べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

フットワークとラブレターズのお話。

 

キングオブコントの予選も準々決勝に差し掛かった折、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。この記事がアップされる頃にはその準々決勝も終わり、もしかしたら準決勝進出者も発表されているかも知れませんね。

 

ついこの前、にちようチャップリンの若手常連がキングオブコントに出たら番組としての格が上がるよねってお話*1をしたわけだけど、そのキングオブコントにまつわる芸人のことが最近何故かすごく気になっているのでその芸人についてお話を。ほら、最近一組だけ絞って書くっていうのなかったからね、その辺も含めてね。

 

その芸人というのはラブレターズです。

キングオブコントにはさらば青春の光の5回、しずるTKOの4回に次ぐ3回の決勝進出回数を誇り*2、初進出時の最短芸歴年数の記録も持っているコンビですが、3回以上進出している中ではいまいち知名度が低いような気もします。

第1回(2008年)のキングオブコントにアマチュアとして出場したその舞台で見たバナナマンのコントに影響を受けて翌年、正式にコンビを結成してから最短芸歴で決勝進出し、その一発目があの「西岡中学校」だったことを考えると、なんだか伸び悩んでる気がしないでもないですよね。決勝に出てその一発だけという芸人はキングオブコントだと割と多い中、3回も決勝進出できているというのはそれだけの実力があるということだとは思うのですが、なかなか評価の難しいコンビですよね。

 

軽くメンバー紹介をしましょうか。ヤクルトスワローズが好きすぎてボールボーイのバイトまでしていた溜口と、坊主ですきっ歯の塚本です。

本当に軽い。

 

そんなラブレターズになぜ今気になってるのかというと、彼らの謎のフットワークです。

7月14日の三四郎オールナイトニッポン0で、パーソナリティのひとり・小宮が体調不良で放送直前に出演キャンセルになった際にパーパーのほしのディスコ(現・三人合わせて星野です)と共にピンチヒッターとしてやってきたのがこのラブレターズだったのです。

それ以前にも小宮が体調不良で出られなくなった時があったのですが、その時のピンチヒッターもラブレターズという、三四郎の緊急時には必ずやってくる頼もしい存在なんですよ。ちゃんとしたゲストとしては呼ばれたことないのに。

同じくオールナイトニッポン0としてはニューヨークが担当した時の最終回に溜口がかけつけたり*3、極めつけは『ゴッドタン』のマジ歌ライブの武道館公演でハライチ澤部が当日未明にインフルエンザで欠席が決まった代役として同じ坊主だからと塚本がピンチヒッターとして連れてこられてその日覚えたネタを1万人の観客の前でやるという離れ業を見せるなど、図らずも急場に強いイメージがあります。

 

肝心のネタはというと「変人とそのリアクション」といった割とオーソドックスな感じのコントが多くを占め、西岡中学校のような歌ネタは本人たちいわくイレギュラーということらしいのですが、キングオブコントの決勝に進出した3回中2回が歌ネタだったり、にちようチャップリンでもコント内にラップと歌が入っていたり歌ネタに寄っている感さえありますね*4。個人的には、この2人のキャラクターにはコントコントしてるネタよりも彼らの歌ネタのような2人ともがわちゃわちゃバカやってるようなネタが合ってるような気がします。

 

このようなフットワークよく、ネタも量産し続けて最近では徐々にコアな番組で顔を見るようになってきたような気がします。

以前『勇者ああああ』でアルコ&ピースの言っていた横の繋がり*5の中にもいる芸人でもあり、もしもこの横の繋がりにいる芸人がバラエティの中心に出てくるようになればその脇でユーティリティな活躍を見せるようになるかも知れない。そんな片鱗を感じているのです。

ここまで注目しているのだから今年も決勝行ってほしいわけです。

 

追記(アップした翌日):準々決勝で落ちてました。なかなかそう上手くはいきませんね。

 

