べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

ブランド力とキングオブコント2019のお話。

 

やっぱり土曜日ってありがたい。キングオブコントです。

前回と同じく決勝進出者は完全シークレットで行われた今大会。どぶろっくの優勝という結果に終わりましたが、全体的に白熱というよりかはなんだかふわふわしていて、それはそれで先の読めない大会だったように思えます。

 

決勝進出者についてはそこまで大きなサプライズは無かったかなと。ちょっと初進出が多かったということくらいですかね。それでも割と予想のできる範囲のメンツだったと思います。

その中で異彩を放って優勝まで駆け上がったどぶろっくの優勝という形で幕を下ろしたわけですが、今回はそれを軸にお話したいなと、そう思っております。よろしくお願いします。

 

番組が始まって早々、TBSのこの頃あった不祥事やらをイジるオープニング(なぜか毎年いろいろイジる状況に陥っている)で幕を上げ、2組目で出てきたネルソンズ青山のケガ(これもまたTBSの不祥事)にも軽く触れるという冒頭に言った通りふわっとした幕開けとなり、1組目のうるとらブギーズがハネた後は、ネルソンズ空気階段などのテレビのネタ番組や劇場ではお馴染みの実力派芸人のネタでもなかなか煮え切らないふわっとした空気の中出てきたのが5組目ジャルジャルと6組目どぶろっくだったという訳です。

ジャルジャルが安定の、その上でクオリティの高いネタで審査員を唸らせた後で現れるどぶろっくのネタにある種の期待が混じっていたのは間違いないでしょう。

どぶろっくといえば、前回の浅井企画の記事でも触れた通り、下ネタ厳禁という厳格な事務所の中でも極めて異彩を放つコンビで、『あらびき団』や『エンタの神様』でもたびたび披露している下ネタソングネタを得意とするコンビとして有名。そんなコンビがキングオブコントという大きな賞レースの決勝に残り、どんなネタを見せるのか。そんな期待です。

 

最初は森の中のセットの中でミュージカル調に歌い上げ、「お、音ネタは音ネタでもこういう感じで仕上げて勝ち上がってきたのか」と勘繰りさせての「大きなイチモツをください」の応酬。

これはもうどぶろっくというコンビがこれまで積み上げてきたブランド力の賜物と言ってもいいでしょう。これまでの芸人人生をこの一瞬にかけた前フリと捉えてもお釣りがくるほどのインパクトでした。受賞後の「自分たちのスタイルを思い切りやった」という言葉もグッときますね。2本目もその"スタイル"を貫いて、1本目の貯金もあったにせよ頷かざるを得ない結果だったんじゃないでしょうか。

 

全体を振り返ると、ふわふわとした雰囲気ながらも実力派、それも若手のかが屋ネルソンズ空気階段ビスケットブラザーズなどが勝ち抜いており、その芸人たちも犬死にではなくちゃん自分たちの得意なスタイルやキャラを見せ付けて結果を残したように感じられ、来年以降の大会への足掛かりとも言えるような期待の持てる大会だったと思います。

だからこそ、今回のどぶろっくのように自分たちらしいネタやキャラをブランド力と言えるほどに磨き上げ、キングへと勝ちあがって今回の大会は顔見せじゃいと言えるような芸人がこの中から現れることを楽しみにしたいと思います。

 

それでは。

 

 

傾向とお笑い事務所のお話。【浅井企画編】

 

店員同士の仲がよく、なんだか和やかな雰囲気だな~と思っていたら、浅井企画だったこと、死んでもやめんじゃねーぞ。

 

そんなこんなでお笑い事務所の傾向をまとめていきたい第2回。浅井企画です。

ラジオ投稿のネタ(上記)にされるほどにアットホームな雰囲気が浸透している事務所ですが、事務所のレジェンド・欽ちゃんやコサキンなど、ベテラン芸人だけを見ても穏やかな人柄がうかがえますよね。

 

そんな浅井企画の勢力図はこんな感じ(2019年現在)

