『合唱曲 スカイツリー』っていう曲かなって思ってて。

で、最後から2番目の『いつかどこかで』っていう13分51秒のほうの曲。こっちは2012年Twitterはもう流行りだしてたけど「いろんな人たちのつぶやきを音楽にしたらこうなりました」みたいな。いろんな人の合唱で成り立ってる曲なんやけど。そのつぶやきのヒップホップ化っていうのが大成功した13分51秒の曲。これは是非聴いてほしいし、この前30曲に入れなかったのを後悔した1曲です。『いつかどこかで』、これだけでいいから試しに聴いてみてほしいなっていうところですね。

 

4位 ソルファ/ASIAN KUNG-FU GENERATION

にっしー:2004年のあの当時のドラムとは何か、ロックドラムとは何かっていうのを教えてくれたのは伊地知潔さんかなっていうところですね。シンバルをどう使えばオシャレになるか、スネアをどう使えば人が動くか、かっこいいと思うかっていうところは『Re:Re:』は特に。あと『リライト』かな。この2曲は大きい。

『君の街まで』もそうやけど、色気があるというか。その色気が2016年版になっても、ゴッチの歌い方とかは進化したんやけど良くも悪くも第一作目の時点で潔のドラムは完成しきってるというか、あの当時からすごかったんやねっていう感覚があって。この15年くらいのロックドラムの基盤というか、丁寧かつ大胆なところっていうのはそこかなって。またちょっとドラムマガジンっぽくなってしまったけど(笑)。潔の恩恵を感じてきたし、これからもまだまだ進化していくだろうなっていうところですね。

 

きょろ 5~4位

5位 834.194/サカナクション

きょろ:通称「闇夜行くよ」ですね。これをね、どれほど待ちわびたかという話。6年以上、待ってたものが形になって、それが2枚組だと。ちょっと今回の趣旨からすると禁じ手というかズルいかも知れんけど、2枚組のアルバムでそれぞれ単体で聴いてもまとまりがあるし、一番好きな曲は『「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」』。好きなアルバムだなと思うのは2枚目のディスクで。

すごくうまいことなってるアルバムだなって感じる。2枚とも『セプテンバー』っていう曲終わらしてて、1枚ずつ形にして、1枚ずつどっちもグッとくる曲が入ってて。6年待った甲斐があったなと。

6年待ってかつ(当初の)発売日よりも3ヶ月延期したんかな、一郎が「『忘れられないの』の歌詞をやっぱ変えたい」って言って、なんなら(書き換える前の曲を)ライブで一回披露してるよね確か。それを変えたいって言ったらメンバーにガチで怒られるっていう。ぐらいのことをしてまでも書き換えた一曲目の『忘れられないの』。曲に集中したらPV入ってけえへんし、PVに集中したら曲が入ってけえへんでお馴染みのあの曲。でもあの『忘れられないの』の中にもすごい技術が詰まってるというか。世間に晒されるタイアップもたくさんあって、今のサカナクションっていう面白さが詰まったアルバムかなと。

 

4位 Our Secret Spot/the HIATUS

きょろ:このたび、この20枚を決めるにあたって「細美武士勝戦」をしまして、細美武士を選びすぎてしまうとMONOEYES、HIATUS、ELLEGARDEN、LOW-ATUSも含めるとややこしくなるなと。一回全員まとめて決勝戦しようやないかいとなった時の1位がこれです。一番最近出たHIATUSのアルバムですね。

これをできる細美武士。これでいこうって言える細身武士。これがリリースされる時にPVを初公開しますみたいな、メンバー5人が集まってだらだら話すみたいな生配信があって。その中でウエノさんが言ってたんやけど「1フレーズ1フレーズに意味がある」無駄な音が1個も無い。でも音数もそんなに多くない。なんか、今の洗練しきったHIATUSというか、さっきのすけくんが言ったように、さっきのアルバムでエレクトロにガッツリ入ってどんどん形づいていったっていうのも分かるし、HIATUSはアルバムごとにどんどん色が変わっていくんやけど、これももちろん(これまでと)色が全然違うし、その中でもいらん音をめちゃめちゃ排除しきって、めっちゃシンプルな音。かつ、それの立役者となってるのは多分伊澤一葉と柏倉(隆史)さん。この二人がいないと多分これは成り立ってない。細美武士とその二人が出会って、やっていこうと思ってこれができたんだろうなっていう。やっぱりこれが一番、今の細美武士の中では一番すごいものだろうなと思って4位を付けさせていただきました。

にっしー細美武士勝戦はどれが闘ったん?

きょろ:HIATUSのサード(『A World Of Pandemonium』)、アコースティックにガッといった時のやつ。と、『ELEVEN FIRE CRACKERS』(ELLEGARDEN)。その3枚で最終決戦。俺は細美武士の中では一番HIATUSが面白いと思って聴いてるから。

のすけ:完全に同意っすね。

 

こばやん(妻) 5~4位

5位 C3/BaseBallBear

こば妻:これはきょろさんと一緒で、一番好きなアーティストが毎回新しいを更新してくるんで、もう……大好きです(笑)。

こばやん:これはさっきも言ったけど発売した時のミート&グリートでメンバーに会ったときに泣いたってっていう思い出もね。

きょろ:そりゃ泣くわな。

 

4位 CHRONICLE/フジファブリック

こば妻:これは……(隣にいるこばやんへ)お願い!