それでは。

 

 

*1:詳しくはこちら

colapoly.hatenablog.jp

*2:同じく3回進出している主な芸人にロッチ、うしろシティなど

*3:こちらはその前週に「スタジオにかけつけてくれる人(ノーギャラ、有名人に限る)」という募集を受けてニューヨークと交流のあるさらば青春の光森田とバイク川崎バイクと共にかけつけた。

*4:というかラブレターズの所属するASH & Dには阿佐ヶ谷姉妹みさわ大福という歌ネタに全力な芸人がいる一方、ザ・ギースというゴリゴリのコント師がいたりする中ちょうど中間にいるような感じもあるね。

*5:ゲストに現れるのがライブなどでよく一緒になっていた芸人ばかりだったことからその名がついた。

colapoly.hatenablog.jp

バイタリティと復活した漫画のお話。

 

復活、か。

 

復活なんてものはそう簡単にできないってことは分かっている。絶望的なことを受け入れることだって人生だ。

しかし世の中にはそんな難しいはずの復活をとげたものもたくさんあるはずだ。そう、例えば漫画だって!

今回はそういう漫画たちのお話だよ(それに至った経緯の詳しくは前回参照)。

 

漫画の復活といってもいろいろあるものでいくつか列挙するにあたって軽くレギュレーションを設定しましょうかね。

とりあえず簡単なところから言えば「一回連載終了、もしくは相当期間の中断を経ての復活」。まあ、それはそうでしょうなといった感じですが大事なことなので。例えば『DAN DOH!!』が『DAN DOH!! Xi』として復活しましたが、復活までに1週の空きしかないのでこの場合は外すと。相当期間がどれほどかっていうのは雰囲気で感じ取ってください。そういうブログです。

そしてもうひとつ挙げるとするならば「復活以前にメディア化されていない作品」。例えば、『うえきの法則』が『うえきの法則+』として復活しましたが、無印のほうの連載が終了した後にアニメ化され、それに伴い+が新たに始まったという経緯があるので、そういうケースだと「復活した」というより「帰ってきた」という意味合いが強くなるような気がするので外そうと思います。例えにサンデー多いな。

 

そんな感じですすめていきますよ。いやあ、前置きでこれほどかかるんだから経緯含めて書くのはやっぱり無謀だったね(詳しくは前回参照)。

 

ホクサイと飯さえあれば

元々は角川書店の『サムライエース』で連載されていた『ホクサイと飯』で、雑誌休刊とともに連載を終了していたものを、同人誌を経て『ヤングマガジンサード』で現在のタイトル『ホクサイと飯さえあれば』で復活。現在も連載は続いております(この前7巻が出たね)。

『ホクサイと飯』は主人公で漫画家の山田ブンが漫画そっちのけで飯を作って食べるという自炊漫画。そこから復活した『ホクサイと飯さえあれば』はそこから8年遡り、山田ブンが一人暮らしの大学生時代のお話で、こちらも同じく飯を作って食べる自炊漫画。独特の画風と表現で食欲をかきたてる作品ですね。

作者の鈴木小波さんの別の作品『燐寸少女』でも単行本が発売された時点で1巻の表記がされずに、売れなければそのまま終了というところから重版かかって継続。実写映画化されるなどバイタリティにあふれた作家さんです。


ホクサイと飯さえあれば(1) (ヤングマガジンコミックス) 

 

少年探偵犬神ゲル

元々は『ヤングガンガン』で連載され、第一部完結という形で連載終了。その後2年の期間を経て『増刊ヤングガンガン』で再開。単行本も5巻から表紙のテイストを変えつつも継続し、全6巻で「第二部……完!」という言葉を残して完結(多分)。

少年探偵というイメージとは裏腹に頭よりも身体を活かして依頼をこなすお金大好きゲス野郎・犬神ゲルとツッコミ役の薄幸少女・安川マリーをはじめ、個性豊かなキャラクターたちが所狭しと暴れまくるコメディ漫画。復活後も特に大きな変更点はなく相変わらずな感じでした。