大御所 (芸歴35年以上) 萩本欽一 関根勤 小堺一機

ベテラン (芸歴25年以上) キャイ~ン ずん スパローズ

中堅 (芸歴15年以上) 流れ星 イワイガワ オテンキ どぶろっく など

若手 (芸歴5年以上) ANZEN漫才 ジャイアントジャイアン インデペンデンスデイ など

新人 (芸歴5年未満) みほとけ など

やっぱり楽しい。イワイガワは正確な芸歴があやふやなのですがなんとなく中堅に入れています。

といった感じの、有名賞レースの上位に入ったことがあるのは流れ星くらいなのですが、それなのに印象に残るキャラクターやネタを持つ芸人たちがうじゃうじゃといる、なんだか動物園みたいな事務所です。

 

そんな曲者揃いの浅井企画。僕が考える事務所の傾向は小粋なフレーズと人柄が魅力の事務所です。

芸人屈指のギャガーである流れ星・ちゅうえいや、ずん飯尾、イワイガワ岩井ジョニ男、オテンキのりなど一発ギャグを得意とする芸人が揃っており、ネタの面でも「○○だよ~」という耳に残るフレーズのボケを繰り出すジャイアントジャイアン、どぶろっくやANZEN漫才も音楽ネタを得意とし、やはり耳に残るフレーズを持っています。

さらにアメトーークでも取り上げられたキャイ~ン・ウド鈴木ANZEN漫才・みやぞんのような天然で騒がしいのにどこか憎めないキャラクター、上記のずん飯尾やジョニ男のような小粋なギャグを散りばめる陽気なおじさんキャラと浅井企画ならではのキャラクターもいてそれだけでもかなりの独自性が感じられるのに、無理をしていないナチュラルさも感じられます。

さらに、流れ星や牧野ステテコがネタの中で何度か言っているように「下ネタ厳禁」が事務所のルールらしく、元々の和やかさに一層の親しみやすさが加わるというわけです(その割にどぶろっくという超絶ド下ネタ芸人がいるのは謎だが)。

このような芸人ばかりなのは、やはり事務所のレジェンドの影響は少なからずあるでしょう。それぞれのテレビ番組にバーターとして出演し、レジェンドたちのお笑いにアジャストしていき、小粋な笑いや人のいい元気さなどを身に着けていくのではないでしょうか。

 

といったように、上から下まで和やかで親しみやすいクリーンな雰囲気がテレビ越しにも感じられる素敵な事務所だということが分かりますね。それもレジェンド3人の包容力あってこそのような気がします。

そんな浅井企画。ほっこり和みたいときに触れてみてはいかがでしょうか。

それでは。

 

 

~お笑い事務所の傾向アラカルト~

colapoly.hatenablog.jp

使いたい名言とかってに改蔵のお話。(第7巻)

 

真夏のピークが去ってもかってに改蔵

第7巻。結構コロコロ絵柄が変わっていたかってに改蔵ですが、この頃の目の描き方が僕の中で印象強いですね。

羽美が着々とおかしくなっていくと思いきや、子供の頃はむしろ羽美のほうがヤバかったということが分かる幼少時のお話が初めて出てくる巻でもあります。

というわけで毎度の如くビビっときたワードを抜き出しています。

 

世の中のすべてのものを、正しい黄金比に!

第1話「黄金比をめざせ!!」より、昔改蔵がグレかけた時に黄金比の長方形を見せて心を落ち着かせていた元天才塾の数学教師・じん先生の言葉。曰くこの世のすべてのものに黄金比は存在するとのことで、それをこじらせて暴走してしまうというお決まりのパターンである。

すべてを黄金比にしたくなった時に使おう。

 

ど~~~だい、ぼくの魅力にメロメロかい?

じん先生によって8頭身にされてしまった地丹が羽美に今で言う壁ドンとしながら言った言葉。この後、1コマで羽美によって文字通り一蹴される。

8頭身になったら使おう。

 

「黄金!」「比!」「相変わらずかわいいヒゲですね!」「かわいいヒゲだろ!」

久しぶりに再会した改蔵とじん先生のかわいいやり取り。すごくかわいいのですごくかわいい。

ヒゲの人と再会したら使おう。

 

さ…彩園センパイ! ちーす!

第2話「スポーツマン改蔵!?」より、体育の日により体育会系っぽく振舞う改蔵が部長にした挨拶。大体こんな感じのお話。

体育の日に体育会系っぽくなったら使おう。

 

小さい秋を見つけに行きましょう!