こばやん:えっ? ……俺も『CHRONICLE』は選びたかったよ。選びたかったけど、まあこのアルバムからもう12年経つんだなと思うと感慨深いね。

のすけ:こうなると1~3位何だ?

こばやん:俺も当然ベボベは1位だと思ってたから。初期のやつかなとか、一番好きって言ってた『新呼吸』かなって思ってたからビックリした。

 

さとるんキッズ 5~4位

5位 First Album/tofubeats

さとるん:参加メンバーが豪華過ぎます。森高千里さん、藤井隆さん、あとはokadadaさんとかリリスクとか、の子とか。あとは『朝が来るまで終わる事の無いダンスを』。(前作の)『水星』とかもいいし、次のアルバムではDREAMのAmiちゃんとかKREVAとかとコラボしてますけど、やっぱり『First Album』かなと。『ディスコの神様』と『Don't Stop The Music』が印象深いですかね。なんで5位。

のすけ:みんな聴いてたもんなぁ~って感じですもんね。この時ね。

さとるん:みんな聴いてたでしょ。2014年でこういうダンス系で聴いてると絶対tofubeats聴いてたでしょうと。

 

4位 Obscure Ride/cero

さとるん:『My Lost City』と悩んだんですけど、この『Obscure Ride』でガラッと世界観変わったかなっていうのがあって、『Summer Soul』、『Orphans』とか。で、最後にボーナストラックというか、タワレコとかでアルバム買った時の特典として『街の報せ』っていう曲がCDで付いてきたんですけど、シングルアウトもしてるんですけど、その曲がとっても強くてですね。『街の報せ』で一気に現実に戻ってこさせるような世界観が『Obscure Ride』は強いかなと思って。ceroはバンドとしても大好きなんで第4位となってます。

にっしーceroは1位2位あたりかなと思ってたら。

さとるん:いやーいろいろあってね。

のすけ:さとさんも2位3位なんだろう。1位はまあね分かるんですけど(笑)。

さとるん:決め打ちはよくないぞ~。

 

のすけ 5~4位

5位 TITLE/ストレイテナー

のすけ:ホントにアルバムとして理想的。一枚が最初から最後まで完璧なアルバムかなと思ってます。

ストレイテナーって何回も進化してるんですよね。2人から3人になった時、3人から4人になった時、4人になって今。っていうところ、何度も何度も進化している中のこの一つ的な作品で。今まで疾走感あふれるゴリゴリのサウンドみたいなところで走ってきたストレイテナーが引き算みたいなものを覚えた結果、ミディアムナンバーでも名曲があふれ出てる。

今このメンバー4人でやってるライブを観ると、今まで3人でやってた頃のCDの音源とは全然違ったりして、一粒で二度おいしいみたいなことがあったりして。このアルバムを2020年に再現ライブやっちゃうっていうぐらいバンドとしても大事な一枚だし、ファンとしても愛されてる一枚。僕の人生の中でもこの一枚は本当に欠かせないアルバムなので第5位に選ばせていただきました。

 

4位 déraciné/GRAPEVINE

のすけGRAPEVINEのアルバムを一枚選んでくださいが僕にとっては酷なんですね。Twitterでやってたオールタイムベストアルバムを決めるみたいなのに200人くらいが参加した企画の中で、アーティスト別で見たアルバムの作品数のランキングでいうと、くるりも超えたしスピッツも超えたしエレカシも超えた山下達郎も超えたでGRAPEVINEが一番作品が多く入っていたっていうぐらい、ファンにとってはGRAPEVINEのアルバムを一枚選ぶのって酷なんですよ。

多分「こういうアルバムを一枚選んでください」に対しての答えが全部違ってくる。ですけど今回の「後世に残したい」っていうところだったのでGRAPEVINEのエッセンスが全部詰まってる『déraciné』を選びました。

ポップさも孕んでるし、狂気を孕んでるみたいなところもあったりするので、そういう一面も持ってるし、ロック的要素とかを持ってる曲も入ってるし、最後の曲とかはつじあやのとやってるっていう。アルバム一枚でいろんな世界が楽しめるっていう意味では後世に残すのはこっちかなと思ってます。もうすぐアルバムが出ますのでそれもまた何をしでかしてくるのかなというのがあって、ホントになにを聴いても面白いのがGRAPEVINEです。

こばやんGRAPEVINEは『イデアの水槽』しか聴いたことがないから、他も聴いてみようと思います。

のすけ:『イデアの水槽』はロック好きに聴いてほしいアルバムですね。

 

ぴろ 5~4位

5位 生命力/チャットモンチー

私の中でチャットモンチーと言えばこの1枚。「親知らず」「Make Up! Make Up!」は、大阪で一人暮らしを始め、お化粧もするようになった頃にすごく刺さりました。

 

4位 orbital period/BUMP OF CHICKEN

BUMPも迷いました! 初めて聴いたのは『ユグドラシル』、思い入れが強い『FLAME VEIN+1』と『COSMONAUT』など。『orbital period』は「Voyager」で始まり「Flyby」でまた戻ってくる周回してる感じがよく出ている点が高評価で、この1枚に。 バンプはよく隠しボーナス・トラックを入れてきますが、"オレ おまえ Believe"好きですw

 

がちゃぴん 5~4位

5位 Magic Number/go!go!vanillas

吉田拓郎ビートルズを愛する田舎育ちの青年が作った珠玉のアルバム」以外のなにものでもない。こういうシンプルな音に乗せる言葉ってシンプルで真っ直ぐだからこそしっかり音に絡みついて景色を浮かべて聴けるんだなといつも教えてくれるアルバム。

