べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

流れとキングオブコントのお話。

 

やあ、ヤマグチジロウだよ。

いろいろと遅いような気がするけどね、なんだか書きたくなったのでね、キングオブコントの感想と個人的に思ったことを書こうと思うよ。

早いものでもう1ヶ月近く前ですか。今回からガラッと審査方法も変わり、グッと競技性が増したように感じられた今大会。
そのせいもあってか、決勝進出のメンバーを見て予想していたものとは全く違った展開だった。

藤崎マーケット ジャングルポケット さらば青春の光 コロコロチキチキペッパーズ
うしろシティ バンビーノ ザ・ギース ロッチ アキナ 巨匠

この中で僕が「しっかりとしたコントをしているから、この辺の何組かは固いだろうなあ」となんとな~く思い浮かべていたのがジャングルポケットさらば青春の光うしろシティ、ザ・ギース、ロッチ、アキナだった。
しかし、蓋を開けてみればその中で最終ステージに勝ち上がったのはジャングルポケットとロッチの2組だった。

僕の見る目が無かったと言ってしまえばそれまでだけども、その残り、つまり落選組であるさらば青春の光うしろシティ、ザ・ギース、アキナの4組のコントにはある共通する印象を受けた。
それは「前フリが長く、4分という時間では収まっていないな」という印象だった。

さらば青春の光の芸術家を目指す兄というコントでは「兄ちゃん1枚も描いてないやん」のセリフまでで1分10秒。
うしろシティの老人が呼び出した悪魔というコントでは「私はもうじじいなので結構です」のセリフまでで1分14秒、「寿命5年持ってかれると死ぬと思うんですね?」までで1分38秒。
ザ・ギースのビフォーアフター風コントでは「匠はどのようにリフォームしたのか」のナレーションまでで1分38秒。
アキナの鳥やん? のコントでは「鳥で? って思うねん」までで2分8秒。
と、それぞれコントの状況を説明するための前フリに1分以上要している。

いずれも、ストーリー性のあるコントだったので説明だけで1/4以上も持っていかれるのはそれだけ残りの笑わせる部分を削ってしまうことになり、タイムロス と言っても過言ではない。どのコンビも実力のある人たちなので、もっと長い時間で見られたら面白いんだろうなあと思わざるを得なかった。
(ちなみに巨匠の足元をコンクリートで固められてるのを確認させるまでで1分14秒だった)

では同様に勝ち上がったコンビのコントを見てみよう。

 

  最速はロッチのコント。1回目のカーテンを開ける時点で37秒(2回目でも1分18秒)。
その次はジャングルポケット。斉藤が開き直って謝らないと言い出すまで38秒。
そしてバンビーノ。2回目の犬が鳴いて邪魔をするところでも49秒。
と、一笑いもしくは「あ、こういうコントなんだな」と認識するまでに1分を要さないものが目立つ。

残りの2組はコロコロチキチキペッパーズの西野が泣きそうになるところで1分20秒。
藤崎マーケットの「まさひこやな」のセリフまでで1分30秒。
2組とも一回戦落選組と同じような時間だが、上記の5組とは大きな違いがある。
それは勝ち上がった2組は『同じ笑いどころを繰り返すコント』だったということだ(ロッチやバンビーノもこちらに含まれるだろう)。
コロコロチキチキペッパーズの妖精が帰らなければならなくなる条件に何度も触れてしまう。
藤崎マーケットの決まったダンス(?)の中で何度もコミュニケーションを取ろうとする。
そういった前フリで提示した笑いどころを繰り返しつつも変化をつけながら話を進めることで、この2組は分かりやすく笑いを誘っていた。

つまり今回のキングオブコントは、前フリの時間のコンパクトさ。もしくは前フリで提示した笑いどころを有効活用できた人たちが、ファイナルステージに勝ち上がったのではないかと僕は分析する。

ではなぜストーリー重視で前フリの長いコントがこうも乱立し、散っていったのか。
これは前回までの王者の傾向に引っ張られたのではないかと推測する。

前回優勝者のシソンヌ、前々回優勝者のかもめんたるはいずれも演劇のようなコントで優勝を手にしたコンビだ。
その2組の傾向を目指したが、今回はそうはいかなかった。

単純に審査のやり方が変わったからかも知れない。前回までの、同じ舞台で戦った芸人たち100人が審査をする審査方法と、今回のようにコントの第一人者5人による審査では、見方、やり方に違いがあるのは当然である。
持ち点だけを取っても前々回までの一人10点(前回は一人1票)と今回の一人100点では前者は後者のように点数を細かく刻むことができずにアバウトな審査になってしまう。

加えてこんな話がある。同じ吉本の賞レース、M-1グランプリについて、ダイノジの大谷氏が「優勝者が3年周期で傾向が変わっている」と分析したのだ。
1~3 回目(中川家ますだおかだフットボールアワー)の「もともと大阪で評価を受けていたコンビ」、4~6回目(アンタッチャブルブラックマヨネーズチュートリアル)の「自分たちの漫才を磨きぬいたコンビ」、7~9回目(サンドウィッチマンNON STYLEパンクブーブー)の「実力はありながらも今まで日の目を浴びてこなかったコンビ」。
大谷氏がこれを言っていたのは7回目の頃で「サン ドウィッチマンが優勝したことで流れが変わった。今までの流れだったらトータルテンボスの優勝だった」と発言していた。……なので7~9回目のカテゴライ ズは僕が勝手にしちゃってます。なんかごめん。あとこの発言についてのソースが探したのに見当たらないのも重ねてなんかごめん。YouTubeかなんかで 見たような気がするんだ、見つけたら報告するね。とりあえず、なんかごめんね。

さて、ひと通り謝ったところで何が言いたいのかというと、今回のコロコロチキチキペッパーズの優勝はそういう流れを変えるものだったのではないか。
第1回のバッファロー吾郎は諸事情で、うん、諸事情で置いておくとして、2~4回目(東京03キングオブコメディ、ロバート)はテレビのネタ番組でも活躍し、比較的ボケとツッコミがハッキリとしたキャッチーなコントだった。
続く5~7回目(バイきんぐ、かもめんたる、シソンヌ)はライブを中心とした活動で、ボケとツッコミというよりかはコンビの掛け合いでストーリーをコミカルに展開するスタイルだった。
そ して今回、同じような笑いどころを繰り返すテンポの早いネタ、そしてリズムネタと今までの優勝者にはないスタイルでコロコロチキチキペッパーズが優勝した ことによってこれからのキングオブコントがまたひとつ新しい展開を迎えたのではないかと、僕は思うわけですよ。そういう視点で来年の優勝者を予想してみる のも、面白いかも知れないね!

今年からM-1も復活するのでそちらのほうはもっとタイムリーになんか書きたいものですね。それでは。