第3話「小さい秋見つけたい…」より、小さい秋を見つけたい改蔵の言葉。そのまんまである。

小さい秋を見つけに行きたい時に使おう。

 

太ってるのではない! 小太りだ!

幼い頃、改蔵と一緒に小さい秋を見つけに行った元天才塾のあきおが発した言葉。改蔵と一緒に探していた頃から今まで、小さい秋を見つけるために春夏秋冬、東西南北問わず小さい秋を求め続けた結果「秋にはすべてのものが小さくなる」という結論に行き着いた。そのため、自らの体型を指摘されたがこの言葉で返したというわけである。

体型をイジられたら使おう。

 

やーね、痛いワンフーかしら

第4話「うちの子役にかぎって」より、歌のおねえさんに選ばれた羽美がテレビ局で騒ぐ人を指して放った言葉。オーディションに受かって1日目で業界用語(ワンフー=ファン)を駆使している。

痛いワンフーがいたら使おう。

 

子役を子供がやってるのの! どこが役者だ!!

子供番組に出演する元天才塾演劇コース・天才子役のケンちゃんの言葉。40年間子役を続けるケンちゃんの重みを持った言葉である。

大人でも子役をやりたい時に使おう。

 

人間にはね、支配する側と支配される側があるのよ

いざ番組の撮影をはじめるも、まったく子供が言うことをきかずに頓挫してしまう。そんな言うことをきかない子供たちを部長が集め、出てきた子供の頭には謎のアンテナが刺さり「世界はすずさまとともに!」と一斉に声をあげるほどに統率が取れたものになっていた。何をしたのかと問われたすずの意味深な言葉である。

支配する側に立ったら使おう。

 

必要以上にプレッシャーをかけられたんです!

第5話「プレスプレスミー」より、コンビニでノートのコピーをとっていた山田さんがいつものように第一被害者になり、後ろにならんだおっさんにプレッシャーをかけられ逃げ出した先で羽美に告げた言葉。いつものように、これが今回のテーマである。

そういう状況になったら使おう。

 

地丹くんも74体目ってことね

第6話「人気者でいこう…よ」より、74話記念で盛り上がっていたところにしれっと漏らした部長の言葉。その後も追及されることなく、さらっと本題に入った。

何かしらで74回目を迎えたら使おう。

 

 

記憶の改竄にもほどがあります!

74話記念でこれまでのお話を振り返っているはずが、それぞれが好き好きで都合のいい風に語りはじめたところに人体模型に扮して(1巻1話で人体模型とぶつかって中身が入れ替わったという改竄に付き合って)いた改蔵が発した言葉。改蔵の虚言は現実と妄想の区別がついていないからセーフらしい。

記憶の改竄マンがいたら使おう。

 

シクラメン花言葉は"はにかみ"!

第7話「虎馬高校再編!!」より、クラブの数を半分に減らすと言われたとらうま高校生徒が生き残りをかけて部活同士の合併を企てて結成された部活のひとつ、園芸野球部の部員が言った言葉。"はにかみ"は作中でよく使われるワードだが、本当にシクラメン花言葉らしい(他に"憧れ"、"内気"がある)。

はにかんだ時とかに使おう。

 

それ、ニセブランドですね

数々の合併劇を見て自らも合併を企てた地丹。羽美の発案で高級なものと合併して下っぱを中和させるべく、高級ブランド下っぱスーツに身を包んだ。たちまち女子生徒たちが高級ブランドのオーラに魅せられる中、ひとりの女子生徒が発したのがこの言葉。これにより、下っぱスーツのブランドは失墜した。

ニセブランドを見破った時に使おう。

 

七五三が怖いのです!!

第8話「この子の七つのお祝いに」より、11月はこれといった行事がなくてネタに困っていたという部長のメタ発言の後に怯える改蔵が発した言葉。ここから幼少期の回想が始まる。かってに回想。

七五三にトラウマができたら使おう。

 

しーれーん

天才大社流の七五三のために試練を受けることになった幼少期の改蔵。途中でなぜか羽美と合流してすぐに現れた頭巾にブリーフ一丁姿の二人組が出てきながら言っていた言葉。試練の割にやけに脱力した感じが面白い。

試練を与える時に使おう。

 

今年いっぱいで、家族の"契約"が切れるのです!!