 

4位  Mr.S/SMAP

近年の殆どのSMAPアルバムに共通して言えることだけれど、錚々たる面々による楽曲提供、だからこそ曲者揃いな楽曲たち、だけどその全てがきちんと「○○が作ったSMAPの曲」に完璧に仕上がってるところ、それがSMAPのアルバムの本当に面白いところ。2014年にTK(凛として時雨)や津野米咲がジャニーズアイドルの曲を作るなんていう一見突拍子もない制作が完全に完璧にハマってて最高で最強。

 

 

 

こばやん 3~2位

3位 愛のひみつ/ハンバート ハンバート

こばやん:この『愛のひみつ』ってアルバムはすっごくいいんですよ。『恋は綱渡り』っていうインストのカントリーミュージックから始まるんだけど、それ以降の『レンタカー』から『ねる子よ育て』までの11曲は一つひとつがいろんな愛の形を歌っていて、これって夫婦デュオにしかできないんだろうなって思う。

もちろん他にもいいアルバムはいっぱいあって、代表曲の『おなじ話』のある『11のみじかい話』とか、結婚式の時にマイベストで挙げた『むかしぼくはみじめだった』とか。いろんないいアルバムがあるんだけど、この最新作の『愛のひみつ』っていうアルバムがすごくよかったので第3位に挙げました。

いろんな愛の形があるって話をしたけど、2曲目-実質1曲目の『レンタカー』は不倫をしている男女の曲だったりして、「いきなりそんなとこから入るんだ」みたいな。そこから始まって『ぼくらの魔法』、魔法とは何かっていうと「言葉」なんだと。人間として生まれてきて他の動物と唯一違うところは言葉が喋れることなんだと。その愛の形っていうものはちゃんと言葉にして伝えなきゃいけないよねっていうのをただただ歌ってる曲ではあるんだけど、この歳になって自分も結婚したりして家族が増えたりすると言葉の大切さとかって当たり前だけど気付かないし、当然だよねってことなんだけど魔法をかけられるとしたら言葉で伝えることでしかないよねっていうのが前面に出ていて、これが愛の究極の形なんだなって思うのがこの『ぼくらの魔法』っていう曲で。これはミュージックビデオもあるんで是非聴いてほしいなと。

あともう一曲、『それでもともに歩いていく』っていう曲がすごく好きで。これに関しては郷愁を感じる。元々はアニメの主題歌に提供した曲のセルフカバーなんだけど、子供の頃にみんなで秘密基地を作ったりテレビとかを観てそういうのの真似事をしたけど、それはテレビのようにうまくはいかなかったりしたけどあの頃って楽しかったよね。みたいな曲なんだけど、聴いていて子供の頃に戻ったかのような気持ちにさせられる曲で。ホントにハンバート ハンバートの佐野遊穂さんの声は、よく言われる透き通った声っていうのを体言してるのはこの人なんだろうなって言えるくらい歌が上手くて。それを聴いていると異世界に連れて行かれた感じがしてすごく好きな人たちだなと。この中だとあんまり聴いている人いないと思うんで是非聴いてもらいたい。

にっしー:これ、最初に通しで聴いても全然大丈夫?ハンバート初めてでも。

こばやん:全然大丈夫だと思う。むしろ入り口としていいと思う。この前も言ったけど、短編小説、ショートショートを読んでる感じだから一つひとつに物語があって。俺の中では星新一を読んでる感覚と一緒。例えば『試作品第12号』って曲は世界観で言うとフジファブリックの『ロボローグ』に近い。ロボットが意識を持ってしまって人に恋をしてしまう、それがバグとして捉えられていっていう曲なんだけど、これもあったかい感じでいいよね。

 

2位 ユグドラシルBUMP OF CHICKEN

こばやん:これは自分のコンセプトがしっかりしてるというか、物語が筋として通ってるっていうのが完全に上位にくるかなと。

びっくりしたのがシングルで出した順番が『スノースマイル』~『ロストマンsailing day』~『オンリーロンリーグローリー』ってなるんだけど、アルバムで聴いた時に一番最初に『オンリーロンリーグローリー』がきて、『sailing day』があって。ここから順を追ってひとつの物語になってるんだよね。それをシングルで先に切ってるにも関わらず順番をシャッフルしてもひとつの物語として繋がるというか。一人の主人公が旅に出て、別れを経験して、『太陽』で決心をつけて、『ロストマン』で迷ったりしても一歩踏み出そうみたいな。一人の主人公の成長過程を描いてるような、ひとつの物語として捉えられたのが個人的にびっくりしたというか、今までの伏線を回収していったみたいなのをアルバムを聴いて思ったのが衝撃だった。

あと、この頃って俺洋楽ばっかり聴いていんだけど、バンプが出てきてこの辺の曲を聴いた時に「日本の曲も捨てたもんじゃないな」って思った。自分の中で再評価したっていうので順位を高く付けたって感じ。

のすけ:ここにきて『ユグドラシル』がアルバム1位に躍り出ましたよ。

 