少年探偵 犬神ゲル 5巻 (ヤングガンガンコミックス)  

 

ササナキ

元々は『少年エース』で連載されていた『ササメケ』で、連載終了後3ヶ月でタイトルと主人公を変更して復活した(思ってたより期間開いてなかった)。

双方共通してサッカー漫画ではあるがコメディ要素が強く、試合展開もハチャメチャなものが多い。この他に同じ学校を舞台に数年後の世界を描いた女子サッカー漫画『あしがる』も連載していた。

作者であるゴツボ×リュウジは、上記の『少年探偵犬神ゲル』の作者ゴツボ☆マサルの兄。兄弟揃って復活しているバイタリティ。

 
ササナキ(1) (角川コミックス・エース)

 

大東京トイボックス

元々は『モーニング』で連載されていた『東京トイボックス』。打ち切り後『コミックバーズ』に雑誌を移して『大東京トイボックス』として復活。これも思ってたより期間開いてないのですが、出版社をまたいで短期間での移籍というのもなかなか珍しいのでね。それ故にいろいろと揉めたことを後に明かしております。

東京トイボックス』では大手ゲーム会社でビッグタイトルにメインプランナーとして携わった天川太陽が、独立して立ち上げた弱小ゲーム会社スタジオG3が舞台のゲーム開発の現場を描いた作品。復活後の『大東京トイボックス』ではその後の物語を新入社員の百田モモを加えて描かれており、当時メディアで取り沙汰された「少年犯罪と暴力ゲームの関係性」というタイムリーさも相まって壮大なストーリーになっている。復活後に実写ドラマ化されたり、物語のスキマを補完する短編集や過去のエピソードを描いた単巻本が出るなど劇的な復活を遂げています。

この作品については少し思い入れがあって(他のにもあるけどね)、友人の家に泊まりに行った際に近くのレンタルショップで2人ともが気になって借りたのがこの作品で、読み終えた後も「面白いのにねえ」と言っていたので、その作品が復活していろんな展開を見せていくのだから「やっぱ間違ってなかったな」と謎の得意げな顔を浮かべたものです。

 
大東京トイボックス (1) (バーズコミックス)

 

おかえりなさいサナギさん

冒頭で「帰ってきた」云々言っていた割におかえりなさいと冠した作品を挙げるというね、でもレギュレーションには反してないもん。

元々は『週刊少年チャンピオン』で連載されていた『サナギさん』。連載終了から4年と少しを経て『もっと!』にて復活。

施川ユウキさん特有のシュールなギャグ四コマ漫画で、施川作品の中では一際ポップな内容のために人気も高く、そのために復活したのかも知れないね。そういえば上記の友人に4巻くらいまで貸しててそのまま返ってこなかったから買いなおしたの思い出したよ。

 
おかえりなさいサナギさん 1 (少年チャンピオンコミックス・タップ!)

 

育ってダーリン!!

元々は『週刊少年サンデー超』で連載していたが、1年半ほどで未完のまま中断。そのまま5年半の時を経て『週刊少年サンデー』本誌で2週にわたって完結編が描かれて完結。1巻しか出ていなかった単行本も新装版としてA、B巻が発売された。

内容としては容姿端麗でモテモテだが理想の男がいないと嘆く主人公・羽留うららが祖父同士が戦地で決めた許婚である坂本冬馬の存在を知り、理想の男がいないのならば理想の男を育てればいいと奮闘する漫画。

中断していた5年半で手書きからフルCGに環境が変わっていたり(久米田さんは特に早かった)、それに伴って絵柄がガラリと変わっている。更に中断するまでは普通に展開していたストーリーも2週でたたむために多少強引な幕引きになっている部分もあって面白い。


育ってダーリン!!〔新装版〕A (少年サンデーコミックス) 