第9話「契約後悔」より、「契約公開の季節ねぇ」とつぶやいた羽美に「しまった!! もうそんな時期か!!」と叫んだ改蔵が「なんであんたが契約公開の心配してんのよ」と訊かれて言った言葉。「え? 家族って"契約"するもんじゃないの?」と言ってるあたり、マジらしい。

家族の契約が切れる時に使おう。

 

はにかみ荘。206号室小泉くんの部屋!!

第10話「ロック・暗いミング」より、ありとあらゆる前人未踏の地を制覇し、地球上で彼に行けない場所はないと言われている冒険家の雄一郎が科特部の部室に現れ「もう地球上に前人未踏の秘境などない」と嘆いていたところ、いつものように「あれで前人未踏の秘境を制覇したつもりなのかなあって」と煽った改蔵が提案した前人未踏の秘境。曰く、老朽化や手抜き工事、出さぬゴミなどによって秘境と化し、何人ものプリントを届けに行った冒険家が帰らぬ人となったとのこと。

前人未踏の秘境を問われたら使おう。

 

101号室のクンチャイさんです

「我々だけでは危険だ」とシェルパを雇うことになり、101号室にぎゅうぎゅうに詰められた東南アジア系の男性の中から一人紹介されたクンチャイさんを紹介する改蔵の言葉。クンチャイさんは「ドーモね」と笑顔で挨拶をくれた。当時からやけに印象に残るキャラクターである。

みんなもクンチャイさんを紹介しよう。

 

前人未踏と前代未聞は違うし!!

雄一郎、クンチャイさんと共に自らも前人未踏を制覇した冒険者のはしくれであるという改蔵が「彼も一緒に」、「こーみえて彼も数々の前代未聞をうちたてているのです」と武勇伝を紹介して自分と地丹も同行すると申し出た際にツッコむ地丹の言葉。

そう間違われたら使おう。

 

そんなに赤と緑が好きですか!?

第11話「黒(ブラック)クリスマス」より、クリスマスのイルミネーションを眺めていた羽美と部長に改蔵が言い放った言葉。曰く、それは赤緑団の陰謀らしい。

クリスマスにうんざりしたら使おう。

 

わあ雪っ

他の漫画でもクリスマスネタをやってんのかしら? と『サラダデイズ』でやってそうなシーンを実演した部長の言葉。

ブコメっぽい冬を演出したい時に使おう。

 

いらぬ賛美をされたんです!!

サンタ姿でティッシュ配りをしていたところに上記の赤緑団の聖歌隊が現れ、賛美と称したほめ殺しをされて毎度おなじみ第一被害者となってしまった山田さんの言葉。

ほめ殺しをされた時に使おう。

 

山田さんや改蔵、地丹の家族なんかも徐々に出番が増えてきましたね。独自のスタイルを季節ネタで量産していて安定している感じもします。

8巻に続く。

 

フライドポテト難民のお話。

 

誰が言ったか知らないが、人は私をこう呼ぶ。「フライドポテト難民のジロウ」と。

世界広しといえど、僕ほどのフライドポテト難民というのは少ないだろう。今回はそんな僕のフライドポテト難民の歴史を振り返ろうと思う。

 

僕が初めてフライドポテト難民に陥ったのは中学時代のある日だ。当時の僕は近所のショッピングコートの本屋に漫画を買いに行っては、同じコート内にあるイートインスペース的な所で売られているフライドポテトを買って帰るのが日常だった。

しかし、突然その日は訪れた。予告もなく、そのイートインスペースが閉店してしまっていたのだ。

こうして、ヤマグチジロウのフライドポテト難民としての歴史は始まった。

 

次のフライドポテト難民は、その傷も癒えはじめた高校時代。その頃の僕はバンドに明け暮れる傍ら、それ以外の土日はほぼ決まって特定の友人と隣町へ遊びに出かけていた。同じ友人と、同じ場所へ、同じルートで回るその中にまたもやイートインスペースがあり、そこで昼食を摂るのもお決まりになっていた。

そこでは僕は専ら焼きそばとフライドポテトを注文するのが、やはりお決まりだった*1。しかし、そんな同じようで少しずつ違う日常さえもいとも簡単に崩れてしまう。

高校卒業を控えた冬のある日。僕と友人は「たまには別のルートに行ってみようか」と別の隣町に遊びに行ったり、僕がバンドのほうに行く週だったり、なんやら用事があったりで1ヶ月ほどお決まりのルートを回れない日が続いた。