ジロウ 3~2位

3位 CHRONICLE/フジファブリック

ジロウ:もちろん『TEENAGER』が名盤だってことは分かってるんですよ。だけど、僕がフジファブリックを1枚目2枚目って聴いてきて『TEENAGER』で「ああ、フジファブリックはこういう方向性で行くんだろうなぁ」っていうイメージがなんとなく付いていて。だけどその次に出したこの『CHRONICLE』がとんでもないゴリゴリの歪んだギターでやってるの聴いて、繰り返し聴かざるを得ないぐらいの衝撃を受けたアルバムなんですよね。

こばやん:ここでエモに行くとは思わんかったよね。

ジロウ:うんうん、『TEENAGER』である意味完成したなと思っていたのに、まだこんなことができるんだっていうのを見せ付けられて、これからどうなるんだっていうワクワクも感じてね。そこからの未来は無くなってしまったわけだけど、それも含めて可能性をめちゃくちゃ残したアルバムっていうのは『CRONICLE』なんだろうなって思った。

個人的なことなんだけど、発売日の5月20日が僕の誕生日なんで、誕生日プレゼントだよね。そういう意味でも上位にきちゃうアルバムですね。

 

2位 ROCK/STAn

ジロウ:多分、僕が選ばなきゃいけないなと思ったので2位まで上がってきましたね。

さとるん:いやぁ、ジロウくんSTAnのイメージ強いわ。

ジロウ:まず西井鏡悟は天才です。そう声を挙げて言いたい。歌詞的には投げやりな感じで、ボーカルも気だるげでそういう歌詞には合ってて、そういう感じが惹きつけられるんだけど。そんな中でたまにめちゃくちゃ核心的なことを放り込んでくる。「間違えても構わないんだということを 間違いなく君に伝えたいよ」みたいな言葉遊びも交えながらっていう核心的な歌詞を不意にやってくる。そういう、歌詞の使い方みたいなところも心に刺さっているバンドで。

本当だったらこの『ROCK』よりも、この後にベストアルバムを出すんだけど、そのベストアルバムがただのベストアルバムじゃなくて。ライブで一旦テイクを撮ってそれにスタジオでアレンジを加えて再録っていう形のベストアルバムを作ってて。ライブの臨場感みたいなものも出しつつ、選曲は間違いない。ベストアルバムってやっぱり安定性とか間違いないみたいなのを求めがちだけど、そこでそういう攻めたことをやってくるバンドってあまりいないだろうなと思って。そういう前のめりで散っていったバンドっていうとアレだけど、いろんなことをやって解散してしまったっていう苦悩の末のバンドっていうのをやっぱり後世に残したい。

残したいんだけどねぇ、STAnもサブスクとかに残ってないんで、困ったもんなんですけど。そういう意味でも聴いてほしいバンド、アルバム。

のすけ:そうなんだ、サブスクないんだ。

こばやん:うちの大学の同期の子がSTAn狂いだったわ。

のすけ:高校のとき組んでたバンドのドラマーが大学の時にめっちゃSTAn聴いてましたね。中毒性はえげつないくらい高いんですよね。

ジロウ:クセになるからね。一度ハマると離れられない。この音楽性は。インストにも耐えうる演奏もいいのよねぇ。

 

にっしー 3~2位

3位 世界各国の夜/VIDEOTAPEMUSIC

にっしー:まず一人でやってるんやけど、名前読んで字のごとくVHS、ビデオテープをリサイクルショップとか古いレンタルショップから収集して、チョップして、サンプリングして新しい曲にするっていうまさに後世に語り継ぐじゃないけど(笑)、自分でリメイクして新しい未来に繋げるっていうその活動がそもそも好きで。

最初に聴いたのは、フジロック小沢健二のアクトの直前に5分くらい真っ暗闇の瞬間があって、暗転の中数千人、数万人が大雨の中待つっていう時に流れてきたのがこのアルバムの一曲目の『世界各国の夜』。その時になんか、知らない街のラジオを傍受したような、受信したような感動があって。真っ暗闇の中、その数千人が同じ空間にいて同じ宇宙船に乗って旅をしてるような、ロマンティックな言い方するとそんな感じで。その時にアーティストは知らなかったんだけど「なにこれ?」っていう感動があってすぐに調べて買いに行ったのがこの1枚。

去年やっぱり外出自粛とかあって、旅行ができないだとかっていう時にまた新たに聴き直して、やっぱり楽しいなと。音楽旅行ができるっていうか。1枚で温泉旅行にも行けるし、香港にも行けるし、ワイキキビーチにも行けるし、ロイヤルホストにも行けるっていう。いろんな各地の夜のことを音楽にしてる人やねんけど、その地球儀ぐるぐる回してる感じがホントに楽しくて。夜に「何か1枚聴こうかな」って時にここ最近、ここ2~3年ぐるぐる回してるのがこの1枚。今回、夜がキーワードやなって思ったのはこの1枚が大きい。

 

2位 KikUUiki/サカナクション

にっしー:夜繋がりでいうと『KikUUiki』。これは……非の打ち所がないというか、ロックありテクノありポップスありフォークあり。っていうのがサカナクションの良さなんだろうけど、全方位にバランスよくというか。内政的な、文学的な歌詞もいいんだけども、音楽的な新しさがすごい出てるのが『KikUUiki』なのかなと。

