べっかん

ヤマグチジロウの諸々の別館。

床とM-1グランプリ2021のお話。

 

皆さんどうですか、年末してますか。それより僕とM-1グランプリ2021、振り返りませんか。

さてさて、僕はというと今回のM-1は永遠の大好きお笑い、マヂカルラブリーが優勝したお陰で去年までとはまたちょっと違う雰囲気で「マヂラブ頑張れ!」「ウケてくれ……!」「えみちゃん待っててねー!」みたいな変な緊張感はなく、それでも本番が近づくとやっぱりそわそわする。そんな感じ。特別感はありながらも割とフラットな目線で笑えた大会でしたね。

なのでフラットに振り返っていこうと思います。よろしくどうぞ。

 

「治安が悪い」(ユウキロック)

「全員曲者」(クイック・ジャパン)

「地下のカリスマが全員出てきたみたいな」(アルコ&ピース酒井健太)

という今までに例を見ない言葉で表されるほど変わり種のコンビが勝ち上がり、大荒れの気配をお笑いファンの誰もが感じていたであろう今回大会。

参加総数は過去最多、去年よりも1000組ほど上乗せした6017組。これは地下ライブから這い上がって優勝を果たしたマヂカルラブリーと、ピン芸人同士のユニットとして最終決戦まで勝ち上がったおいでやすこがの影響が強かったからでしょう。その結果「地下のカリスマが全員出てきた」と評される決勝メンバーが出揃ったわけですから、地下芸人たちそれぞれが奮起した結果とも考えられますね。


そんなこんなで始まった本番。オープニングの煽りVでは滝音のさすけが首をクイッとさせながら真剣な表情カメラを横切っていく姿がかっこよかったので、煽りV-1グランプリはさすけの優勝です。

 

1組目 モグライダー

三連単の一着に選んでいたので正直「うわ〜〜〜」となってしまいましたね。フラットな目線とは。

いやいや、でもモグライダーは割と早いうちからライブシーンでは実力が認められていたコンビで、それが前評判も良く念願の決勝進出なのだから期待せざるを得ないというものですよ。そうでしょうよ。

あ、内容ですね。めちゃめちゃ面白かったです。審査員のコメントでも言っていた通り、ちゃんとした実力の上にしっかりとした構成のネタをやり始めた。それでもともしげのバカさ加減は失われず、芝のツッコミとモノマネ(?)のマルチタスクでありながらもトチったともしげを的確にツッコめる進化したモグライダーが見れた気がします。

 

2組目 ランジャタイ

今回のM-1で放送前から一番話題を呼んだのは間違いなく彼らでしょう。決勝進出者発表の際に「M-1グランプリ」を押しのけて「ランジャタイ」がトレンド1位になるなど、お笑いファンからの期待と不安と「マジかよw」という笑いを巻き起こすほどの珍事。ランジャタイ単独でも記事も一番多かったんじゃないですかね。

内容、日和らず完璧にやりきったの一言でしょう。ちゃんと笑いはあった上で、ちゃんと低評価での最下位。出番二番目は当初早すぎると思ってましたが、振り返ってみれば暫定ボックスで巨人師匠のパネル芸を披露できて話題を呼んだうえでの貫禄の最下位という結果だったのでこれをするには1、2、3番目でしかできなかったというプチ奇跡が起こしたランジャタイにとってのベストパフォーマンスだったと思っておきましょう。
しかしながら去年の敗者復活戦といい、ランジャタイが真剣に優勝を取りに分かりやすいネタを選んでるのが分かりますね。風が強い日に猫が飛んできて、その猫が耳から頭に入ってきて操られて将棋ロボになる、分かりやすい。ラーメンの寸胴からT.M.Revolutionが出てくるよりもよっぽど分かりやすい。


3組目 ゆにばーす

正直、個人的にM-1の舞台でどういう姿を見せてくれるのかと期待していた二組が早々に終わってしまったので拍子抜けしながら観てました。

審査員の言うとおり技術的に発展したゆにばーすの漫才で、ランジャタイが散らかした流れをキュッと締めてくれた印象ですね。ただまあやっぱりかなりの散らかりようだったのでこじんまりと見えてしまったのが敗因ですかね。本人たちもなんでハネなかったのか分からないって(打ち上げ生配信で)言ってましたもんね。

 

4組目 ハライチ

敗者復活戦から勝ち上がったハライチ。4年ぶりのM-1参戦、ラストイヤーで注目されていたので有終の美と言ってもいいでしょう。敗者復活戦でも全体的に飛び抜けるコンビがいない中、安定感を見せつけていました。

内容は今までのイメージにない岩井が暴れまわる漫才。今回の出場を決めたのもも、もちろんネタ作成も岩井でしょうからこれを決勝の舞台で最後にやりたかったんだなあと。審査を受けている時点でやりきった感はありましたね。