そして久しぶりにお決まりのルートに遊びに出かけ、お決まりのイートインスペースでお決まりのメニューを食べようと足を伸ばしたその先には簡素な閉店の貼り紙が貼られたイートインスペースが待ち構えていた。

フライドポテト難民、再びである。

 

しかし、まあこの2つ程度ではまだまだ異常だとは思わない。最初のショッピングコートはスーパー部分が早くに撤退してしまい、残ったテナントがぽつりぽつりと消えていっていた場所だったので、言ってしまえばそういう覚悟はできていたし(ポテトとセットに通っていた本屋も程なくして閉店)、2つ目も田舎には似合わぬ大きく広々とした日用品ストアの一角にあったスペースで、僕が地元を離れてしばらくするとそのストア自体も無くなってしまったので「まあ、仕方ないか」感が大いにあったのでダメージは割と少なかった。

僕のフライドポテト難民はまだまだここからだ。

 

 

高校を卒業した僕は専門学校に通うために地元を離れ、広島県に住んでいた。

高校卒業の少し前に中学時代の同級生や後輩たちと会う機会があり、そのうち一人の後輩がかなりのフライドポテト狂だということを知った。そしてその後輩は「ローソンのフライドポテトが一番うまい」という情報を教えてくれた。曰く、「バレンタインデーにチョコではなくそのフライドポテトを持ってくる女子がいたら無条件で付き合う」ほどのフライドポテトだという。

そんな心ときめくフライドポテトを放っておくわけにはいかない。僕は専門学校の友人宅の近くにローソンがあるのを見つけると迷いなく店内のホットスナックのケースに入ったフライドポテトを注文して食べた。そのフライドポテトは噂に違わぬ絶品だったので、少し遠回りではあるが学校からの帰り道にたまに寄ってはフライドポテトを買って帰っていた。

ここまでのパターンでいくならその通っていたローソンが閉店してしまうといった展開なのだろうが、この時は少し違った。ローソンではなくあの絶品フライドポテトが店頭から姿を消したのだ。

ローソンが閉店しただけならなんとかして別のローソンで買えばよかったのだが、あろうことかフライドポテトそのものがこの世から消えてしまったのだ。

こうしてまた僕は思わぬ形でフライドポテト難民になってしまった。

 

時は流れ、僕はなんやかんやあって東京で暮らし始めた。

しばらくすると都会に居場所を求めたフライドポテト難民に朗報が舞い込んだ。「マクドナルドのポテト全サイズ150円」である。フライドポテト難民である前にコーラ好きであるところの僕にとってマクドナルドは「ある期間にLセットを買うとコークグラスがついてくる場所」として親しみがあり、既に近所のマックにはある程度通っていたので、このあつらえたかのような朗報には四の五のなく食いついた。

しかし、この150円は期間限定。しかもコークグラスのセットも時を経るごとに条件がややこしくなっていき、ついには無くなってしまった。同時期にそのマック近辺の書店が閉店したことから完全に足が遠のいてしまっていた。その後、フライドポテト150円の企画が再び始まり、「久しぶりにマックでも」と訪れたところ、マックまでもが閉店していた。

この辺りから「僕がフライドポテトを求めて行くところは、何かしらで無くなってしまう」ということに気づき始める。なんにせよ、遠く東京の地でも僕はフライドポテト難民になった。

 

そんな僕にまたもや朗報が舞い込む。ポッポという存在を耳にしたのだ。

それまで暮らしてきたエリアにはイトーヨーカドーがなく、ポッポというコスパ最強、フライドポテト難民のオアシスの存在を知らなかった。僕はやはりこの朗報を聞き逃さなかった。

上記のマック跡地と比べるとかなり歩くことになるが、フライドポテト難民にはそのくらい平気、へっちゃらだった。何よりイトーヨーカドーという巨大なバックが付いている心強さが、僕のフライドポテトライフを支えていた。

……存在を知ってから2年もたなかった。

このたび通っていたイトーヨーカドーからポッポだけが閉店していた。非常に、非情にシンプルだった。

そう、またしても僕はフライドポテト難民になってしまった。

 