あとは『目が明く藍色』かな、この曲ができたことでサカナクションのステータスというかステージがもう一段階上がったのかなってところかな。ホントにQueenに勝るとも劣らないというと大きすぎるかも知れんけど。この『壁』から『目が明く藍色』って一郎さんの遺書というか、(他のメンバーの)4人をよろしくって言ってるくらい「これが最後の1枚でいいです」って言ってるくらいの覚悟があったんじゃないかなっていう思いはあるんやけど、ホントに長生きしてほしいなっていう(笑)ところですね。『アルクアラウンド』の比較動画とかがYouTubeに上がってるけど、どんどん声が伸びやかになってる、楽しんでいってるんやろなっていうのが最近見て取れて。その楽しさにまだまだ乗っかって行きたいし、一緒に泳いでいきたいなっていうのが『KikUUiki』ですね。

こばやん:俺もサカナクション選ぶとしたら『KikUUiki』かな。『壁』聴いた時は俺も参ってた時だったからリピートして聴いてたわ。

 

きょろ 3~2位

3位 ソルファ/ASIAN KUNG-FU GENERATION

きょろ:これはもう、お二方が語っておられたので。やっぱりジャパニーズロックバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATION、代表曲、これ。っていうだけの話。それしか言うことがない。あとは中村佑介さん、代表作、これ。どちらの代表作もこれ。それだけやね。ホントに完成しきってる。

にっしー:中村さんのサイン会行って「『ソルファ』好きですー」って言ったら「みんなパンツ好きやなー」って言われたね。

 

2位 ASPARAGUSASPARAGUS

きょろ:ここで俺が言わないと触れる者のいない一枚かなと思うんです。これはASPARAGUSの中でも日本語で歌われてる曲が多数入ってて、これを知るきっかけになったのが『小さな一歩』っていう曲。これはホントに落ち込んだ時とか(に聴く)すごいポジティブな曲で、このアルバムも全編通してポジティブな内容になってて。アルバムとしての流れが気持ちいいっていうのもあって、最後の『gn8』っていう曲は、生きてたら嫌なこともあるし辛いこともいっぱいあるけど、そういう時は単純にバカみたいなこと言うけど寝て忘れちまおう。寝て忘れたら次の日朝日が昇って次の一日が始まってみたいな曲。

このフロントマン渡邊忍という人の実力を知ってほしい。いや、この人の作った曲をみんな間違いなく聴いてるはず。それが木村カエラのCMにもなった『Ring a Ding Dong』。木村カエラにガンガン曲提供してる人で。

 

こばやん(妻) 3~2位

3位 家族行進曲/ハンバート ハンバート

こばやん:これ完全にやらせなしなんで。さっきの『愛のひみつは』愛について歌ってるアルバムだけど、こっちは家族についてで。

こば妻:1曲目が、親が離婚して子供がお母さんに会いに行くっていう(曲)。

こばやん:この『Ame No Machi』っていう曲。片親ってだいたいお母さん側についてくイメージが今まであって。よくよく考えてみたらお父さん、シングルファーザーの子供って絶対世の中にはいるはずで。そのシングルファーザーについてる子供が雨が強く降ってる中、お母さんに買ってもらったランドセルを背負って「この姿をお母さんに見せに行くんだ」っていう楽曲。雨だろうがなんだろうが会いに行くんだっていう曲なんだけど、これって誰もが共感できることじゃないんだけども、きっとこれが刺さる、「これって私の曲だ」って思う人が絶対に世の中にいるだろうなと思うし、そこがやっぱり短編小説って俺がずっと言ってることのひとつだと思っていたり。

あとは俺が2017年の1位に選んだ『Hikari』っていう曲も、練炭自殺を試みたけども失敗してしまって植物人間になってしまった人が、意識だけはあるけど手足は動かないっていう人の曲なんだけど、もしかしたらこの曲を聴いて「救われたな」って思う人もいるかも知れないってこの曲を聴いたときにすごく思ったのね。もしかしたら植物人間で動かない人にこれを聴くかせたらすごく共感してるかも知れないし。僕らはそれを共感できないけれども、結果家族の温かさのようなものを感じることができる曲なんだよね。

こば妻:なんか、他の人があんまり取り上げないような人たちの話があるので。

こばやん:一つひとつに主人公がいるから。一番ポップな『Ganbare Niichan』とかね。これ俺が喋ってていいのかな(笑)。

 

2位 A GOOD TIME/never young beach

こば妻:これは「夏!やったー!」って感じです(笑)。夏、待ってましたっていう感じがとっても好きなとこです。フェスで聴くとすっごい気持ちいい。

 

さとるんキッズ 3~2位

3位 TEENAGER/フジファブリック

さとるん:まあ出会いのアルバムでもあるんですけど、『CHRONICLE』でも『バームクーヘン』とか『Anthem』とか刺さります。『MUSIC』聴いても総くんの歌が入ってて「総くんの曲でもいけるんだな」ってのがあって。『STAR』聴いても総くん(がボーカル)で再スタートしていくんだなっていうのも感じるんですけど、『TEENAGER』を聴いてカウントダウンジャパンの09-10に行こうとした瞬間に志村さんの……そういうことを聞いて、冗談じゃねえのかっていう思いの中幕張に行ってやっぱりいない。誰もいないステージの中で『星降る夜になったら』を、楽器だけがライティングされるライブというか視唱会みたいなものを観て、すごい印象が強くて、(ベスト30の1位)『ペダル』もありましたけど『TEENAGER』は外せない1枚だなって思います。

 