 

以上です。これ書いてる間にアマゾン来ました(前回参照)。

謎括り、他にいくつか案もあるので気長にお待ちください。「未勝利スポーツ漫画」に匹敵する謎の括りが見つかったらマッハで書くのになあ~。

 

それでは。

 

うっかりしていたと総集編のお話。

 

うっかりしていた。

「チェアーがなんか踏んでるな~」とは何となく気がついてはいたのだが、まさかそれがPS3のコントローラのケーブルで、こともあろうにプラグの部分を踏んでしまっていたとは。

当然プラグはへしゃげてしまっていたが、なんとか形を整えて噛み合わせが少し悪いながらも使い続けていた。しかし、それさえもついにもげてしまった。

 

PS3はほぼトルネでテレビを見る専用なのでこの状態、しかもコントローラの充電が切れた今、ほぼなすすべがない。虫の息だったコントローラは、せめてでも甲子園を見るためにNHKにチャンネルを合わせたところで冷たくなっている。

もうゲームはほぼPS4に移っているのでナスネを導入すればいいとは思うだろうが、というかその発想にも何度か至ったが思ったよりも高い。以前話したとおり(※1)、僕は物持ちがいいという言葉の盾に買い換えるのが面倒というのを隠している人間なので、PS3が現役なうちは(もしかしたら放置中のテイルズオブエクシリア2もやるかも知れないし~?)頑張っていただきたい。

 

とはいえ、替えのケーブルなどない。これがPS4のコントローラのケーブルであればスマホのものやモバイルバッテリーのものを代用できるが、これがまたPS3でしか見たことのないものだ。まったくソニーは。

なので買い替えである。ごく少量の出費と言えど宙ぶらりんの僕にとっては少々痛い。そのため、とりあえず少しでも安く買おうとアマゾンで注文をした。これでだいたいその辺で適当に買うよりも700円くらい安い。しかも暑くない。疲れない。

ちょうど今日タイミング良く(?)『荒ぶる季節の乙女どもよ』(※2)の5巻が発売されており、どうせ買うものだし書籍を一緒に買えば配送料無料なのでこれも一緒に注文した。

早くても明日到着。それまでずっと甲子園だ(正確に言えばトルネは録画の際にチャンネルを強制的に変えられるのでそこで切り替わる。もっと言えば2時間くらい放置してると勝手に切れる。あれ? 甲子園観られるかなこれ)。

 

そんなこんななのでケーブルが届くまではテレビ無しで過ごすのだが、今週は雨が降ったりでラジオを聴きながらのウォーキングに出かけられない日があったりしたのでBGMとして集中力を散らすのには事欠かない。PS4もあるのでFallout Shelterもできるしなんか変なところで止まってしまっているニーアとかもできる。余裕で1日くらい潰せる。懸念があるとすれば録画を消すことができないのでもし容量があふれてしまったら大変なくらいだ(※3)。

 

僕の不注意で、少量の出費といえどなんだかテンションが下がる。なんか違和感がある時に気付いていれば防げた出費だからだ。嘆いていても戻ってはこない。復活してほしいが、もう見た目からして復活なんて望めない。復活が望めないというのなら、復活したものを思い出して気を紛らわそう!

……ということでどっかで使おうと温めていた「復活した漫画特集」(※4)をここで放出しようと思ったのだが、ナスネを買う買わないの話に差し掛かった時点で「あ、これ前置きっていうレベルじゃないくらい長くなるな」という判断をして、なんやらかんやらでここまで引き伸ばした次第である。というわけで、程なく本来やるはずだった「復活した漫画特集」もアップする予定です。

なのでこの記事をどんな立ち位置にしようと考えた結果、軽い総集編みたいにしようということになりました。ほら、脚注がリンクばっかでしょ?