 

5組目 真空ジェシカ

東京のライブシーンでは前々から鋭いボケのセンスのあるネタで有名だったのですが、個人的には見た感じ鋭すぎていたり扱う題材がニッチだったりとウケる範囲が狭い印象だったんですね。

決勝のネタは鋭いボケはそのままにシチュエーションも分かりやすく、ツッコミのフォローも的確でかなりブラッシュアップされてるのを感じました。手の内がバレると……みたいな漫才ではないので今後のM-1での活躍が期待できるコンビですよね。

 

6組目 オズワルド

今大会の大本命。笑御籤で引かれた時点で出番順も相まって「あ、決まったわ」と思わせるほどの大本命。

内容はボケの畠中の淡々と繰り出される狂気じみたボケを主体にしつつ、「これがゼロか……」のようなオズワルドらしいツッコミも健在で爆発を待っていた会場の空気を一気に持っていきましたね。

 

7組目 ロングコートダディ

独特ながらとっつきやすい世界観は漫才でも発揮されつつ「肉うどん」をキラーワードに持ってくるのは面白かったです。

オズワルドの波に乗ったものの、審査員からの指摘もあった通り無駄にあっちこっちいったりする感じがコントっぽかったというのは感じましたね。それでも2本目をやるならばまた違った世界観を出してきたでしょうから、それは見てみたかったですね。あと最後のワードが「ワゴンR」に決まるまでの変遷は打ち上げ配信でも言ってましたが、それを考えるのは楽しかっただろうなと思いますね。

 

8組目 錦鯉

正直、昨年の決勝はメイプル超合金やトム・ブラウンみたいな枠だと思っていたので、2年連続は驚きましたね。逆に言えばその時点で目をつけておくべきでしたね。ダブルで申し訳ない。

この1年で露出も増え、二人の(主にまさのりさんの)キャラクターを理解したうえでのひたすらバカなネタはもう笑うしかないですよ。そう考えると手の内晒して新鮮味が薄れるよりも、むしろキャラクターが分かったからこそ深みが増した感じがしますね。

 

9組目 インディアンス

今回の10組の中では一番思い入れのあるコンビ。いつぞや記事も書いたので*1ね。

4分間の中に「東京行ったんだってな」と「楽天モバイル」という2つのキラーワードを入れ込む強さはやっぱりインディアンスの手数の多さならではだと思います。

『くりぃむナンタラ』での「型を破りたい相方たち」で田渕をボケさせないように強く出たはずが余計に調子付かせてしまって企画としては変な雰囲気になってしまったくらい、ツッコミのきむが調子がいいと田渕もノッてくるらしく、それを踏まえて見ると今回は特にきむの本気で止めにかかってるような場面が多かったように思えます。

 

10組目 もも

三連単ではインディアンス、モグライダーとこのももを選んだんですよ。去年か一昨年の準々決勝動画を見て気になるコンビだったので期待も込めて。

振り切ったテンポのいい行ったり来たりのボケとツッコミは癖になります。〇〇顔以外にも面白い漫才をしてるので今後意識して追っていきたいコンビですね。

 

そんな死闘の中ファイナルラウンドに進んだのはいずれも連続出場の3組。

インディアンスは1回目に比べてちょっとぎこちなかった感じはありましたかね。手数の多いネタをこんなに短いスパンで全力でやるのはさすがにねぇといった感じ。

錦鯉はさらにパワフルに。隆さんのセンスも光りつつ、バナナの罠に3回も引っかかるのはまさのりさんにしかできないボケでした。

オズワルドは、インディアンスの手数の多さと錦鯉の一撃のでかいボケの後としてもその日の13本目のネタとしても少し小難しいネタだったのかなと。これまでの対策材料もたくさんある中でそれでも上手くいかないというのは、改めて1本目と2本目の兼ね合いって難しいんだなと。

 

そして優勝は錦鯉。THE WのオダウエダやR-1のゆりやんの優勝を見ると「今、バカがきてる」!?

まさのりさんの前コンビのマッサジルなんてオンバトで見てたくらいですからね。その影に隠れてるけど隆さんも東京NSC5期生でピース、大阪校ではキングコング山里亮太、ダイアンという旧M-1を沸かせた人たちと同期なんですよね。それでいて去年よりもしっかりネタを鍛えてやってきて最前線で戦って優勝というのはものすごい偉業だし、最年長記録はほぼアンタッチャブルレコードでしょう。

 

という感動と祝福がいつもより多く感じた今回のM-1グランプリ。やるごとに新たな一面がありますねぇ。

それにしても、2位通過のボケが床に寝たら優勝する流れもきてますね? きてませんかね?

それでは。

 

 

*1:いつぞやとは3年前のことである。

colapoly.hatenablog.jp