2位 WEEKEND WARRIOR/80KIDZ

さとるん:2枚目のアルバムで、3人組だった80KIDZが1人抜けて2人組になって発表された1枚で。『Nautilas』だったり『Red Star』だったり大好きな曲がいっぱい詰まってるアルバムで。『Weekend Warrior』っていう曲がかかるとみんな、界隈にいるとハッピーになれる。そういう曲がいっぱい入ってるので第2位に。

最近発売された『ANGLE』とかAAAMYYYちゃんがとか入って、にっしーからも「聴きやすい」って反応があったり等々ありますけど、やっぱり掘り返していくと『WEEKEND WARRRIOR』がいいかなと思います。

のすけ:1位じゃないんすねぇ。絶対1位だと思った。

 

のすけ 3~2位

3位 ユグドラシルBUMP OF CHICKEN

のすけ:さっきこばやんさんが言ってた通りで、コンセプトアルバムとして冒険譚みたいになってるんですよね。それの最後を『ロストマン』っていう、回りまわってすべて無くした旅路の果てにそれでももう一歩動き出そうっていうのが彼ららしいなっていうのと。

2004年、17年前からずっと聴いてますけど、今になって大人になってから聴くと曲の鳴り方が違って聴こえるんですよね。本人たちが意図したかは別なんですけど、ある種の時限爆弾をしかけられてるような魔法にかけられたような1枚なんですよね。すっげー面白い漫画読んでるような、50何分ずっとそれが続いてて。ホントにえげつない、ずっと人生の最後まで聴いてたいなっていう1枚なので。

こばやん:これを10代に聴けて今があるってのはでかいよね。

のすけ:これをちゃんと聴けたってのもでかいですよね。またこれを今聴いてる10代の子とかもいるでしょうし。

 

2位 equal/ACIDMAN

のすけ:ホントに、これからACIDMANみたいなバンドって現れないですよ。現れたところでこんなにちゃんと人々に受け入れられるようなバンドには絶対ならないなって思ってます。

ラストの曲が10分あるんですよね。『廻る,巡る,その核へ』。ずっと輪廻転生っていうのをギターノイズでブァーっとやりながら鳴らしてるっていう、このアルバムは完全に1曲目から12曲目までで僕の人生を変えちゃったんですね。あらゆる生命は一つひとつ分解していくと原子という単位になっていて、そこで見るとみんなすべてイコールなんだよっていうアルバム。これだけ何言っちゃってんのって感じなんですよね。それをすごい音で鳴らしてるので、こんなアルバムは二度と出てこないだろうなっていう風に思ってます。

こばやん:1位じゃねえんだACIDMAN

のすけ:僕も、さとさんにあんだけ言っておきながらACIDMANは2位(笑)。

 

ぴろ 3~2位

3位 マジックディスク/ASIAN KUNG-FU GENERATION

アジカンも好きなの多くて迷いました〜『ソルファ』が名盤なのは分かりきってるんですけど、個人的に思い入れのある『マジックディスク』にさせていただきました。「新世紀のラブソング」の新鮮さ。管楽器を入れてる「迷子犬と雨のビート」大好きです。アジカンはどのアルバムもそうですが、次の曲へ繋がるような曲順なのかイントロ・アウトロの作り方なのかがうまいなって思います。※『サーフ ブンガク カマクラ』は江ノ電の各駅に曲を作るという、面白いコンセプトの1枚ですね!

 

2位 TEENAGER/フジファブリック

私の中でフジファブリックNo.1はこれです。「ペダル」から「TEENAGER」まで駆け抜けていくような心地よさ。ずっと聴いていられる......。志村さんが亡くなったのはとても残念ですが、そのことで歌詞の意味を深く考えるようになったりして、より魅力を増した曲も多いんじゃないかと思います。魔法がかかったような1枚です。

 

がちゃぴん 3~2位

3位 Hands of Gravit/the HIATUS

全員が全部上手くて凄えのよ。全部全員全凄。過去にinsomnia(不眠症)を歌い上げてたバンドが、前を向くことを教えてくれる1枚。だけど、過去にボロボロな気持ちを抱えた日々を奏でていたバンドだからこそ、無闇に背を押すんじゃなく、薄暗い気持ちを抱えたまま歩くことも肯定してくれるような構成。

 

2位 勝訴ストリップ椎名林檎

関ジャムでだいたい全部言ってた。わたしはプロフに「好きな人や物が多すぎて見放されてしまいそうだ」って書いたことがあるタイプの大人。

 

 

こばやん 1位

1位 TEENAGER/フジファブリック

こばやん:やっぱり思い出補正には勝てねえよ。今までの人生で一番聴いてるアルバムだし、これからも聴いていくアルバムだと思うし。この中では『若者のすべて』が世間的にひとつ飛びぬけて有名なのかも知れないけど、『若者のすべて』っていう曲がこの中で浮いてないというか本当にいろんな種類の楽曲があってその中のひとつというか。

『TEENAGER』、10代っていう多感な時期というものに、たった一人のちっぽけな自分の10代を総括してもいろんなことがあった。その中の1曲として『若者のすべて』っていうのがあるだけであって、全部トータルして『TEENAGER』やなっていうのがこのアルバムのすごさ。

めちゃくちゃな曲もいっぱいあって、『Chocolate Panic』だとか『Surfer King』だとかっていうのもあるんだけど、その中で俺の中でなかなか触れられないなっていう曲で1曲だけ触れたいのが『まばたき』。この曲の歌詞の中に「今日も昼と夜がずっと 晴れたままで冬が終わる」ってのがあって、やっぱり10代の頃って冬に期待することって雪が降ってほしいとか、そういう期待感があって。その期待が、さっき初恋は実らないみたいな話をしたけどその期待感ってなかなか思い通りにならない。それが10代のみんなが持ってる悶々としたものなのかなって、この一言に表されてるような気がして。