そんな感じだよ。そういうブログだよ。

 

それでは。

 

 

※1 もう2年も前のお話なのに財布はこの時のままだ(必要のないipod以外はさすがに新しいのを買ってる)。

colapoly.hatenablog.jp

※2 以前お話しましたよね。

colapoly.hatenablog.jp

※3 ウォーキング云々やFallout Shelterについてはこちらに。Shelterはつい昨日トロコンしたばかり。

colapoly.hatenablog.jp

※4 1シーズンに一回その期間の新刊が出た漫画のオススメを列挙する記事のほかに、クセのある括りで列挙する記事を漫画カテゴリーの軸にしている。しているはずなのにまだ1回しかやっていない。その理由は多分、初回で「未勝利スポーツ漫画」とかいうクセのありすぎる括りをやってしまったせいだと思う。

colapoly.hatenablog.jp

 

漫才の華とクセツッコミパンデミックのお話。

 

漫才の華といえば何でしょう。ボケでしょうかツッコミでしょうか。

 

僕はボケだと思っています。個人的に。ツッコミはあくまでボケへのリアクションであり、訂正であり、観客とボケの人の持つ世界の架け橋であるべきというのが僕の考えです。

これは僕のお笑いの入り口が吉本新喜劇で、その中でのツッコミが全体の進行をスムーズにさせる舞台回し的な役割だったからだと思います。ツッコミは添えるだけ。

 

しかし近年ツッコミが主体、メインを張った漫才師が増えてきたな~と感じているんです。最近のブレイク芸人で言えば豪快などつき漫才で世に出てきたカミナリ。カミナリと同じくグレープカンパニー所属の若手で、備中神楽の囃子ことばを活かしたツッコミが特徴的な東京ホテイソン。あんまりイメージとは違うものの、三四郎もツッコミの小宮がメインの漫才ですよね。銀シャリ学天即も正統派と言いつつもツッコミが引っ張るスタイルです。

ではそれはなぜ増えたのか。今回はそんなお話です。

 

とはいえ、僕がツッコミは添えるだけ教というのはあるのですが、まあそれはそれとして、ツッコミ主体であろうとどんどん肯定していこうと思うよ。このブログって(いつからか)そういう趣旨だし。

 

なぜ増えたのか、まずは先人からの影響。とは言ってもその歴史はそれほど深いものでもなく、80年代序盤の漫才ブームでのB&B、ツービート、紳助・竜介やすしきよしなどはむしろボケが先導していくスタイルで、ツッコミばかりを集めてうなずきトリオというユニット(島田洋八ビートきよし松本竜介の3人を集めるとうなずいてばかりの漫才になるという由来)を結成するほどでした。

 

そんな中、ツッコミが先導する漫才としてまず出てきたコンビといえば中川家でしょう。中川家のこのスタイルはボケの剛がパニック障害を患った際に「横におるだけでええから」と2人で舞台に上がり、ツッコミの礼二がほぼ一人で漫談をしていたという時期があったらしく、そのうち剛の調子がいい時に漫談の横から茶々をいれるようになっていったのがそのまま現在の漫才スタイルになったという言わば副産物的なもので、新しいことを狙ったものではなかったのですが、そのスタイルで第一回のM-1で優勝すると共に全国区になっていきました。

またM-1で脚光を浴びたツッコミ主体の漫才といえば2004年の南海キャンディーズで、山里の独特のワードセンスで切り込むスタイルは多くのフォロワーを呼んだはずです。

同じく2004年のM-1でいえばタカアンドトシ。こちらは南キャンとは違い、既にオンバトなどでその実力を見せていましたが、「欧米か」をはじめとする同じフレーズを繰り返してツッコむスタイルは新しく、コンビを代表するフレーズになりました。

 

この2000年代序盤には漫才の他にも、三村の「○○かよ!」というフレーズで脚光を浴びたさまぁ~ずや、上田の多種多様な例えツッコミでスターダムを駆け上がったくりぃむしちゅーなど、第一次クセツッコミパンデミックが起こったのです。

