べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

ダブって見えたとM-1グランプリ2019のお話。

 

今年はほんと年の瀬、M-1グランプリ

すごかった。熱かった。面白かった。今年のはホントすごかった。

それまでの3回とはうってかわってピリついた味わいのあった前回大会の空気をそのまま引き継がれ、その空気に全てのコンビが真っ向からぶつかった歴史に残る大会になったと思います。初出場が7組というかなり攻めた選考に偽りなしでしたね。すごかったこれは。

 

1組目は前に一度取り上げたことのあるニューヨーク*1。確かに本来の持ち味である屋敷のトゲのあるツッコミが物足りないというのは感じましたが、大会をピリつかせるためのダシになってしまった感は少し感じましたかね。数年前からネクストブレイクに挙げられるも「何もしてなかったら本当に何も起こらなかった」らしく、それで言えば今年は取り上げた記事の通りかなりいろいろやった年に掴んだ念願の決勝進出だっただけに不完全燃焼だったのは否めない。1回出て手の内が分かる芸風ではないのでまたどこかで上がってくてほしいですね。

2、3組目はかまいたちと敗者復活・和牛という実力派が並び、早くも会場の空気を作り上げた。まぁ、この二組は実力通りに評価されていたので特に言うことはないですかね。和牛の点数が出たときに「ここがラインになるかな」と思った(というかそんなことをつぶやいた)のは振り返ると自分で褒めてもええ眼力でしょ。そうでしょ。

 

4組目はすゑひろがりず。今大会一番のサプライズであり、一番の飛び道具。実力派が並んだ後の緩衝材的な役割になってしまったものの、確実に爪あとは残したでしょう。

その少し和らいだ空気の中現れたのは5組目のからし蓮根。なぜか上沼恵美子に大絶賛されるも結果はそこそこ止まり。からし蓮根もここ数年で着実に力を付けてきたコンビなのでまた決勝に姿を見せてくれるでしょう。

6組目の見取り図は和牛の点数に惜しくも届かなかったものの、前回トップバッターとして不本意な結果だったものを取り戻した実力通りのネタができたように感じます。

 

そして7組目、ミルクボーイ。正直これまでM-1予選の動画くらいでしか見てなかったのですが、その時から感じていた漫才の腕の達者さにとんでもない武器を携えてきたなという印象でしたね。しゃべりのリズムは割と単調だったにも関わらずワードの強さでどんどんとテンポを上げていく感じはまさにその達者さが光るネタだったと思います。

8組目のオズワルド。らしさはちゃんと出せてちゃんと笑いも取れていたものの、さすがに順番が悪かったとしか言いようがないですかね。

9組目は去年「あるんじゃないか」という記事を書いたインディアンス*2。ここもまだ引きずり気味でしたかね。腕とシステムとワードセンスで魅せたミルクボーイの後では少し軽薄に見えたのかも知れない。それにしてはちょっと低すぎない? とは思いますがね。

そしてラストを務めたのは唯一の吉本以外の事務所から選ばれたぺこぱ。ラストということが功を奏したのか、独特なツッコミをより一層際立たせたように感じられました。年始のおもしろ荘での鮮烈なネタ披露で優勝。から事務所のお笑い部門解体→フリー→サンミュージックに移籍という壮絶な一年を歩みながらもM-1の最終決戦まで残ったのは、それほどに強い武器を手に入れたのだということでしょう。

 

最終決戦はまたレベルが高かった。すごかった。ぺこぱに1票も入らなかったのが意外なくらいどうなるか分からない3組のネタでした。しかしやっぱり1回目のインパクトと、それと同じくらいしっかりとワードと技術でテンポを作り上げていったミルクボーイが逃げ切ったといった優勝だったんじゃないでしょうか。

2回目のネタを見ていたら、ネタの作りは全く一緒なのにボコスカ笑いを取って優勝したブラックマヨネーズとダブって見えたほどでした。

前回もチュートリアルとダブって見えたみたいなことを書いていたので、やっぱりあの辺りのバチバチを感じるここ2回の大会だったんじゃないでしょうか。

 

奇しくも今年復活したアンタッチャブルの大会記録を塗り替える最高得点は伊達じゃなかったってことですわ。ホントに面白かった。

これからまた盛り上がっていくことに期待して、また一年生き抜きたい。

それでは。