これって作詞は志村正彦なんだけど、曲を作ったのは山内くんなんだよね。それが今後の活動に繋がっているというか、フジファブリックがああいうことになってしまった後も続いているっていうのはこの『TEENAGER』っていうアルバムがあったからだろうなって思うし。このアルバムが無かったら、志村正彦の作詞作曲だけだったら今も活動はしてないだろうなと思うから、これってすごくターニングポイントになってるよねっていうのが『TEENAGER』。まあ、思い出補正が強いんだけども。そういう意味でも自分のベストに入れるとしたら1位になる。

 

ジロウ 1位

1位 ユグドラシルBUMP OF CHICKEN

ジロウ:これは僕の中でもこれを選ばなかったら、当時部活サボってこのアルバムを買って帰って聴いてる自分が許さないだろうなっていう大名盤。(ジロウの選定の軸である)攻めてるっていうのも、『jupiter』とかに比べて『乗車権』、『ギルド』とか藤原基央の内心の吐露みたいなものをバリバリに出してるアルバムだと思う。そういうのを受け取るのも初めてだったと思うし、歌詞の暴力性みたいなものを初めて感じたバンドのアルバムだなと。『fire sign』のシンガロング感とか、今までのバンプには無かったものもふんだんに取り入れられていてそういうとこもポイントが高い。みんなが納得する後世に残したいアルバムっていったら『ユグドラシル』しかないでしょう。

これまでにみんなが言ってないことで言うと、僕が本気で選ぶとしたらこの『ユグドラシル』の中で一番好きなのは『O-TO-GA-MEはーと』なんですよ。曲が終わって、ずっと待ってたらふざけたアイドルソングみたいなこの曲が始まると。壮絶なアルバム本編を存分に楽しんだ最後に何も考えなくていいご褒美が待ってたみたいなのが思い出として残ってるから、いろいろ入れ替えたけど1位はずっと『ユグドラシル』だったなと。

こばやん:CDケースの黒いとこを多分みんな剥がしたよね(笑)。

 

にっしー 1位

1位 Q/Mr.Children

にっしー:これも決勝戦はしたんやけど、もう『Q』になりましたって感じで。2000年のアルバムで、唯一っていうと語弊があるかも知れんけど唯一Mr.Childrenのアルバム史上売れようとしてないアルバムやと僕は思ってて、「あなたたちそれ本気で売ろうとしてますか?」っていうくらい音で遊んでて、暴力的で、やんちゃな。遊び心満載の1枚がこれかな。

有名な話でいうとダーツで曲のテンポを決めただとか、酒飲みながらレコーディングしただとかっていうような。それがロックだとは思わないけど、当時すごいアイドル視されてた大衆的なMr.Childrenを本人たちが壊そうとしてるのがすごい好きだなっていうところと。ホントにすごい桜井さんの自我、エゴが丸出しの剥き出しの1枚になってるというところですね。

1曲目の『CENTER OF UNIVERSE』の最後が「僕こそが中心です」で終わるんやけど、それを最近は「君こそが中心です」に変えてたりするのは心境の変化なんかなと。1曲だけ詞の話をすると『ロードムービー』っていう曲があって、僕バイク乗らないから分からないけど「街灯が2秒後の未来を照らしオートバイが走る」っていうところがあって、これを「等間隔で置かれた闇を越える快楽」って表現してるんやけど、多分人生そのものを言うてるんやろうなと思ってて。それがすごく写真じゃなくて映像的に、その2~3行で浮かぶっていうのが作詞センスとしてズバ抜けてるなっていうのがこの1曲に詰まってて『ロードムービー』だけでも是非聴いてほしいところで、もちろんアルバム通してでも20年後30年後でも聴けるなというところですね。

のすけ:今考えると『NOT FOUND』を月9のタイアップに持ってくるってえげつないですよね。

 

きょろ 1位

1位 jupiter/BUMP OF CHICKEN

きょろ:『ユグドラシル』、分かるよ。みんなの言うこと全部分かるけど、やっぱりこれなんです。これはほっといても後世に残っていく気はするんやけど、100%残るかって言うとトップ10の中の12位とか11位のトップ10に入れないぐらいの位置にいてるアルバムだと思ってて。

ユグドラシル』と違うところは、個々が物語になっている部分。『ユグドラシル』は地続きだけど、こっちは個々でお話がどんどん連なっていって1枚が構成されてるんやけど、まとまりもあって。

お手本というか。2000年以降のバンドのお手本にするべきぐらいの、エレキギターでイケイケの曲があったり、聴かせる曲があったり、アコギに近い曲しっとり聴かせたり。というのが詰まっている綺麗なお手本になる1枚だと思ってます。

ちなみにこのアルバムのジャケットを手がけた方。当時この4人組は何者でもなかった、まあ『天体観測』がちょっと売れてたけど、その4人のジャケットを手がけたのは当時何者でもなかった蜷川実花さん。っていうところもありつつ、周年ライブか何かで蜷川さんと一緒に映像をやってくれませんか。っていうのをどっちもが売れきった状態でまた再会するっていうのもあったり。