この印象的なツッコミが多くあふれた時期、もしくは浸透しきった後に結成されたことを考えれば、何も意識はなくともツッコミ主体になっていくのも不思議ではないでしょう(※1)。

 

そしてもう一つは、ツッコミのキラーフレーズを持っていると、バラエティやライブなどの平場で重宝されるからです。

最近で言えばバイきんぐ小峠の「なんて日だ」、千鳥ノブの「クセがすごい」など、印象的なフレーズで頭に残りやすく、フォーマットが完成されているのでガワだけ取り替えれば即興のフリでも対応しやすいのが強みです。それだけ重宝されていれば「なんだか最近クセツッコミ多いなあ」と思ってしまいます。「耳キーンなるわ」とか。

そんなお笑いの荒波の中を印象的なツッコミを持って漕ぎ出でた芸人たちの姿が、現在のツッコミ主体漫才なのでしょう。

言わばこの世は第二次クセツッコミパンデミックとも言えるのではないでしょうか。

 

さて、クセツッコミパンデミックというよく分からないワードが生まれてしまいましたが、適当にまとめたとこからその場その場でいろいろ調べつつ組みあげていったらそんなことも起こるでしょう。思ってたよりも壮大な感じになったし。

……うーん本当はツッコミは添えるだけがキラーフレーズだったはずだったんだけどな。おかしいな。

 

それでは。

 

 

※1 確か三四郎のツッコミ主体のスタイルはサンドウィッチマンの漫才に影響されたと話しており、そのサンドウィッチマンバカルディ(後のさまぁ~ず)に影響されたとか。おお、あながち間違いでもないじゃん?

 

オンバトとにちようチャップリンのお話。

 

やあ、ヤマグチジロウだよ。

 

暑い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。

連日真夏日を記録する中キングオブコントのエントリーも始まり、これから年末にかけてお笑い界にも熱い毎日が続くことでありましょう。

 

なんだか無理やりに話を繋げた感もありますが、つまりはその辺のお話をしたいわけですよ。

そのお話を簡単にまとめると「にちようチャップリンは次世代のオンバトになれるのか」ということです。

 

以前NHKのバラエティを取り上げた際(※1)にも書いたのですが『オンバト』、正式名称『爆笑オンエアバトル』は現在のお笑い界の礎となったと言っても過言ではなく、2000年代から始まるお笑いブーム以前のお笑いを支えた伝説的な番組で、現在活躍している多くのお笑い芸人がここでしのぎを削っておりました。僕自身もこの番組で夜更かしを覚えてしまったほどです。

この『オンバト』の伝説たる所以は、観客投票によって挑戦する10組中5組しかオンエアされないという点であり、「史上最もシビアなお笑い番組」を自称するに相応しい番組と言えるでしょう。

 

そんなオンバトと同じく、観客投票によって勝ち抜けを決めるスタイルを採用しているのが『にちようチャップリン』なのです。

こちらの説明を軽くしますと、ウッチャンナンチャン内村光良が別番組の打ち上げで「テレ東で若手のネタ番組みたいなのやりたいよね」という軽く言ったという言葉を重く受けとめたスタッフが本当に作ってしまったという番組で、単発番組からいくつかの変遷を経て現在の形になりました。

現在の番組内容は1年かけてチャンピオンを決めるネタバトルを4月から開催しており、毎週7組の芸人がネタを披露し、観客投票によって選ばれた上位2組が月間の決勝に進み、3週分の進出者6組の中から1組が年間の決勝に進むといったものです。

オンバト』のようにネタが放送されないということはないですが、「観客投票」「年間王者」という共通点がありますね。

 