そういう悲しみに暮れながらこれを書いているというわけです。かなしみブルー過ぎてエアーフライヤーでおじゃがを直接揚げてやろうかとも考えるものの、その場合僕のここまでのフライドポテトのお店絶対殺すオーラが一体どこに向かってしまうのかが気になって手を出せていない状態なんです。

 

あっ……へぇ、ジョナサンのフライドポテトってお持ち帰りできるんだぁ。

おわり。

 

*1:余談だが、ここの焼きそばに揚げ玉が入っていたことから、僕は焼きそばを作る際に揚げ玉を入れるようになった。

信頼と有田哲平のお話。

 

いやぁ参ったね。

いつも書き出しをどうしようと参っているのですが、今回はとてもイージーでした。お分かりですね、くりぃむしちゅー有田哲平のお話です。

 

有田哲平といえば芸能界屈指のプロレス好きだとかモテ男だとかのイメージがありますが、お笑い芸人という角度で見ても大天才なんですよ。パーフェクトヒューマンなんですよ。

もちろん、ボケ担当としての的確さや分かりやすさという点でも素晴らしい芸人ですがそれだけではないぞというお話です。よろしくお願いします。

 

まずはマルチプレイヤーということ。

多くの場合、バラエティの司会というのはツッコミが担当するもので、あったとしてもコンビで仕切りつつといった感じですかね。くりぃむしちゅーもコンビで出ている場合は相方である上田晋也が担当する場合が多いのですが、番組によって(くりぃむナンチャラなど)は有田が進行を務め、有田個人で司会をする番組も多々あります。

その中でも進行しつつちゃんとボケを入れるものもあれば、普通に場回しをする役に徹するもの、司会という立場を悪用して場を荒らすものなど番組によっていろんなパターンを使い分けているのがマルチプレイヤーという所以ですね。

 

そして特出すべきは番組の企画も一部で担当しているということです。

どの番組で、どの程度の企画をしているのかは不明ですが『くりぃむナンチャラ』、『全力! 脱力タイムズ』、『有田Pおもてなす』、『有田ジェネレーション』あたりは有田の色が色濃く出ているような気がします。

その不明ながら挙げた4つを軸にするのは忍びないのですが、ここは僕のブログだということで温かく見守っていただくとしてお話を続けると、有田哲平という人物はお笑い芸人に対して可能性と絶大な信頼を抱いている人だと思うんですよ。

 

『くりぃむナンチャラ』では、相方である上田にさえ収録が始まるまで企画を詳しく説明しないこともしばしばあり、『有田ジェネレーション』では有田の独断で出演者を振り回したり、『全力! 脱力タイムズ』と『有田Pおもてなす』ではシステマティックに芸人を追い詰めていくのが痛快な番組です。

その中でも『全力! 脱力タイムズ』では、アンタッチャブル柴田や南海キャンディーズ山里のような腕のある芸人への当たりがかなり強いように感じて、それがその芸人への「このくらいの無茶振りでも応えられるだろう」という信頼に思えるんですよ。

 

さらに、有田の司会の特徴としては本来の進行から逸れてしまっても軌道修正を試みるのではなく、しばらく泳がせて、必要であれば自分でも乗っていくというスタイルで、そういった部分でも出演者への信頼感がうかがえます。

『くりぃむナンチャラ』の企画「幽霊で行こう!」というものがあり、出演者たちが幽霊となり街中で心霊写真を撮ってくるという企画だったのですが、ロバート秋山が心霊写真を撮りに行ってる間に有田たちが居酒屋で酒盛りを始め、秋山が撮ってきた写真も一瞥しただけで撮り直しを命じて自分たちは酒盛りを続けるという、逸れに逸れた企画があり、後に番組のファンを集めた企画の際には「あれは最高だった」という意見と「あれはどうかと思った」という意見に分かれる印象に残る企画があり(もちろん僕は最高サイド)、泳がせスタイルの最高峰だとも思います。

 

思えば『くりぃーむしちゅーのオールナイトニッポン』でも、有田による上田への無茶振りは番組の名物で、数々の名場面を作り上げてきたことを考えると有田哲平の原点は上田への無茶振り、ひいては学生時代の悪ふざけから始まってるのではないでしょうか。

これからは有田の芸人愛を感じながら楽しんでみては。

 

それでは。