これは、思い出補正もあったりするけど『ダイアモンド』は落ち込んだ時とかにはずっと聴いてたし。これは外せへん1枚です。

 

 

こばやん(妻) 1位

1位 ether/レミオロメン

こば妻:もう、にっしーさんの言う通り(笑)。言うことないです私は。

こばやん:こういう傾向が好きということです。

こば妻:けっこうバラバラかも知れませんが。ありがとうございます(笑)。

 

さとるんキッズ 1位

1位 サーフ ブンガク カマクラ

さとるん:『ワールドワールドワールド』も好きです。ただ、アルバム自体になると構成、曲数、アルバム全体の長さ32分弱で聴けるっていうのと、『或る街の群青』と『アフターダーク』と『転がる岩、君に朝が降る』のカップリングが全部入ってるっていう。

これはまあ、江ノ電乗りながら聴くよねっていう。これに決まるまで『ワールドワールドワールド』が入ってたんですけど、やっぱ『サーフ ブンガク カマクラ』だよねってなって。アルバムのコンセプトとかまとまり、曲数とか考えると1位になっちゃうね。一発撮りで演奏の能力もすごい。アジカンだし。『ソルファ』とかもあるけど、結局これだよねってなって1位に。今藤沢に住んでるんで『藤沢ルーザー』を聴きながらね、思い入れもあったりしますけど。これを越えるコンセプトアルバムは無いんじゃないかなって。

こばやん:「海辺のファーストキッチン」(『七里ヶ浜スカイウォーク』)はもう潰れてしまいましたね。

さとるん:それもまあ後世に残したい、こういうのもあったよっていうのもあるしね。

 

のすけ 1位

1位 SHINE LIKE A BILLION SUNS/BOOM BOOM SATELLITES

のすけ:今回の後世に残したいっていうコンセプト、さっきからちょいちょい出てきてますけど光に満ち溢れたみたいなのがホントに好きなんだなって思って第1位はこのアルバムにしました。事実上のラストアルバムなんですけど、この1個前のアルバムとも最後までめっちゃ迷って。悩んで悩んだんですけど、ブンブンはどっちにしろ1位にしたいなって思って1位にしました。

フェスとかでもガンガンに音を流してみんなで踊り狂ってっていうイメージがあると思うんですけど、このアルバムは優しい音に満ち溢れてて。すごいいいアルバムなんですよね。このバンドに関してはバックグラウンドとかもあったりしますけど、そういうのを抜きにしてもホントにいいアルバムだなと思ってて、2015年くらいに聴き倒してたアルバムですね。

ホントにみなさんに聴いてほしいなっていうのと、やっぱりBOOM BOOM SATELLITESっていうバンドを忘れないでほしいなっていう。日本語のWikipediaより英語版のWikipediaのほうが充実してるバンドなんてなかなか出てこないと思うんで、世界に通用する人たちがいたんだなっていうのは絶対に残したい強い想いで1位に選びました。

 

ぴろ 1位

1位 POP VIRUS/星野源

源ちゃんは初期の曲も好きなんですが、色々経て1つの集大成が『POP VIRUS』だなって思ったので。それにしても「POP VIRUS」でつかんでからの「恋」「Get a feel」、後半「アイデア」「Family Song」は強すぎですね!! 勝てないw 最後に「Continues」かと思いきや「Hello Song」で締めくくるところも憎いですね〜 "いつか...未来...笑顔で会いましょう"とは。 1つの舞台のような作品。※源ちゃんのアルバムと言えるか分かりませんが、大好きなのが『YELLOW DISC 2020』。バナナマンの日村さんへ贈ったバースデーソング集。ネタとしても音楽としても大好きです!!w

 

がちゃぴん 1位

1位 BRING YOUR BOARD!!/ELLEGARDEN

クラスの大人しめな女の子がある日急に「ロックが好きなら...」とこれを貸してくれたのがわたしの全ての始まり。タイトル通りの勢いある曲で始まるくせ、後半に向けてはまるで泳ぎ疲れて眠るようにゆったりと〆られるのが、逆説的にこのタイトルの勢いを表してるようで最高に好き。

 

 

 

 

というわけでお疲れ様でした。ものすごく濃い7時間半でした。

個人的な感想を言いますと、やっぱりアルバムは思い出補正が強いなというのと。手前味噌ですが、ヒスブルの『JUNCTION』のようにサブスク全盛の時代でも、だからこそ、何らかの事情があった時に現物は持っておいたほうがいいということですかね。

それでは最後に今回の会議中ずっと書記と集計してくれていたのすけ氏によるアルバム・アーティスト別の総合順位と総評をもってこの記事を締めたいと思います(書き起こしの時にもかなり役立ちました)。

それでは。

 

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収録時に3人がベスト3以上に挙げるなど、唯一4人が名前を挙げたBUMPの名盤が1位となりました。

フジファブリックは2枚TOP10にランクイン。25pt※を獲得しても10位に入らない激戦となりました。

全体的にセールスが好調だったアルバムがそのままこのランキングにも反映されてると言えます。

※1位=30pt 2位=29pt …

 

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ユグドラシルの好調そのままに BUMPがフジファブリックを僅かに凌ぎこちらもトップに。

9人中7人が名前を挙げるという、まさに2000年以降最高のバンドと言えるでしょう。

サカナクションについては、4枚全て違うアルバムがランクイン。

ハイエイタスやミスチルも、アルバムはランクインしていないものの、第9位にランクインしてまいりました。