ふたつの番組の紹介が終わったところで本題「にちようチャップリンは次世代のオンバトになれるのか」ですが、なぜこんなことを思ったのかと言うと、前述の共通点に加えて『オンバト』でもそうだったように『にちようチャップリン』にも番組ならではの芸人というのがいくつも生まれており、かつてのオンバト芸人がそうであったようにチャップリン芸人たちも世の中に羽ばたいていけたらいいなと思ったからです。

 

ではオンバト芸人たちはどうやって世に羽ばたいていったのか。それはやはりブームの火付け役となった賞レース、その中でもM-1グランプリが関係してくるのです。

第1回のM-1が行われた2001年。『オンバト』は3年目を迎えており、常連といえる芸人も多数現れていました。そんな中M-1の決勝に進出した漫才師10組は、まさに『オンバト』で活躍していた人たちだったんですよ。

その進出者と『オンバト』での成績をまとめてみました。もっとも、これは総合成績なのでM-1出場以降の成績も含みます(麒麟なんかはこの大会から注目されたので以降の成績が主でしょう)。こちらです(ネタ順)。

と、デビュー後間もなくから『はねるのトびら』などレギュラー番組を持っていたキングコングと、『オンバト』開始当初から既に人気で初代チャンピオンにも輝いたDonDokoDon以外は10回以上挑戦しており、10勝以上で無敗のコンビが3組と『オンバト』名物芸人が多く進出していたことが分かります。

 

第2回大会で初出場の芸人もダイノジ(16勝3敗)、テツandトモ(20勝3敗)、スピードワゴン(15勝5敗)と、この大会で陽の目を浴びるもクセが強く観客投票が合わなかった笑い飯(1勝3敗)以外は常連組が固めるなど、M-1初期は『オンバト』芸人によって作られ、そして世に羽ばたいていったと言えるでしょう。

 

では『にちようチャップリン』で僕個人が「こいつらは番組にハマってるなぁ~」とか「この辺が賞レースで決勝に行ったらもっとチャップリンが盛り上がるなぁ~」と感じている芸人を紹介しましょう。

まずはネルソンズ。独特の雰囲気を持つ和田まんじゅうを中心として繰り広げられる悲壮感漂うコントがたまらないトリオ。今年3月に行われた同番組によるトーナメント式のネタバトルで優勝。4月から始まった1年ぶっ通しの大会でも5月に早々に勝ち抜けを決めている『にちようチャップリン』では無類の強さを誇るトリオです。

続いてはジェラードン。角刈りで顔の濃い西本と、キモキャラを務めることの多いかみちぃという二人の世界感の強いボケに振り回されるツッコミ海野のドタバタ感あふれるコントが痛快なトリオ。こちらも既にぶっ通し大会での勝ち抜けを決めている。この2組は『有田ジェネレーション』でもお馴染みですね。ですね?

最後はトンツカタン。櫻田の独特な雰囲気のあるキャラとそれだけに頼らないよく練られたネタが特徴のトリオ。3月のトーナメント大会ではジェラードンを破り、ぶっ通し大会でも予選と勝ち抜くなど実力を見せている(月間チャンピオン決定戦でネルソンズと流れ星に次いで3位)。

 

この辺りが今年のキングオブコント決勝に進出して好成績を残せば『にちようチャップリン』への評価も高まるのではないでしょうか(あと『有田ジェネレーション』も)。そうすれば若手ネタ見せ番組として注目を集めて他の局でもチャップリン芸人たちが活躍するかも知れない(※2)。

 

そんな感じで、今のうちにこの3組をチェックしてみてはいかがでしょうか。

いやあ、これで誰も勝ちあがらなかったらハズいなあ……。そういうのありえるからなあ。

 

それでは。

 

 

※1 こちら。余談ですが、ここで取り上げた漫才先生が芸人先生としてレギュラーになりましたね。

colapoly.hatenablog.jp

※2 何度か話に出てきました3月のトーナメント大会のサブタイトルが「お前たちはきっと他局さんでも通用する!」だったこともあり、それはこの番組の悲願ではなかろうか。